「鉄人たちのアイアン話」には上達のヒント満載! Vol.3
自分のゴルフをする! そう決めたことで2年目も優勝を手にできた
「第28回 アイアンマンカップ2020」が開幕した。パターとアイアン合わせて9本のみが使用可能で、担ぎまたは手引きカートを使用してのセルフプレー。真夏に合計27ホールで競う、いろんな意味でアツい大会だ。そんなアイアンマンカップに複数回挑戦しているベテランたちに「アイアンだけで戦う過酷な大会の魅力と戦略」について話を伺った。
経験豊富な彼らの話には、大会に挑戦してみようと考えている人や、もっとアイアン巧者になりたい人の上達のヒントにもなるエッセンスが感じられた。これを読んだら、今年の大会に参加したくなるかも?!
【アイアンマンカップ】国司美香さんのクラブセッティング
アイアン:6本(#5~9、PW)
フォーティーンTC544
シャフト:FT16i(R)
ロフトセッティング
5番 23度
6番 26度
7番 30度
8番 34度
9番 38度
PW 42度
ウェッジ:2本
イオンポーツTW15
シャフト:NSプロ950GH
50度、58度
パター
オデッセイホワイトホット♯5
センターシャフト(32.5インチにカット)
アイアンのライ角は、フラットに調整しています。アップライトで長めに設定されているクラブなので、純正のままでは、左にしか飛ばないため、かなり調整しています。
今回また、さらにフラットに調整しました。フィーリングが合わなければ、また、調整する予定です。最初の年は6番アイアンからのセッティングだったんですが、ティショットで距離を稼ぐために、2年目から5番アイアンを加えました。
最初の年は、ウェッジは45度に立てた48度を入れた3本でしたが、5番が加わったので、本数を合わせるために、48度は、現在は抜いています。ロフトやライ角の調整はお店にお願いしていますが、パターのカットをはじめ、グリップ交換なども自分で行います。昔、そういう仕事をしていたので、クラブを自分で調整することに、問題はありません。
国司美香(くにし・みか)さん(48歳)
ゴルフ歴20年/平均スコア84
アイアンマンカップ参加歴3年目/過去参加回数3回
アイアンマンカップ平均スコア/27Hで123・ベストスコア 27Hで118
挑戦初年度にいきなり優勝を果たした強者
----アイアンマンカップに挑戦したきっかけは?
知人の男性が出場していて、ずっと誘われていたんですけど、歩きで自分でクラブを持って、セルフプレーなんて、無理無理! と断っていたんです。「手引きカートもあるから、大丈夫」と言われたんですけど、それでも「無理!」と2年ほど断り続けていたんですが、おととしの2018年に、急に1回チャレンジしてみようかな? という気になって、エントリーしたら、予選も通って、優勝しちゃったんですよ。
----すごいですね。今はハマりましたか?
はい、ハマりました(笑) ゴルフ観が変わりましたよ。ウッドを握らないでアイアンだけでこんなゴルフ出来るんだ…と。普通のゴルフとは異なる魅力があります。私は飛距離が出ないので、アイアンだけで回るなんて、無理だと思っていたんですが「3オン目指せばいいんだよ」と言われたら、「そうか」と思うようになって(笑) 手引きカートOKだから担がないでいいのも大きかったですね。
----初年度の勝因はなんだと思いますか?
自分にはそんな技量がないと思っていたし、他のプレーヤーの方が、明らかにレベルが高いと感じていたんですが、「あ!」と思うようなミスショットが乗ったり、パッティングでも「あれ? 入った」ということが何度もあって、運が味方してくれたと感じています。
特に、最初の年は、途中から足がつって、けいれんみたいな感じで、動けなくなって、同じ組の人にも先に行ってもらって、迷惑かけたんですけど、何とか完走したいと思って頑張りました。周囲からは「よくそんな足でできたね」と言われるくらいで、スイングできないし、足、動かしたらつる! みたいな状況だったんですけど、完走したら、運に助けられて優勝できたという感じです。初年度は足のことだけに気を取られて、あまり中身も覚えていないんです。
----そんな状態で2年連続優勝を遂げられたのはすごいことです
去年も予選から出ようと思ったのですが、都合が合わなくて、ディフェンディングチャンピオンなので、決勝だけ出場しました。一緒に回った人も、お一人は前年に一緒だった人で、お上手だなというのが脳裏にあって、一緒に回らせてもらうから、いい人のプレーを見ておこう…くらいの気持ちでいました。でも、スタートホールでショットを曲げて、「トリ」発進。あ~、終わったなと思ったんですけど、逆のそのおかげで、緊張感がなくなって「頑張ってある程度いければいいな」って思えるようになったんです。
----最初に大叩きして、リラックスできたんですね。
はい。さらに、ハーフターンで貼り出されている成績をみたら、38とか39で上がってる人が3人くらいいて、「この人たちの誰かが優勝するんだろうな」と思いました。18年は天候がひどかったので、みなさん、そんなにいい成績は出せてなかったんですけど、去年は天候も良かったし、ショットを見ても他の人のレベルの高さは感じていましたから、実力が出せてると感じていました。
でも、同伴プレーヤーはコースをよく知っている人で「いい成績を出している人たちが最後に回る9ホールは、そんなにスコアが出ないから、まだわからない」と言ってくれて、他の人のスコアだけ見たら「きつ!」って思うけど、その同伴者が「自分のゴルフして頑張ろう!」って言ってくれて、そこで「そっか、自分のゴルフさえしておけばいいんだ」って思えるようになったんです。
----それで最後の9ホールはご自身が37というスコアを出せた。
神様がついていました(笑) 綺麗な球でいってるわけではなくて、ずっと「あ~」って言いながら回ってるくらい。でも、同伴者からは「あ~言いながら、パー取れてるやん」って(笑) ティショットもセカンドも「あ~!」って言いたくなるような球ばかりでしたよ(笑)
アイアンショットが確実にステップアップした
----自身のゴルフはどんな風に変わったんですか?
アイアンを練習するようになりました。普通のラウンドだと、ドライバー、ウッドまたはユーティリティ、ウェッジ、パターを使うだけ。アイアンを打つとしたら、ショートホールくらいしかないので、頻度が低いせいもあって、普段の練習もウッド系が中心でした。飛距離が出ないから、ウッドを使うことも多かったですからなんですよ。でも最近はアイアンばかり練習しているので、だんだん、ウッド系が打てなくなってきました(笑) でも、アイアンショットは確実にステップアップしています。
----普段からアイアンを使うようになってきたんですか?
アイアンマンに出た後に、ノーマルな競技に出たんですけど、練習不足もあって、途中からウッドが当たらなくなってしまいました。このままじゃいけないと思って、後半はアイアンだけで回ったんです。アイアンマンで、アイアンだけであのスコアで回れるんだから…と、刻んでいっても、パーが獲れることがわかったし、そうしたら、いい感じで上がれたんですよ。困ったら、アイアンを握ればいい…と思えるようになって、アイアンショットに自信が持てるようになりました。
----練習で何か気をつけていることはありますか?
特にないですね。スティックを置いて、スタンス方向性などを確認するくらいです。あとは、アイアン全番手の飛距離を把握するようになったかな? きっちり打てないとしても、ある程度の距離感がつかめるように練習します。また、普通のラウンド時にアイアンマンカップをイメージして、アイアンだけでまわることもあります。
それから、ティショットでOBを打つのは絶対にNGなので、ミスしてもOBの出ない球の打ち方を練習します。アイアンですから、特にティショットのOBは精神的にもきますからね。決勝コースもそうですが、左右に曲げると傾斜があるので、セカンドをなるべくいい状況で打つためにも、曲げないようにしっかり練習を重ねています。
----アイアンマンカップの魅力はなんですか?
何でしょうね(笑) 真夏で、時期的にも体調管理も厳しいし、そんな暑いときに、クラブを自分で持って…話だけ聞くと、ただしんどいだけって感じがありますよね。でも、楽しいんですよ(笑) 変な魅力があるんです。言葉では説明できないものがあるんですよ。
それと、決勝大会で普段は行かないような遠くのコースに行けるのも、そうそうないので、チャレンジしたいと思いますね。
2020アイアンマンカップの目標は?
今年は予選から挑戦する予定です。実はずっと前から、首と腰が悪くて、そのせいで足がつっていた部分もあるんですけど、これが悪化してきてしまって、27ホール歩きというゴルフに身体がついていけるか自信がないので、様子見も兼ねて、予選から参加しようと思っています。
途中で打てない状況になって、棄権もあるかもしれないし、周囲からも「やめた方がいいんじゃない?」と言われていますが、それでも挑戦したいと思っています。
----痛みがあるのに出場したいと思えるほど、魅力を感じてくれているんですね。でも、無理はせずに、異変を感じたら棄権してくださいね。とはいえ、そんな国司さんの頑張りは、また神様が味方してくれるような気がします。完走目指して頑張ってください!
取材・文/下山江美
写真提供/国司美香さん
協力/アイアンマンカップ運営事務局
【シリーズ一覧】
●Vol.1:仲間との絆も楽しみながら、ティショットを飛ばしてスコアメイクも!
●Vol.2:第2回大会から出場し続けるアイアンマンカップ・マイスター!
●Vol.3:自分のゴルフをする! そう決めたことで2年目も優勝を手にできた