メジャー連覇に隠された、さらなる大記録!
「いまどきツアーをデータ斬り!」国内外のゴルフツアーをあらゆるデータで一刀両断 Vol.56
女子ツアー2020年最終戦のJLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップは原英莉花が制した。原は10月の日本女子オープンに続く公式競技(メジャー)連勝となったが、それだけでなく、とんでもない大記録も打ち立てていた。
メジャー連覇に隠された、さらなる大記録!
新型コロナウイルスで揺れた2020年を締めくくったのは黄金世代の原だった。メジャー連勝は13人目で15例目(ほかに欠場をはさんでの連勝が2例)。この中には黎明期に樋口久子が成し遂げた9連勝というアンタッチャブルな記録もある。
原は今回、初日から単独首位を守り通しての優勝だった。メジャーにおいて4ラウンドすべて単独首位での優勝は原で8例目。連勝よりもこちらのほうがレアな記録である。
さて、ここからが本題だ。日本女子オープンで原は3日目に単独首位に立ち、最終日はそのまま逃げ切っての優勝だった。つまり、今回と合わせてメジャーで6ラウンド連続単独首位に立ち続けたのである。
メジャーでの連続ラウンド首位記録はタイを含めれば樋口が1970年から72年にかけてマークした10ラウンド連続(日本女子プロは1971年まで1日27ホールの2日間競技だったので、各日終了時の順位とする)。メジャー9連勝真っ最中につくった記録である。
その樋口も単独首位に限れば5ラウンド連続が最高だった。そして、これが女子全体での従来の記録。つまり、原はレジェンド樋口を超えて新記録を打ち立てたわけだ。これはもう、歴史的な記録といっていい。
いくら強い選手でも、毎日いいスコアを出すのは至難の業である。最終的には優勝しても、4日間の中には山もあれば谷もある。それに、順位はほかの選手との兼ね合いもあるから運も必要だ。原の新記録は、さまざまな要素がうまく巡り合ってなし得たものだといえる。
原には来年、メジャー3連勝の期待がかかる。同じ黄金世代の畑岡奈紗も現在メジャー連勝中。「欠場をはさんで」という注釈付きになるが出場3試合連続優勝の権利がある。これまでメジャー3連勝を成し遂げているのは樋口(9連勝と4連勝)と不動裕理(3連勝)の2人だけ。畑岡は米ツアーが主戦場のため可能性は低いかもしれないが、来年のメジャー初戦で史上3人目の3連勝をかけた両者の直接対決が実現すれば面白い。
原英莉花のメジャー連勝各日のスコアと順位
日本女子オープン
日 | スコア | 順位 |
---|---|---|
初日 | 68 | 3位(4打差) |
2日目 | 70 | 2位(3打差) |
3日目 | 66 | 首位(4打差) |
最終日 | 68 | 優勝(4打差) |
JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ
日 | スコア | 順位 |
---|---|---|
初日 | 67 | 首位(1打差) |
2日目 | 68 | 首位(2打差) |
3日目 | 71 | 首位(1打差) |
最終日 | 72 | 優勝(2打差) |
文・宮井善一
1965年生まれ。和歌山県出身。スポーツニッポン新聞社でゴルフ記者を8年間務め、2004年にフリーのゴルフライターとして独立。ゴルフ誌などに執筆のほか日本プロゴルフ殿堂オフィシャルライターとして活動している。元世界ゴルフ殿堂選考委員。
撮影トーナメント/
2020NEC軽井沢72ゴルフトーナメント
撮影/JGMA
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