63年ぶりの2週連続同一コース開催。連続出場組が有利!?
「いまどきツアーをデータ斬り!」国内外のゴルフツアーをあらゆるデータで一刀両断 Vol.38
ワークデイチャリティ、メモリアルトーナメントと異例の2週連続同一コース開催となった米ツアー。2試合とも出場した選手とメモリアルトーナメントだけプレーした選手では差があったのか。データで検証してみた。
63年ぶりの2週連続同一コース開催。連続出場組が有利!?
新型コロナウイルス感染拡大の影響によるスケジュールの乱れを受けて7月2週目に急きょ開催されることになったのがワークデイチャリティ。会場は翌週のメモリアルトーナメントと同じミュアフィールドビレッジGCである。2週連続同一コースでの米ツアートーナメント開催は63年ぶりというから、出場選手は皆、初めての経験だろう。
セッティングはワークデイチャリティのほうがやや易しめにしたということだが、同じコースなのだから2週続けてプレーした選手のほうが慣れているぶん、有利なのではないだろうか。メモリアルトーナメント出場者を2週連続でプレーした選手と前週は出場しなかった選手に分けて平均ストロークを調べると明らかな差が出た。
メモリアルトーナメント出場者131人中、2週連続組は89人、前週欠場組は42人だった。前者の平均ストロークが73.8だったのに対して後者は74.5。実に0.7ストロークもの差があった。4日間に換算すると3ストローク近い差となってしまう。2週連続でプレーした選手のほうが明らかにいいスコアで回ってきていたわけだ。
上位は2週連続組が独占し、前週欠場組の最上位は8位のトニー・フィナウだった。予選通過率で比べると2週連続組が63%(89人中56人)だったのに対して前週欠場組は43%(42人中18人)。かなりの違いである。
世界ランキングトップ10(メモリアルトーナメント開始時)の選手で比較すると、より顕著な差があった。2週連続組は5人おり、全員が予選通過。世界ランキング2位のジョン・ラームが優勝して初の1位に立ったのはご存じのとおりだ。
前週欠場組は4人中予選通過したのは世界ランキング1位だったローリー・マキロイたった1人。そのマキロイも32位と低調だった。予選落ちしたのはダスティン・ジョンソン(世界ランキング4位)、ウェブ・シンプソン(同5位)、ブライゾン・デシャンボー(同7位)。この3人は6月のツアー再開後に優勝しており、調子は悪くないはずだがまさかの予選落ちだった。ちなみに世界ランキング9位のアダム・スコットは両大会とも欠場である。
-
ローリー・マキロイ
-
ウェブ・シンプソン
検証機会が今回限りのため断定はできないが、以上のデータから2週連続組にアドバンテージがあった可能性は大きいといえるのではないだろうか。
世界ランキング上位10人のメモリアルトーナメント成績
順位 | 選手名 | ワークデイチャリティ成績 | メモリアルトーナメント成績 |
---|---|---|---|
1位 | R・マキロイ | 欠場 | 32位 |
2位 | J・ラーム | 27位 | 優勝 |
3位 | J・トーマス | 2位 | 18位 |
4位 | D・ジョンソン | 欠場 | 予選落ち |
5位 | W・シンプソン | 欠場 | 予選落ち |
6位 | B・ケプカ | 予選落ち | 62位 |
7位 | B・デシャンボー | 欠場 | 予選落ち |
8位 | P・リード | 39位 | 10位 |
9位 | A・スコット | 欠場 | 欠場 |
10位 | P・キャントレー | 7位 | 32位 |
文・宮井善一
1965年生まれ。和歌山県出身。スポーツニッポン新聞社でゴルフ記者を8年間務め、2004年にフリーのゴルフライターとして独立。ゴルフ誌などに執筆のほか日本プロゴルフ殿堂オフィシャルライターとして活動している。元世界ゴルフ殿堂選考委員。
撮影/相田克巳、本紙編集部
いまどきツアーをデータ斬り!
←ケプカが全米プロ3連覇に挑戦!
シブコが「初メジャータイトル奪取から連覇」の偉業に挑む!その難易度とは!?→
シリーズ一覧へ