再開第2戦に、スター選手が大集結!
「いまどきツアーをデータ斬り!」国内外のゴルフツアーをあらゆるデータで一刀両断 Vol.33
米ツアー再開2戦目となったRBCヘリテージには世界ランキングベスト10のうち8選手が出場した。大会史上、これほど多くのトップランカーが集結したことはなかった。コロナ禍は出場選手の顔ぶれにも大きな影響を及ぼしている。
再開第2戦に、スター選手が大集結!
RBCヘリテージ(創設時の大会名はヘリテージゴルフクラシック)は1969年に創設された歴史ある大会。サウスカロライナ州のリゾート地、ヒルトンヘッドにあるハーバータウンゴルフリンクスで創設時から変わらずに行われている。本来はマスターズ翌週に組み込まれていたが新型コロナウイルス感染拡大によるツアー中断の影響で6月3週目に移動した経緯がある。
大会創設時はシーズン終盤に開催され、1974年に3月へと移った。そして1983年にマスターズ直後の日程となり、以降はほぼ毎年、同じ時期に開催されてきた(2011年のみマスターズの2週間後)。歴代優勝者にアーノルド・パーマー、ジャック・ニクラウス、ジョニー・ミラー、トム・ワトソンらツアーを代表する選手が名を連ねていることからも分かるように、従来はビッグネームが数多く参戦する華やかな大会だった。
しかし、近年はマスターズ翌週にはプレーしない選手が増え、出場選手の顔ぶれは徐々に寂しくなっていた。世界ランキングトップ10の出場人数で比較すると、1980年代(世界ランキングが稼働した1986年以降)は平均5.5人だったが1990年代は4.2人、2000年代には2.6人と激減。さらに、2010年代の10年間では平均してわずか1.9人しか出場していなかった。2017年などは出場選手の中で世界ランキング最高位が16位でしかなかったほどだ。
それが、今年は世界ランキングベスト10からローリー・マキロイ(1位)、ジョン・ラーム(2位)、ジャスティン・トーマス(3位)、ブルックス・ケプカ(4位)、ダスティン・ジョンソン(5位)、パトリック・リード(6位)、ウェブ・シンプソン(9位)、ザンダー・シャフリー(10位)と実に8人も参戦。1989年の7人を上回る大会最多記録となった。1位から6位が顔をそろえるのも初めてのことである。マキロイは11年ぶりの参戦。ラームやケプカは大会初出場だった。これほど多くのトップランカーが集まった理由はいくつかあるだろうが、根底にあるのはコロナ禍であることは動かしがたい事実である。
試合の方はシンプソンが大会新記録の22アンダーをマークして優勝。世界ランキング9位の実力を示した。ほかにケプカやトーマスが最終日に追い上げて上位に入るなど、トップランカーたちが大いにトーナメントを盛り上げた。
RBCヘリテージに出場した世界ランキングベスト10選手年代別平均人数
年代 | 人数 |
---|---|
1980年代 | 5.5人 |
1990年代 | 4.2人 |
2000年代 | 2.6人 |
2010年代 | 1.9人 |
2020年 | 8人 |
文・宮井善一
1965年生まれ。和歌山県出身。スポーツニッポン新聞社でゴルフ記者を8年間務め、2004年にフリーのゴルフライターとして独立。ゴルフ誌などに執筆のほか日本プロゴルフ殿堂オフィシャルライターとして活動している。元世界ゴルフ殿堂選考委員。
撮影/相田克己 本誌編集部