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中高年男性は「ブリーフのゴム」に要注意!!

生涯スポーツ・ゴルフと健康「末長くゴルフを楽しむために」|第5回

2022/01/28 ゴルフサプリ編集部

空気が乾燥して「肌のカサカサ」が話題になる時期です。北風が吹きつけるゴルフ場ではもちろん、暖房のきいた職場でも、家庭でも、乾燥予防が大切です。衣服で覆えない顔や手だけでなく、服を着ていてもカサカサになりやすい部位をどうケアしたらよいか、皮膚科の医師・松本美緒先生にお聞きしました。
■健康指導/松本美緒氏(サザンガーデンクリニック副院長)

中高年男性は「ブリーフのゴム」に要注意!!

ゴルフの時はブリーフのゴムを外側に折る

中高年の男性ゴルファーの皆さん、最近ゴルフをしていても、職場でも、自宅でも腰のあたりやお腹まわりが痒くなることはありませんか?実はそれ、皮膚の乾燥にブリーフのゴムが擦れて起きているようなのです。

「そもそもの原因は、皮膚のバリア低下による乾燥の進行です。特に中高年男性の場合は、高血圧や高血糖といった要因のある方も少なくありません。それによって皮膚のバリアが一層低下して腰まわりの乾燥が進み、慢性痒疹を発症して痒くなるのです」。

そう説明してくださったのは、前回「マスクプレー」による乾燥、肌荒れの対処法を教えてくれた、サザンガーデンクリニック(東京都品川区)の松本美緒先生です。

腰のあたりが痒くなることはよくあります。下着のゴムがきついのがいけないと思っている方もいるかもしれませんが、乾燥が原因だったんですね。そういわれてみると夏はまったく気にならず、痒くなるのはだいたい冬です。

「肩甲骨から肩、足の脛やヒザ下、腕の外側なども痒疹になりやすいところです。特に腰周りがそうなりやすいのは、ブリーフのゴムが当たって肌との間で摩擦が起きるからです。ゴルフスイングで体をヒネるとどうしても擦れるでしょうから、ゴルフをする時はゴムの部分を外側に折り返すといいですよ」(以下カッコ内はすべて松本美緒先生)。

女性はレギンスやハイソックスが摩擦を生む

一方女性にも、加齢とともに皮膚バリアの低下は起こります。

「女性ゴルファーの場合は、足のスネに乾燥による痒みが多くみられます。というのも、ヒザから下は汗腺が少ないからです。前回マスクの時もお話ししましたが、汗は天然の保湿成分のようなものですから、汗をかきにくい冬場になるとヒザ下は真っ先に乾燥します。カサカサしているところにタイツ、レギンス、ハイソックスの着脱などで摩擦が生じるとやはり痒みが生じます。腕の外側なども同じように痒くなりがちなところですよ」。

フリースやナイロン素材の一番下には綿の肌着

痒みが出はじめるとゴルフをしていてもラウンド後も気になるし、痒みを我慢するのはつらいものです。ついかいてしまうと肌トラブルにもなります。そうならないように、痒いときはかゆみ止め、湿疹や赤みがあるときは皮膚科薬など市販薬をうまく使うのがいいようです。

「衣類の素材も影響しますので、肌に直接つける下着やソックス類はできるだけ綿素材がオススメです。冬場のゴルフでは防寒を優先して保温性に優れた化繊素材を着る方も多いようですが、ナイロン製やフリース地は摩擦が起きて乾燥しやすいため、保湿の観点からは好ましいといえません。そういうものを着る場合は、一番内側つまり肌の上にTシャツやタンクトップでもいいので綿素材のインナーをつけましょう」。

このようなアイデアや知識を増やすことで、皮膚のバリア低下による乾燥を抑えることはできそうです。

体の冷えが乾燥に!? 基礎代謝を上げよう

「乾燥は、皮膚の問題だけでなく、冷えからも起こります。体が冷えると保湿力が衰えてしまい、保湿をしてもすぐ乾燥する悪循環にはまってしまうのです。とはいえ温めすぎても乾燥しますので、携帯カイロなどに頼るのはほどほどにして、基礎代謝を上げることで乾燥を防ぐのがベストです。ゴルフをする方は、ある程度しっかりした筋肉がついていると思いますから、プラスアルファとして日頃からよく歩く、温かい飲み物や食べ物をとる、ゆっくり入浴するといったことを心がけてはいかがでしょう」。

日々の積み重ねが大事なのはいうまでもありませんが、ゴルフをしに行けばよく歩きますし、温かい飲み物で水分補給をして昼食に温かいものを食べますし、プレー後は湯船に浸かって体を温めます。基礎代謝を上げて体を冷やさず、ひいては保湿力の低下防止に最適なスポーツといえるんじゃないでしょうか。

耳の後ろ、ワキの下、お尻まわりを洗えば十分

ただ、入浴にはいくつかの注意点があり、かえって乾燥を進めるような入浴の仕方が習慣になっている人もいると松本先生はいいます。

「冬でも40度くらいのお湯に長めに浸かると体が温まります。気をつけてほしいのは、毎回全身を洗わないこと。石鹸やボディソープは体の油分を奪いますので、20代の頃のように体中をゴシゴシ洗わない方がいいですよ。中高年は弱酸性に近い石鹸を使い、せいぜい耳の後ろ、ワキの下、お尻周りをきれいに洗えば十分です。お風呂から上がったら、顔には化粧水や乳液、体には保湿クリームを塗り、できるだけ速やかにしっかり保湿をしましょう」。

ゴルフ場での入浴は、耳、ワキ、お尻周辺をさっと洗ってよく流し、ぬるめの湯船にゆっくり浸かるのがよさそうです。自宅でも基本は同じです。ちなみに、入浴剤を使うなら「〇〇温泉」というものより、エモリエント効果(保湿効果)のある入浴剤がベターだそう。

化粧水や乳液はティッシュが付くくらい塗る

また入浴後の保湿はゴルフ場備え付けのアメニティを使ってもいいですが、特に保湿クリームはない場合が多いので、小分けの容器に入れて持参するのが無難です。

「『化粧水や保湿クリームはどのくらいつければいいですか』とよく聞かれます。私がお答えするのは、『ティッシュが張り付くくらいの量をイメージしてください』です。顔、首をはじめ、先ほど乾燥しやすいといった腰回り、腕の外側、肩、ヒザ下などにもティッシュが張り付くくらい保湿クリームを塗りましょう」。

たまに女性で、「高価な化粧水だから、もったいなくて少量しか使わない」という方もいます。足やお腹に塗ると量をたくさん使うので、その気持ちもわかります。しかし、高いものでなくても十分。松本先生は、たっぷり使えるものを選ぶことをオススメしています。

3タイプの保湿クリームを使いわけて保湿マスターに!

さて、ここから先は最も気になる顔の乾燥予防について考えてみましょう。顔の中で乾燥に弱いのは、個人差もありますが、特に額から眉間のあいだと目の周り、口の周りです。

「眉間のあいだは、頭皮の代謝不足による脂漏性湿疹が発症しやすいです。100%乾燥によるトラブルではありませんが、目の周り、口の周りとともに最もカサカサして粉がふいたようになりやすいのです。こういうところには、洗顔時の化粧水や乳液とは別に、スタート前に保湿クリームをたっぷり塗ってコースへ出ましょう」。

松本先生によれば、一般的な保湿クリームは大きく分けて3タイプあります。

「まず、肌の外から水分を取り入れて角質の水分を増やす働きがあるのがヘパリンと尿素系。両方とも保湿作用が高く、後者は角質の厚いヒジ・ヒザ・カカトなどの乾燥にも有効なのも特長です。次に、体内の水分を逃がさないタイプのセラミドがあります。天然のセラミドは保湿成分が最も高いので、最後に目の周りや口の周りに塗ると効果的です」。

目の周りや口の周りは、乾燥が進むとやがてシワができやすくなるため、さらに上から膜を作るといいそうです。

「3つめはワセリンです。油の膜を作って、肌がもともと持っている水分の蒸発を防ぎます。あれこれ買うのは大変でしょうから、1つに絞るならセラミド、2つ用意するならヘパリン・尿素系のどちらか1つとワセリンを持っているといいでしょう」。

角質が顔の3分の1しかない唇は保湿とUVが必要

「乾燥しやすい口周りには唇も含まれます。ゴルフのラウンド中は男女を問わずポケットにメンソレータムリップなどを入れておき、2〜3ホールに1回くらいつけるのがベターです。乾燥が進むとすぐ唇の皮がめくれてきますが、舐めたり、皮をむいたりしたら絶対にいけません。乾燥もさることながら、唇は顔の角質の3分の1の厚さしかないため日焼けもしやすいのです。日焼け止めを忘れがちですが、特に女性ゴルファーの方々には、保湿リップの上からUV機能のあるリップを重ね塗りすることをオススメします」。

冬場のゴルフ場では、北風に吹かれてお肌はみるみる乾燥します。日頃の手入れに加え、当日は保湿クリームの重ねづけ、唇にもしっかり保湿リップと日焼け止めリップをつけてコースに出ていけばかなり乾燥を防ぐことができます。

同時に、体の中からの乾燥防止も大切です。基礎代謝を上げることもそうですし、食事の内容も重要になってきます。冬季も水分をしっかり摂る、ビタミンB、C、Eをバランスよく摂る、オリーブ油やごま油など酸化しないよい油を適度に摂るとよいでしょう」。

スコアもお肌も、ボロボロになったら悲しいですよね。しっかり保湿をして、スコアもお肌もピカピカにしたいものです。

【乾燥のまとめ】

(1)乾燥しやすい部分
・腰周り
・肩甲骨から肩
・足ヒザ下
・腕の外側

(2)対処法
・ブリーフのゴムを外側に折る
・下着やソックスは綿素材を使う
・痒いときは市販の薬を使う
・基礎代謝を上げて体の冷えを防ぐ

(3)入浴のポイント
・熱くないお湯に長めに浸かる
・全身をゴシゴシ洗わない
・弱酸性に近い石鹸を使う
・入浴後なるべく早く保湿を行う

(4)顔の保湿
・保湿クリームはティッシュが張り付くくらい塗る
・眉間のあいだ、目の周り、口の周りを念入りに
・ヘパリン・尿素系のうえにワセリンで膜を作る
・保湿成分が最も高いセラミドを最後に塗る

(5)唇の保湿
・唇の角質は顔の3分の1の厚さしかない
・2〜3ホールに1回リップクリームをつける
・乾燥と日焼けを防止するリップを重ねづけ

(6)その他
・ビタミンB、C、Eをバランスよく摂る
・オリーブ油、ごま油など良質の油を摂る
・水分をよく摂る

取材・文/野上雅子

松本美緒
サザンガーデンクリニック副院長(東京都品川区)
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。順天堂大学病院、文京区慈愛病院、巣鴨皮膚科医院勤務を経て、2008年京成小岩皮膚科クリニック院長、2010年9月から現職。長年にわたり皮膚科一般外来および脱毛症専門外来等に携わる。小児皮膚科、大人のスキンケア、脱毛症、アトピー性皮膚炎、じん麻疹、ニキビ等を専門とする皮膚科のスペシャリスト。幅広い患者さんに丁寧な診察とわかりやすい説明で接し、厚い信頼を得ている。


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