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モリカワの全米プロ勝利の裏にレア記録!?

「いまどきツアーをデータ斬り!」国内外のゴルフツアーをあらゆるデータで一刀両断 Vol.40

2020/08/23 ゴルフサプリ編集部

今年初のメジャー、全米プロでコリン・モリカワが初メジャータイトルを手にした。モリカワの米ツアードライビングディスタンスは107位(全米プロ終了時)。同ランク100位以下の選手がメジャーを制するのはレアケースである。

モリカワの全米プロ勝利の裏にレア記録!?

PGA TOUR.COMより

最近のメジャーはとにかく飛ばし屋が強い。ブルックス・ケプカにジャスティン・トーマス、ダスティン・ジョンソン、ローリー・マキロイなどなど、優勝者には世界の飛ばし屋がひしめき合っている。

PGATOUR.COM より

2000年以降昨年までの20年間で主戦場としているツアーの当該年ドライビングディスタンス10位以内だった選手が80大会中26勝。ほぼ3分の1を占めている。30位以内にまで枠を広げると43勝となり、半数を超える。優勝者の大半が主戦場にしている米ツアーを例に挙げればドライビングディスタンスのランキングに入る選手は例年190人前後だから、上位15〜16%から半数以上の優勝者が出ているわけだ。まさに飛ばし屋天国。逆にドライビングディスタンス100位以下の選手は7勝しか挙げていない。

PGATOUR.COMより

今回優勝したモリカワの全米プロ終了時の米ツアードライビングディスタンスは295.9ヤードで107位である。シーズン終了時には99位以内に浮上している可能性はなきにしもあらずだが、それは差し置き全米プロ終了時の順位で話を進めると100位以下の選手の優勝は2015年全英オープンのザック・ジョンソン以来である。飛ばしっぷりが話題になっているブライゾン・デシャンボーをはじめ、ダスティン・ジョンソン、マシュー・ウルフ、キャメロン・チャンプら屈指の飛ばし屋らとの優勝争いを勝ち切ったのだ。モリカワの大会フェアウェイキープ率は1位。正確性の勝利だったといえるだろう。

PGATOUR.COMより

かつてのメジャーはモリカワのような正確性に秀でたタイプが強かった。1980年代はドライビングディスタンス100位以下の選手が13勝、1990年代は11勝とこの20年間で計24勝を挙げている。中でも全米オープンはその傾向が強く20年間で8勝。カーティス・ストレンジやヘール・アーウィン、コーリー・ペイビンといった面々がタフなセッティングを正確性で攻略していた。しかし、2000年以降は前述したように昨年までの20年間のメジャー全大会で計7勝。1980、90年代と比較すると3分の1以下にまで激減してしまった。

今回のモリカワはこの流れにクサビを打ち込んだといえる。パワーゲーム全盛の時代に、かつての名選手たちのように「ゴルフのうまさ」でメジャーを制した印象だ。次のメジャーは9月20日開幕予定の全米オープン。「力」が勝つのか「技」が勝つのかという視点で楽しむのもいいのではないだろうか。

米ツアードライビングディスタンス100位以下の選手のメジャー優勝数

年代 優勝数 主な選手
1980〜89年 13勝 カーティス・ストレンジ
1990〜99年 11勝 マーク・オメーラ
2000〜09年 4勝 ジム・フューリク
2010〜19年 3勝 ウェブ・シンプソン


文・宮井善一
1965年生まれ。和歌山県出身。スポーツニッポン新聞社でゴルフ記者を8年間務め、2004年にフリーのゴルフライターとして独立。ゴルフ誌などに執筆のほか日本プロゴルフ殿堂オフィシャルライターとして活動している。元世界ゴルフ殿堂選考委員。



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