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ゴルフクラブはすんごい進化したのに、グリップは本当に今のままでいいのか?

重箱の隅、つつかせていただきます|第38回

2023/10/01 ゴルフサプリ編集部

ゴルフ,グリップ

スイング、ゴルフギア、ルールなどなど…。ゴルフに関わるすべての事柄の“重箱の隅”をゴルフライター・戸川景が、独自の目線でつつかせていただくコラムです。

Text by Hikaru Togawa
Illustration by リサオ
GOLF TODAY本誌 No.616/106ページより

なぜゴルフだけ特殊な握り方なのか?

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ゴルフを教わる、いの一番はグリップだろう。基本は、利き手の小指を他方の人差し指に重ねる、いわゆるオーバーラッピンググリップ。これ、おかしくはないだろうか。

およそ打球するスポーツで、わし掴み以外を強要されるのはゴルフくらいだろう。バットもラケットも、小指を重ねろなどとは言わない。

インターロッキングも同様だが、他の道具を扱う場面では絶対使われない握り方が、なぜゴルフでだけ重用されるのか。少し、考えてみてほしい。

成り立ちからすると、19世紀末に名手ハリー・バードンが広めたとなっている。グリップ部分にあったトゲを避けたなどともっともらしい説もあるが、トゲは削ればいいだけ。そんなはずはない。ポイントは、グリップが非常に細かったことと、フルスイング時に打面をコントロールしたかったからだろう。

ボールが羽毛球からゴム製に変わり、キャリーで遠くに飛ばせるようになった時代、クラブをフルスイングするようになった。だから服装も軽やかになるが、その過渡期が20世紀初頭。細いグリップはわし掴みではなく、指を主体に握るようになる。すると、両手とも親指と人差し指の間を締めるようになり、ついには親指をシャフト=グリップに沿わせるようになる。おそらく、パッティングの打面コントロールがきっかけだろう。

すると、フルスイングでも打面コントロールを両手の親指と人差し指で行いたくなるはず。実際、バードンが書き上げたレッスン書「コンプリート・ゴルファー」にはそのことが明記されている。

さて、親指をシャフトに沿わせると、詰めて握っても右手のヒラの肉が左手親指に触れて違和感が出る。ならば、いっそ右手で左手親指を包み込めばいい。

手の大きかったバードンとしては、両手の一体感を増したかったのか、右手の利きすぎを抑えたかったのか。右手小指を左手人差し指に重ねたことで、オーバーラッピングが完成した。

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当時の曲がりやすい道具で、正確な長打を武器に全英オープン6勝。同時代にアイアンの名手として名を馳せた全英5勝のJ・H・テイラーも同様のグリップを採用していたことから、一気にゴルフグリップのスタンダードとなったわけだ。

だが、クラブが進化した現代、本当にこれでいいのだろうか、という疑問が生じる。

棒状の長い道具の先端をコントロールするには、両手は若干セパレートするほうがいいことは、ホッケーや剣道でも自明。必要以上に詰めて握る必要はない。

打面コントロールに指主体が必要ならば、時松隆光のようなテンフィンガーがツアーで通用するわけがない。本来なら、ゴルフ技術を指導する側にいる者は、この疑問に回答できるようになるべきだと思うが、こういった議論はまったく先に進まないのが現状だ。

不自然に指を重ねたり絡めたりする握り方や、練習を重ねると痛みやケガを生じる握り方は、スポーツ技術の発展では、基本からは淘汰されるべきだと思っている。

私は、グリップ部分が角ばればいいのに、と思うことがよくある。以前、グリップエンドが六角形だか八角形だかのものが作られたことがあるが、ルール違反で消えていった。テニスやバドミントンと同様に角ばれば、打面コントロールがやさしくなることが明確だからだと思う。

だが、この程度のグリップルール変更は許されていいのではないか。別にホールインワンやチップインが増えるほどの変化は起きないが、グリップ技術を大きく変えるきっかけになるのでは

戸川景(とがわ・ひかる)

1965年3月12日生まれ。ゴルフ用具メーカー、ゴルフ誌編集部を経て(株)オオタタキ設立。現在、ライターとしてゴルフのテーマ全般を手掛けている。


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