全米オープンの常識を覆した新王者|40年間で最もラフに入れた異端児の圧勝!
TEE-UP WORLD WIDE TOPICS & NEWS|今月の1枚
長年、全米オープンでは「ラフに入れたら1罰打」と言われてきた。優勝スコアをイーブン前後に設定する全米オープンはメジャーの中でも最も難度が高いコースセッティングで限界までラフを長くしている。だからこそフェアウェイキープが優勝するための王道だったが、“ゴルフの科学者”を自負するデシャンボーは新しい攻略法を“証明”した。
特に今年のウイングドフットは、練習日の段階から例年以上に長いラフが話題になり、コースディレクターのスティーブ氏は「優勝スコアは8オーバーになるかも知れない」と語っていた。実際に世界のトップ選手からも
「練習ラウンドでも難しい、すごく難しいよ」(ダスティン・ジョンソン)
「今までで一番難しい」(ジャスティン・トーマス)
具体的な攻略について質問されたローリー・マキロイは、
「このコースだと350ヤード飛ばしてラフに入れるなら、刻んででもフェアウェイから打ちたい」
しかし、デシャンボーは大会直前の公式会見でも異端児らしい攻略法を語っていた。
「かつてブルックス・ケプカはベスページ(19年の全米プロ)を力でねじ伏せた。僕はそれに憧れている。ラフに入っても、ウェッジや9番アイアンであればグリーンの真ん中には乗せられる。それが飛距離のアドバンテージだ」
その言葉通り、デシャンボーはドライバーで果敢に攻めてフェアウェイキープ率は過去40年間の優勝者としては最も少ない41%。パー3を除く56ホールでわずか23回しかフェアウェイキープしていない。それだけラフに入れたら、ボギー連発になりそうなデータ。しかし、結果は2位に6打差をつけて、出場選手で唯一4日間ともオーバーパーを出さずに優勝。それは全米オープンの常識を覆した1勝だった。
「深いラフでもウェッジや9番アイアンならグリーンを狙える。それが僕の飛距離のアドバンテージだ」
ブライソン・デシャンボー
1993年9月16日生まれ。185㎝、108㎏。16年の「マスターズ」でローアマとなり、翌週にプロ転向。PGAツアーではすでに7勝をマーク。今年3月以降、新型コロナウイルスの影響でツアーが中断したときに肉体改造をして、体重を10kg増量。飛距離アップしたことも話題になった。
GOLF TODAY本誌 No.581 12〜13ページより
【TEE-UP WORLD WIDE TOPICS & NEWS】
←昨年の渋野日向子を超えるシンデレラストーリー!
全米女子オープンで有言実行! 新しい渋野が目指した1打→
シリーズ一覧へ