2020年は男子ツアーでもアマチュア選手が大躍進!
「いまどきツアーをデータ斬り!」国内外のゴルフツアーをあらゆるデータで一刀両断 Vol.57
2020年の男子ツアーで目立ったのはアマチュア選手の活躍だ。トップ10が実に6回。これは過去に例のない出来事である。
2020年は男子ツアーでもアマチュア選手が大躍進!
今年の男子ツアーは1月のSMBCシンガポールオープンを含めてもわずか6試合の開催にとどまった。国内の“開幕戦”は9月のフジサンケイクラシック。ここで当時プロ転向前だった金谷拓実が5位に入ったのがアマチュア選手大躍進の始まりだった。
続く日本オープンでは杉原大河と河本力がそろって5位に入る。さらに、三井住友VISA太平洋マスターズで中島啓太が優勝争いを繰り広げて3位に食い込んだ。中島はダンロップフェニックスで2試合連続トップ10となる8位でフィニッシュ。この大会では米澤蓮も最終日63の猛チャージで中島と同じ8位にまで急上昇した。5選手が合わせて6回のトップ10を記録したのである。
ツアー制度が施行された1973年以降、年間のアマチュア選手最多トップ10回数は1981年の9回である。これに次ぐのが1991年の7回。今年の6回は歴代3位で1977、78年も同数である。
ただし、1991年以前は各地区連盟主催の6つの地区オープン(北海道オープン、関東オープン、中部オープン、関西オープン、中四国オープン、九州オープン)が含まれていることを強調しておきたい。地区オープンはプロが各地区に分散する上、アマチュア選手の出場枠が広い。プロの層が薄い地区の大会はアマチュア選手が上位に入ることが特に多く、6回以上の年は、そのほとんどが地区オープンで記録したものなのだ。
地区オープンを除くと2001、11、12、19年の4回が最多(ちなみに2001年は宮里優作、2012年は松山英樹が1人で4回記録)だった。今年はそれらを上回り、実質的な最多記録を塗り替えたというわけだ。しかも、たったの6試合で。
試合が減ったために有力アマチュア選手が集中したという側面はあるかもしれないが、もし予定されていた25試合すべてが開催されていたらトップ10を20数回記録するほどの驚異的なペースだったのである。
対して女子ツアーはニトリレディスでの小倉彩愛の9位だけ。前年の14回から激減した。こちらは前年から高校3年生もプロテストを受験できるようになったことも影響していると考えられるが、それを加味しても男女であまりにも対照的な結果となった。
2020年男子ツアーのアマチュア選手トップ10
大会 | 選手 | 順位 |
---|---|---|
フジサンケイクラシック | 金谷拓実 | 5位 |
日本オープン | 杉原大河 | 5位 |
日本オープン | 河本力 | 5位 |
三井住友VISA太平洋マスターズ | 中島啓太 | 3位 |
ダンロップフェニックス | 中島啓太 | 8位 |
ダンロップフェニックス | 米澤蓮 | 8位 |
文・宮井善一
1965年生まれ。和歌山県出身。スポーツニッポン新聞社でゴルフ記者を8年間務め、2004年にフリーのゴルフライターとして独立。ゴルフ誌などに執筆のほか日本プロゴルフ殿堂オフィシャルライターとして活動している。元世界ゴルフ殿堂選考委員。
撮影トーナメント/フジサンケイクラシック2020
撮影/JGMA
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