今季2戦目はルーキー・笹生がV! 最大の魅力はその飛距離!!
「いまどきツアーをデータ斬り!」国内外のゴルフツアーをあらゆるデータで一刀両断 Vol.41
19歳のルーキー・笹生優花がNEC軽井沢72トーナメントで衝撃の初優勝を飾った。笹生の魅力は飛距離に象徴されるスケールの大きさ。その飛ばしっぷりをデータで紹介しよう。
今季2戦目はルーキー・笹生がV! 最大の魅力はその飛距離!!
笹生がそのパワーを存分に発揮して初優勝を決定づけたのが16番パー5だろう。標高1000m近い高地で飛距離が出やすいとはいえ、第1打を280ヤード以上かっ飛ばし、6番アイアンで2オンさせてのイーグル奪取だった。
今季は新型コロナウイルス対策の一環でスタッフが必要なドライビングディスタンスを計測していない。だから、笹生の正式な飛距離は不明だが、ツアートップクラスであることは間違いない。そこで、昨年までのデータから笹生の飛距離の変遷をひも解いてみたい。
まずはドライビングディスタンスが初めて計測された2017年、高校1年生だった笹生は5試合で平均249.50ヤードを記録している。これは同年のランキングにあてはめれば7位の数字である。2018年は4試合で平均258.09ヤードと一気に伸ばした。この年のドライビングディスタンス1位は葭葉ルミで258.29ヤード、2位は穴井詩で258.05ヤード。つまり、笹生は2位の穴井を上回り、1位の葭葉に迫る数字を叩き出していたわけだ。軽井沢同様、高地で開催されたフジサンケイレディスでは282.50ヤードをマークしている。
そして、アマチュア最後のシーズンとなった昨年はサントリーレディス1試合のみの出場だったが、ここで264.25ヤードを記録して大会1位となった。この大会の2位は葭葉で256.25ヤード。実に8ヤードもの大差をつけての1位だったのだ。笹生は前年の自身最終戦だった伊藤園レディスでも大会ドライビングディスタンス1位(253.50ヤード)。つまり、2試合連続でプロを抑えての1位だったのである。ちなみに昨シーズンのドライビングディスタンス1位は穴井で260.67ヤード。笹生は1試合だけだから比較にはならないかもしれないが、穴井の数字を大きく上回っていた。
過去3年のデータからは、年々飛距離を伸ばしていることが分かる。プロとなった今季は飛ばしにさらに磨きがかかっていることが十分に考えられる。破格のスケールを持つルーキーの出現は、ツアーをますますヒートアップさせてくれるはずだ。
笹生優花の年度別ドライビングディスタンス
年 | 飛距離 | 部門別ランキングにあてはめた順位 |
---|---|---|
2017 | 249.50ヤード | 7位 |
2018 | 258.09ヤード | 2位 |
2019 | 264.25ヤード | 1位 |
文・宮井善一
1965年生まれ。和歌山県出身。スポーツニッポン新聞社でゴルフ記者を8年間務め、2004年にフリーのゴルフライターとして独立。ゴルフ誌などに執筆のほか日本プロゴルフ殿堂オフィシャルライターとして活動している。元世界ゴルフ殿堂選考委員。
撮影/相田克己 本誌編集部ほか