鹿又芳典さん
●かのまた・よしのり/アマチュアだけでなく、プロゴルファーのクラブも手がけているカリスマクラフトマン。長年、ゴルフ雑誌などゴルフメディアでも活躍し、1年間に2000本以上の最新クラブを試打している。
(golf-baka.com/)
取材・文/野中真一
取材協力/ジャパンゴルフスクール、ゴルフショップマジック
アイアンのヘッド形状や種類などモデルの選び方
ドライバーやパターに比べて、使用する年数が5年、10年と長くなるアイアン。それだけに購入前には慎重なモデル選びが必要になる。鹿又が語るアイアン選びの基準とは?
最近は飛び系が大人気!アイアンは超多様化時代に
ドライバーのヘッドにはプロモデル、アベレージモデルの境界がなくなってきているのですが、アイアンでは明確にプロモデル、アベレージモデルがあり、さらにアスリートモデル、シニア向けなどターゲット別のヘッドがわかれています。最近はそのバリエーションが増えてきているくらいです。
ヘッドのバリエーションとしてはプロ・上級者向けの「マッスルバック」、中級者・アスリート好みの「ハーフキャビティ」、アベレージゴルファーが使いやすい「ポケットキャビティ」、そして最近大人気の「超・飛び系アイアン」があります。
この4つのカテゴリーは基本的には「マッスルバック」→「ハーフキャビティ」→「ポケットキャビティ」→「超・飛び系アイアン」の順番でヘッドが大きくなっていくので、やさしさを求めるなら「ポケットキャビティ」や「超・飛び系」がおすすめです。
ただし、中・上級者が「大型ヘッド」や「飛び系」を打つと逆に飛びすぎて距離感がわからなくなりやすいです。中・上級者は「ハーフキャビティ」や「マッスルバック」と相性が良いでしょう。
とはいえ、最近は「中空マッスル」というモデルも増えてきていて、マッスルバック形状でもやさしいタイプのモデルもあって、単純な形状では判別できない時代になってきました。
またハーフキャビティの小型形状に見えても、ヘッド内部にタングステンなどを入れて、高弾道で飛距離性能の高いアイアンになっていることもあります。
同じ7番アイアンでも別物! 飛距離30ヤード以上も違う!
アイアンでは今は6番アイアンからPWまでのセットを購入する人が多いと思いますが、実は同じ7番アイアンでも「マッスルバック」と「超・飛び系アイアン」は全く違いますので、注意してください。
同じ番手の飛距離差で言うとアイアンはモデルによって、最も違うクラブになります。
例えば「マッスルバック」の7番アイアンで140ヤードくらい飛ぶ人が、「ポケットキャビティ」を打ったら155ヤードくらい、さらに「超・飛び系」を打ったら170ヤードから180ヤード飛ぶこともあるのです。
その理由は同じ7番アイアンでもロフト角が違うからです。
例えば「マッスルバック」の7番アイアンには34度前後が多いですが「ハーフキャビティ」になると32度前後、さらに「ポケットキャビティ」になると28度前後となり、「超・飛び系」だと26度前後になります。
「超・飛び系アイアン」の26度前後は、「マッスルバック」では4番、5番アイアンのロフト角になります。だから飛距離が違ってくるのです。
ヘッド形状、ロフト角の違いを知った上で、アイアンはまずカテゴリーを選ぶことが大切になります。ヘッド形状別で、今、人気のあるモデルをリストアップしましたので、参考にしてください。
「マッスルバック」の人気モデル
・タイトリスト620MB
・ミズノプロ120
・APEX MBなど
「中空マッスルバック」の人気モデル
・テーラーメイドP790
・タイトリストT-MB
「ハーフキャビティ」の人気モデル
・ピンi210
・Xフォージドスター
・スリクソンZ785など
「ポケットキャビティ」の人気モデル
・ゼクシオ イレブン
・エピックフォージドスター
・タイトリストT200など
「超・飛び系」の人気モデル
・ゼクシオクロス
・インプレスUD+2
・エッグアイアンなど
アイアンの本数を少なくするのがクラブセッティングのトレンドに
実はアイアンセットは、アイアンだけで選ぶことはできません。というのも、14本のクラブセッティングを考えたときにアイアンはユーティリティ、ウェッジの間にくるものです。
そのため、ユーティリティやウェッジのロフトに合わせたモデルを選ぶことが必要なのですが、さきほども説明したようにアイアンはヘッド形状によってロフト角が全然違うので、注意が必要です。
目安にして欲しいロフト角はユーティリティが21度を使っていたら、次のアイアンは25度前後が基準です。またウェッジの1本目が52度なら、アイアンセットのPWが45度前後になるくらいが良いと思います。
ユーティリティとのロフト差は3、4度くらい、ウェッジとの差は6度〜8度くらいにおさまっていると使いやすいと思います。
最近はどちらかと言うと、アイアンを減らしてユーティリティを増やすのがトレンドになっています。女子プロにも5番アイアンを抜いて、6番アイアンからにしている選手が多いので、まずはユーティリティを何本入れるかを決めてから、アイアンの本数を決めるのが良いと思います。
これは予想ですが、今後はさらにアイアンの本数を減らす時代になって行くと思いますので、自分のスタイルに合わせて番手を選ぶことも大切です。
アイアンはシャフト選びも重要なポイント
アイアンではほとんどのモデルで複数のシャフトがラインナップされていて、軽量カーボン、軽量スチール、さらに重量タイプまであるモデルもあり、ドライバー以上にシャフト選びも大事になる。
アイアンのシャフトはカテゴリーが違う!
ドライバーも色んなシャフトバリエーションが選べますが、それはある程度重さなどもそろっている中から選ぶものです。一方、アイアンでは重さ、硬さ、素材まで全くカテゴリーが違うところからシャフトを選びます。
一般的に「ポケットキャビティ」や「超・飛び系」のシャフトには、軽量カーボンシャフトと軽量スチールシャフトがあります。
特徴で言うと、軽量カーボンはスイング中のしなりも大きい。だから打ってみると飛距離が5ヤードから10ヤード飛んで、弾道も高いです。飛距離優先で選ぶならカーボンです。
一方の軽量スチールは、カーボンよりもしなりが小さいので、より安定したスイングになります。シャープに振りやすいので、コントロール性が高くなります。
軽量カーボンは50グラム前後、軽量スチールは70グラム前後が多いのですが、重量系のカーボンやスチールをラインナップしているのが「ハーフキャビティ」や「マッスルバック」です。重量帯としては、カーボンは90グラム前後、スチールでは110グラム前後が重量タイプです。
重量系になってもカーボンの方がスチールより飛距離性能は高いです。ただし、重量カーボンになると男子ツアープロでも使えるくらい安定感があります。
また重量スチールは、男子ツアープロがメインで使っているシャフトになりますから、ヘッドスピードの早い人と相性が良いです。
アイアンは二刀流のコンボセットもあり!
昔、アイアンセットといえば1モデルが定番でしたが、今はPGAツアーのプロでもロングアイアンには「ハーフキャビティ」、ショートアイアン以下は「マッスルバック」にするなど、2モデル以上のモデルをミックスした二刀流がスタンダードになってきています。
この二刀流のメリットは難しいロングアイアンやミドルアイアンをやさしいヘッド形状にして、ショートアイアンは距離感やスピン量をコントロールしやすい「マッスルバック」や「ハーフキャビティ」にできることです。
アイアンはセットで購入する場合が多いですが、ピンやミズノは単品購入も可能ですし、最近は7番アイアンからの4本セットになっているモデルもあります。
だから、アマチュアの皆さんも5番、6番アイアンは飛距離&やさしさ重視のヘッドで選んで、7番以下はコントロール性や安定感で選ぶこともおすすめです。
アイアンの打感の正体は、打球音にあり!
よくアイアンでは打感の話になりますし、ベテランゴルファーには打感の好みでアイアンを選び人もいます。
言葉として打感と言うと、インパクトのときのフィーリングのように思えますが、実は打感に最も影響するのは打球音です。ゴルファーは打球音から判断して、打感が柔らかい、硬いと判断しているのです。
この打感、打球音に影響するのはヘッドの素材と言われています。アイアンのヘッド素材には軟鉄かステンレス、もしくはフェースだけをチタンにしているモデルもあります。
その素材の中で「軟鉄は打感が柔らかい」とも言われているのですが、実は打感、打球音への影響が大きいのは素材よりも形状です。ステンレス素材であっても「マッスルバック」や「ハーフキャビティ」の形状は、すごく打感が柔らかく感じます。
「マッスル」や「ハーフキャビティ」の打感が柔らかいのはフェースの打点が当たるセンター部分に厚みがあることです。ここの厚みが、打感がソフトになるポイントです。
逆に「ポケットキャビティ」や「超・飛び系」アイアンは、反発性能を重視するためにフェースを限界まで薄くしています。だから打感としては弾いてくれるような、硬めに感じることが多いです。
よく「軟鉄だから打感が良い!」と言う人がいますが、それは間違いです。形状の影響も大きいので、軟鉄の「ポケットキャビティ」より、ステンレスの「マッスルバック」の方が打感は柔らかくなります。
では軟鉄アイアンの魅力は何かと言うと、ステンレス素材よりも調整ができると言うことです。
アイアンのロフトやライ角はゴルフ工房で調整できる!
私もゴルフ工房をやっている1人ですが、アイアンは購入後に工房で調整する人も多いです。シャフトを交換する人も多いですし、ロフト角やライ角を調整して、自分に合わせる人も大勢います。そんな調整をしやすいのが軟鉄アイアンの利点です。
特にライ角はアイアンの打ちやすさを決める最大のポイントになるのですが、ゴルファーは身長も、手の長さも、アドレスしたときの姿勢も十人十色です。
だから、もちろん購入したアイアンのライ角が自分にピッタリであれば、それで問題ありませんが、「打ちにくいな」と感じたら、工房などでライ角をチェックしてもらうことも大切です。また年配のゴルファーの方であれば、工房で軽量シャフトにしたり、ロフトを調整して、飛距離をキープすることもできます。
アイアンは長く付き合っていくクラブであり、スコアメイクのカギを握っている重要な番手です。モデル選びはもちろん、購入後も自分に合わせた調整をしていくことが大切です。
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