ランガーのマスターズ史上〝最年長予選通過〟にあった、さらなる大記録。
「いまどきツアーをデータ斬り!」国内外のゴルフツアーをあらゆるデータで一刀両断 Vol.55
63歳のベルンハルト・ランガーがマスターズ史上最年長での予選通過を果たした。今回、彼が樹立した記録はそれだけではない。どんなものか紹介しよう。
ランガーのマスターズ史上〝最年長予選通過〟にあった、さらなる大記録。
衰えを知らないランガーがマスターズの大舞台でも存在感を見せつけた。最初の2ラウンドを3アンダーの141で回って28位で予選を通過。63歳78日での予選通過は2000年トミー・アーロンの63歳45日を更新する最年長記録となったことは各メディアで報じられているとおりだ。
ランガーは60歳で迎えた2018年、そして昨年も予選を通過している。マスターズにおいて60代で予選通過を果たした選手はランガーを含めて7人いるが、3年連続は初めての快挙である。2年連続はサム・スニードただ1人。ランガーはゴルフ史上のレジェンド中のレジェンドといえるスニードをも上回ったのだ。
さらに、ランガーは決勝ラウンドでも73、71にまとめて通算3アンダー、285で29位に入ってみせた。このスコアは1974年にスニードがマークしていた2アンダー、286の60代選手ベストスコアを更新するもの。ここでもスニード超えを果たしたわけだ。
大会最終日、ランガーは今、米ツアーで最も飛ばす男といっていいブライゾン・デシャンボーと同じ組でプレーした。この日のドライビングディスタンスはデシャンボーが出場選手中1位の314.5ヤードでランガーは最下位の249.5ヤード。その差は実に65ヤードである。
スコアはデシャンボーが1イーグル、2バーディ、3ボギー、1ダブルボギーという出入りの激しい内容で73だったのに対してランガーは4バーディ、3ボギーの71。何と63歳の老雄が、若さとパワーの代表格であるデシャンボーに勝ったのだ。コースの隅々まで知り尽くしているベテランだからこそのスコアメイクのツボがあるのだろう。
来年のマスターズは例年通り4月開催の予定。自身の記録をさらに伸ばしてほしいものだ。
マスターズで予選通過を果たした60代選手
選手名 | 年齢 | 年度 | 順位 |
---|---|---|---|
ジーン・サラゼン | 61歳 | 1963年 | 49位 |
サム・スニード | 60歳 | 1973年 | 29位 |
サム・スニード | 61歳 | 1974年 | 20位 |
ゲーリー・プレーヤー | 62歳 | 1998年 | 46位 |
トミー・アーロン | 63歳 | 2000年 | 57位 |
ジャック・ニクラウス | 60歳 | 2000年 | 54位 |
トム・ワトソン | 60歳 | 2010年 | 18位 |
ベルンハルト・ランガー | 60歳 | 2018年 | 38位 |
ベルンハルト・ランガー | 61歳 | 2019年 | 62位 |
ベルンハルト・ランガー | 63歳 | 2020年 | 29位 |
文・宮井善一
1965年生まれ。和歌山県出身。スポーツニッポン新聞社でゴルフ記者を8年間務め、2004年にフリーのゴルフライターとして独立。ゴルフ誌などに執筆のほか日本プロゴルフ殿堂オフィシャルライターとして活動している。元世界ゴルフ殿堂選考委員。
撮影トーナメント/2019マスターズ
撮影/マスターズ・オフィシャルサイト
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