ゴルフクラブの選び方|初心者・中級者向け基礎知識【クラブ種類別】
ゴルフはナイスショットを重ねていくスポーツだと思われがちですが、プロや上級者に話を聞くと多くの方が『ナイスショットを重ねるよりもミスの幅を減らすこと』が重要なのだと口を揃えます。そして、そのためにはクラブにこだわることが必要不可欠なのだそうです。
そこで、シチュエーション別に、『自分に合わないクラブ』が引き起こすミスはどんなものか。また、どういったクラブなら対処できるかなどを解説してもらいました。
文/小倉勇人(クラブフィッター)
[目次]
ゴルフクラブの種類【基礎知識】
ゴルフクラブは、主にドライバーからパターまでの6種類があります。
ドライバー | 主にティーイングエリアからのティショット(1打目)を打つのに使用するゴルフクラブ。最もボールを遠くへ飛ばすためのゴルフクラブ。 |
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フェアウェイウッド | 主にフェアウェイからのセカンドショット以降で使用するゴルフクラブ。セカンドショット以外にも、ドライバーほど飛距離が必要ないミドルホールでのティショットや、フェアウェイが狭いホールのティショットでボールを曲げたくない場合に使用されることもある。 |
ユーティリティ | フェアウェイウッドとアイアンの中間のゴルフクラブ。主に、フェアウェイウッドとアイアンの間の飛距離差を埋めるゴルフクラブとして使用されている。 |
アイアン | 飛距離や方向性の打ち分けなど、操作性(コントロール)に優れたゴルフクラブ。アイアンには1〜9番まで番手があり、番手の数字が大きくなるほどクラブの長さが短く、ロフト角が大きく、飛距離が短くなる。 |
ウェッジ | 主にピンまで100ヤード以内やグリーン周りなど短い距離のアプローチショットで使用するゴルフクラブ。そのほか、バンカーからの脱出(バンカーショット)や深い芝など悪条件のラフからのショットでも使用される。 |
パター | グリーンオンしたボールを転がしてカップインさせるために使うゴルフクラブ。ボールを転がすことに特化しているため、ゴルフクラブの中で一番ロフト角が少ない。 |
ゴルフクラブの選び方:ドライバー編
◎スライスをストレート以上に矯正しないクラブ選び
最悪なのは左右に曲がること。ティショットを安定させるには、ミスを一方向にまとめる必要があります。ミスの方向をまとめるクラブとは、どういったクラブなのでしょうか。
左右に曲がる原因①スイングの特性以上に補正が強いクラブを使用している
100を切れるほどの実力があれば、ある程度安定してボールを打つことができていることでしょう。ここからさらなるレベルアップを果たすにはボールの打出し方向や曲り方向を管理する必要があります。
ボールの打出し方向や曲り方向は、スイングとクラブの性能がある程度リンクしないと管理することが難しくなります。まずは自分のスイングがフック系、スライス系どちらの特性を持っているかを確認しましょう。
確認方法としてはあまり補正能力を備えていない7番、8番ぐらいのアイアンで目標に対してリラックスした状態でボールを何球か打ち、安定して曲がる方向がひとつの基準になります。
より明確に知りたいならスマホなどで自身のスイングを飛球線後方から撮影し、スイングプレーンが目標方向に対してアウトサイドインになっていればスライス系、インサイドアウトになっていればフック系になります。
スイングがスライス系であれば、つかまり性能の高いモデル。フック系であればつかまり性能の抑えたモデルをそれぞれ選ぶと良いのですが、ミスを減らすコツとして、完全にその特性を消してしまわないモデルが良いと思います。
スライス系ならわずかに右に曲がっていくといった感じ。そうすることでナイスショットをしてもミスショットをしても曲り方向を一方向にまとめやすくなります。
スライス系の方がドロー系のボールを打つべくつかまり性能の高いクラブを使う事は悪いことではないと思いますが、調子が悪い時に左右どちらにも曲がってしまう可能性が高まります。
スコアを追求するならあまり強い補正特性のあるクラブを選ばない方が良いでしょう。
左右に曲がる原因②デカヘッドはスイング中アジャストが効きにくい
最近のドライバーは、ヘッドが大きく、慣性モーメントが高い直進性が重視されたモデルが多く、誰でも安定して飛ばせるような印象を持たせますが、モデルによってボールのつかまりが大きく変わります。
こういったヘッドの大きなモデルはボールの直進性を高めるため、スイング中にヘッドターンがとてもしにくくなっているモデルが多く、クラブごとのつかまり性能の違いはゴルファーの個々のスイングによって打出し方向に大きく影響します。
狙った方向に打ち出せないと、それを嫌がって普段通りのスイングではなくいわゆるリアクションのスイングとなり、正反対の動きをしようとします。そうなった時に慣性モーメントが高いドライバーは、スイング中にはヘッドターンしづらく、ほとんどアジャストする動きを受け付けてくれないため、テークバックの時点でフェースの向きを大きく変えてしまい、ボールの曲がりも大きくなってしまいがちです。
アジャストのほとんどできない今どきの慣性モーメントの大きいドライバーこそ自身のスイングとの相性が大切なのです。
ヘッドをポンと平らな地面に置いた時、フェースがどこを向くか
そのクラブのつかまり具合を知るにはまず、フェースアングルを確認しましょう。
フェースアングルとは、ヘッドを地面に水平に置いた時にフェース面がどこを向くかを示すもので、フェースが左を向いていれば、フックフェースとなりボールがつかまりやすいモデル、右を向けばボールのつかまりを抑えたモデルということになります。
注意したいのが、アドレス時にこのフェースアングルを無視してフェースを真っ直ぐに合わせて構えてしまうとその効果がほとんどなくなってしまいます。フェースアングルの向きに逆らわないことを意識して、アドレスに入るようにするとクラブの性能を生かしやすくなります。
ヘッドを宙に浮かした状態でシャフトを支えた時にフェース面がどれだけ上を向くか
最近のクラブの中には、フェースアングルがスクェアに近い設計でもボールが強くつかまるモデルがたくさん存在します。こういったモデルは重心角を大きくしてつかまり性能を高めています。
重心角とは、スイング中、ヘッドは閉じる方向に動きながら動いているのですが、その閉じようとする力の大きさを示したもので大きいほどつかまり性能が高くなります。
ヘッドを宙に浮かしてシャフトを支えた時にフェース面がどれだけ上を向くかでおおよそのつかまり性能の高さを知ることができます。
- シャフトを支えた時にフェースの向きが10~20度ぐらい、ほぼ横を向くヘッドであればつかまりを抑えた仕様のモデル
- フェースの向きが20~30度ぐらい45度近く傾き、上を向くヘッドであればつかまりを高めたモデル
と言えますので、色々なクラブを試打してみて狙ったところに打ち出しやすいクラブがあれば重心角を自身でチェックして、覚えておくと良いでしょう。
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ゴルフクラブの選び方:フェアウェイウッド・ユーティリティ編
◎苦手意識のある方ほど軽すぎるモデルを使っている!
よりスコアを安定させるにはFW(フェアウェイウッド)とUT(ユーティリティ)が重要。実は当たらない理由はクラブにあることが多いのです!
トップやチョロといった頭を叩くミスは重量不足が考えられる
安定して80台、70台を目指すにはフェアウェイウッドやユーティリティを使いこなすことが必要不可欠。
しかしこれらのクラブは芝から直接打つ上に、長さがありミートが難しいことからミスに強いとされるアベレージモデルを選ぶことが多いと思います。
そういった方は大体トップやチョロといった頭を叩くミスに悩まされていることが多いです。勘違いしないでいただきたいのはアベレージ向けのモデルがミスを呼び込んでいるわけではありません。問題はクラブの重量です。
アベレージモデルのフェアウェイウッドやユーティリティは、楽に振れるように比較的軽量に仕上げられています。
ドライバーやアイアンに対して重量が軽いと、スイングした時に遠心力や重さに伴う振り心地が変わってしまい、ちょっとでも力んだりするとクラブが浮きあがりやすく、トップやチョロになってしまいます。
特にドライバーでカスタムシャフトの装着モデルを使っている方は、フェアウェイウッドやユーティリティを純正シャフトのままで使用していると重さが不足しがちなので注意が必要です。
今のモデルをリシャフトするなら、重さはもちろんシャフトのキックポイントも合わせよう
フェアウェイウッドやユーティリティの長さと重さの目安としては0.5インチ短くなるごとに5〜6g程度重くなっていると振り心地が揃いやすくなります。45.5インチで300gだったとしたら43インチの3Wは約325gといった感じです。
フェアウェイウッドやユーティリティが上手く打てないという方はまず自分の使用しているクラブの重さを確認してみましょう。もし重量が不足しているなら買い替えか今のモデルをリシャフトすることをおすすめします。
重量の調整はシャフトの重量で行うのが一般的です。クラブの両端にあるグリップやヘッドの重量で調整するとクラブとしてのバランスが崩れてしまう可能性がありますからね。
リシャフトするのであれば、今お使いのドライバーのシャフトのキックポイントと近いモデルを選びましょう。キックポイント、つまりシャフトのしなるポイントを揃えることができればより近い振り心地に仕上げることができますよ。
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ゴルフクラブの選び方:アイアン編
◎実戦力を高めたいなら厳しい環境だからこそ力を発揮するマッスルバックか鍛造キャビティがおすすめ
安定してグリーンに乗せるには、様々な状況から適切な判断とそれに応じたクラブ選択が必要になります。もちろん安定したスイングも必要ですがそれに対応できるクラブがあってこそそういったテクニックが身に付きやすくなるのです。
スイングスキルが高くなるほどやさしいと言われるアイアンが使いづらくなってくる
アイアンには、様々なヘッドタイプが用意されています。
- ヘッドが肉厚で打感が良く操作性の高いマッスルバック
- フェースの後ろ側を削り、その余剰重量を周辺に配分することで打点のミスに強くしたキャビティバック
- キャビティの削りをフェース下部ギリギリまで広げ、余剰重量を後方下部に配置したポケットキャビティ
- ヘッド内部を削って内部にウェートや充填剤を入れて性能を調整する中空
それぞれ一長一短がありゴルファーそれぞれが欲しい性能に合わせて選べるようになっています。
近年、アベレージ向けのやさしいと言われるアイアンに良く採用されるタイプがポケットキャビティ。他のタイプに比べて重心を低く深く設計できるので、打点のミスに強くボールが上がりやすくできます。
しかしその反面、ボールを細かくコントロールする性能はやや低下してしまうため、一定のエリアにオートマチックにボールを運ぶには適していると言えますが、弾道の高さや曲がり具合を調整して打っていくようなことは難しくなります。
またこういったモデルは、いわゆるスィートエリアを広く作るためにヘッドサイズが比較的大きいです。ヘッドが大きいとラフなどといった悪いライから打つ時に抵抗が大きくなります。良いライから打つには効果的ですが、深いラフなどからはその大きさが仇になることもあるのです。
難しいとされるマッスルバックや鍛造キャビティがなくならないのは、その方がやさしく感じるゴルファーがいるから
マッスルバックやキャビティの中でも鍛造キャビティと呼ばれるアスリートに向けた小さめのキャビティはそういった厳しい環境でもボールをコントロールするために設計されているため、テクニックがあるゴルファーほど結果を出しやすくなります。
結果が求められるツアープロや上級者がやさしいと呼ばれる大型モデルを使わずに難しいとされるマッスルバックやキャビティモデルを使うのは彼らにとってはその方がやさしいからなのです。
またマッスルバックやキャビティモデルを使用しているとインパクト時の打感の感触などから得られるフィードバックが多いため、自然とそういったテクニックや状況判断が身に付きやすいので、上達志向を持つ方にはマッスルバックや鍛造キャビティがおすすめです。
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ゴルフクラブの選び方:ウェッジ編
◎ウェッジの距離感がなかなか合わない方はロフトを見直してみよう
100ヤード以内を3打、あわよくば2打で上がることが求められる上級者の世界。ウェッジの精度を否が応でも求められるが、そのためには距離感を磨くことが重要だ。中々フィーリングが出ないゴルファーにはロフト角を見直すのも効果的だという。
最近のウェッジはスピン性能重視で昔より飛距離が出にくい傾向にある
近年、ウェッジは単品で購入するのが一般的となっており、比較的自由にセッティングを組むことができます。
ウェッジのロフトの組み合わせは52度と56度ないし58度が基本とされていますが、最近は、アイアンが飛ぶようになってきているためこの組み合わせだとアイアンの一番下の番手との飛距離差が大きくなってしまい、距離感が作りにくくなります。
また最近のウェッジはより安定したスピンがかかるように高重心に設計されているものが多く、ロフト以上にアイアンとの飛距離差が生まれがちです。
アイアンの一番下の番手をチェックし、ロフトピッチではなく飛距離にこだわれ
ウェッジで狙った距離を安定して打つには、各ウェッジのフルショットでの飛距離をしっかりと把握する必要があります。
アイアンは均等に飛距離が変わるように設計されていますが、自由に組み合わせることができるウェッジはモデルやロフトによって飛距離もかわりますので、コースなどでフルショットした時の距離をしっかり把握しましょう。
飛距離が明確になったら、次はアイアンの一番下の番手のクラブの飛距離を確認し、さらにそのクラブのロフトをインターネットなどで調べてください。
最近のアイアンは飛距離を出すためにロフトが立っているモデルが多いので、アイアンの一番下の番手とその次に来るウェッジのロフトの差、飛距離の差は知っておいて損はないでしょう。
それぞれのクラブの飛距離が明確になり、その飛距離差が均等になっていないようであれば、ロフトを見直して均等になるようにするとより距離感が作りやすくなります。その際、ロフトのピッチを均等にしても飛距離差のピッチが均等になるとは限らないので注意が必要です。
特に飛び系と呼ばれるロフトの立ったアイアンをお使いの方は、ロフトの差以上に飛距離差が出やすいので、均等に飛距離差を作りたいならウェッジのロフトを少し立っているスペックを選ぶのがおすすめです。
また飛距離差に拘らず、打ちたい距離に合わせてウェッジのロフトを選ぶこともありです。例えばAW相当のウェッジでフルショットがピッタリ100ヤード打つようにロフトを選ぶといった感じ。自分がやりやすい方法を試してみてください。
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ゴルフクラブの選び方:パター編
◎パターの調子の波が激しいなら2本体制がおすすめ
スコアの約4割を占めるパッティング技術の向上はスコアメイクに欠かせない。各コースのそれぞれのグリーンのクセや、同じコースでもコンディションによって転がりが大きく変わるパッティングは1本で対応するよりも2本を使い分けた方が楽になることがあるのだとか。
色々なコースでプレーする方はパッティングのフィーリングを維持しづらい
パッティングは、打つ距離が短いとはいえボールを転がすためにグリーンの状況を大きく受ける為、毎回違うコースでプレーする方はフィーリングを維持するのがとても大変です。
特に転がるスピードが違うグリーンで連続してプレーしたりすると前回のフィーリングが残りやすく、タッチが合わないなんてことは良くあります。
タッチが合わない中で無理に距離を合わせようとするのでインパクトだけ強くなる、いわゆるパンチが入る打ち方になってしまったり、大きなテークバックから緩めてしまったりと今までよかったフィーリングが壊れてしまうなんてことが起きがちです。
練習グリーンでじっくりパターの練習ができればそういったことも起きづらいですが、毎回そんな時間も取れないことも多く、そういったことからスコアを崩してしまうゴルファーは多いですね。
速いグリーン用、遅いグリーン用でパターを用意するとミスを減らしやすい
パッティングの上手い方はあまりパターを変えないイメージがありますが、1本ですべてのグリーンに対応しようとするとそれだけ練習量も必要ですし、プロは練習ラウンドなどの慣れる環境や時間があります。
我々アマチュアの方が初めてのグリーンでちょっとの練習グリーンの転がしをしたぐらいでいきなりタッチを合わさないといけないわけですから、環境的には厳しいと言えるのです。
そんな中おすすめなのが、重量の軽いパターと重いパターを使い分ける事。
軽いパターは、ボールの転がりは少なめですが、そのぶん大きくテークバックしやすく、インパクトを作りやすい特性があります。重いパターはボールの転がりが良く、小さな振り幅でも安定したストロークがしやすい特性があります。
この違いを生かして、重いグリーンでは軽めのパターを使用し、大きなストロークを心がけ、速いグリーンでは重めのパターを使って安定したストロークを心がけると対応しやすくなります。
コツはストロークのテンポをできるだけ変えない意識をすることでしょうか。コースによって調子の波が大きく変わる方は、2本バッグに入れておき、練習グリーンで速さを確認して使い分けるようにすると調子を保ちやすくなります。
この2本のパターはヘッドの形状などは全然違うモデルでも構いませんが、できれば似たタイプにしておくとよりストロークに集中できるのでおすすめです。
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