3カ月遅れの開幕戦で、ルーキーたちが大暴れ!
「いまどきツアーをデータ斬り!」国内外のゴルフツアーをあらゆるデータで一刀両断 Vol.34
新型コロナウイルス感染拡大の影響により3カ月以上遅れてようやく女子ツアーが“開幕”した。初戦のアース・モンダミンカップはプロデビューを迎えたルーキーたちが大活躍。前例のない大記録を打ち立てた。
3カ月遅れの開幕戦で、ルーキーたちが大暴れ!
コロナの渦中で開催された“今季開幕戦”のアース・モンダミンカップは月曜日までずれ込みながらも無事終了した。大会にはプラチナ世代と呼ばれる2000年度生まれの安田祐香、吉田優利ら注目のルーキーたちも参戦。待望のプロデビューを迎えた。安田と吉田は28位。アマチュア時代にすでに複数回トップ10に入った経験がある2人の実績からすれば少々物足りないかもしれないが、難しいプロデビュー戦ということを考えれば及第点というところか。
一方で大活躍したのがプラチナ世代の1学年下、2001年度生まれの面々だった。西郷真央が3日目を終えて3打差2位につけ、最終組で回った最終日もスコアを伸ばして一時は首位並走。最終的には5位だったが「プロデビュー戦優勝成るか」と大いに盛り上げた。笹生優花は最終日に68をマークして西郷と同じ5位でフィニッシュ。プラチナ世代の先輩たちを凌駕する好成績を残した。
ツアー制度が施行された1988年以降に国内ツアーでプロデビューした日本人選手(先に海外でプロとして試合に出ていた選手も含む)が初戦でいきなり10位以内に入ったのは昨年までの32年間で12人しかいなかった。同じ試合でトップ10に入った例はなし。西郷と笹生は前例のない快挙を成し遂げたのである。しかも、ギリギリでトップ10ではなくともに5位というのもすごい。5位以内に絞ると横峯さくら、諸見里しのぶ、野村敏京とたったの3人しかいなかったのだ。横峯は2009年の賞金女王で通算23勝、諸見里は最年少公式戦3冠達成者、野村は米ツアー3勝にリオデジャネイロ五輪4位という成績を残している。つまり、後に実力者に成長した選手ばかりなのだ。6〜10位の9人の中にも平瀬真由美、村口史子、服部道子と後に賞金女王となった選手が3人いる。これらのデータから西郷と笹生の将来は非常に楽しみといえるだろう。
もうひとつデータを付け加えておく。アース・モンダミンカップでは計8人の日本人選手がプロデビューし、予選を通過したのは5人。予選通過率は62.5%である。過去10年(2010〜19年)の日本人選手プロデビュー戦の予選通過率は約21%でしかない。今回は平均の約3倍の予選通過率を叩き出したわけだ。今年のルーキーは全体に高いレベルにあることが、このデータでも実証されている。
プロデビュー戦で5位以内に入った日本人選手
順位 | 選手名 | 大会 |
---|---|---|
優勝 | 野村敏京 | 2011年中京テレビ・ブリヂストンレディス |
4位 | 横峯さくら | 2004年フジサンケイレディス |
5位 | 諸見里しのぶ | 2005年日本女子オープン |
5位 | 西郷真央 | 2020年アース・モンダミンカップ |
5位 | 笹生優花 | 2020年アース・モンダミンカップ |
※1988年以降。先に海外でプロデビューした選手も含む
文・宮井善一
1965年生まれ。和歌山県出身。スポーツニッポン新聞社でゴルフ記者を8年間務め、2004年にフリーのゴルフライターとして独立。ゴルフ誌などに執筆のほか日本プロゴルフ殿堂オフィシャルライターとして活動している。元世界ゴルフ殿堂選考委員。
写真/Getty Imades/JLPGA提供
本誌編集部