米女子ツアー「開幕戦」優勝者に、不吉なデータが!?
「いまどきツアーをデータ斬り!」国内外のゴルフツアーをあらゆるデータで一刀両断 Vol.64
米女子ツアーの今季開幕戦、ダイヤモンドリゾーツ・トーナメント・オブ・チャンピオンズを制したのはジェシカ・コルダだった。幸先のいいスタートを切った、と言いたいところだが、実は開幕戦優勝者には不吉なデータがある。
米女子ツアー〝開幕戦〟優勝者に、不吉なデータが!?
ダニエル・カンとのプレーオフを制して通算6勝目を飾ったジェシカ・コルダ。3年ぶりの復活優勝とあって喜びもひとしおだろう。だが、水を差すようで申し訳ないが、開幕戦の優勝者はその年は低迷するというありがたくないジンクスがあるのだ。
2011年から昨年までの過去10年間の開幕戦優勝者で、賞金ランキング10位以内でシーズンを終えたのは2011年に賞金女王になったヤニ・ツェンだけ。2012年以降は9年連続でトップ10からもれているのだ。
その中の2例はコルダ自身。2012年の開幕戦で初優勝を果たしたが、その後は目立った成績を残せず賞金ランキングは41位に終わった。2014年の開幕戦で2勝目をつかみ、この年は5月にもう1勝しているが予選落ちも多く、賞金ランキングは16位だった。
もっと恐ろしいデータもある。コルダはまだその後も優勝はしているが、最近は開幕戦の勝利が米女子ツアーで最後の優勝になってしまった選手が多いのだ。
現在、日本で存在感を示している申ジエは2013年開幕戦が米女子ツアー最後の優勝。さらに、2016年キム・ヒョージュ、2018年ブリタニー・リンシカム、2019年チ・ユンヒ、2020年ギャビー・ロペスもそれ以降、優勝がない。
2015年のチェ・ナヨンはその年にもう1勝しているが、それが最後の優勝となっている。名前を挙げた選手は実力者ぞろいだが、開幕戦で勝ったらまるであとは転げ落ちるだけかのような傾向があるのだ。
その前の10年間(2001〜2010年)はどうだったかというと、賞金ランキングトップ10に入った例が7回もあった。2002年にはアニカ・ソレンスタムが自己ベストの11勝を挙げ、当時の年間獲得賞金新記録を樹立。2004年には開幕戦で米女子ツアー初優勝を飾ったカレン・スタップルズが同年の全英女子オープンでメジャー初制覇も達成。そして2010年は宮里藍がこれまた自己ベストの年間5勝をマークしている。むしろ、開幕戦優勝は吉兆だったわけだ。
それが、2012年のコルダを境に一転したというわけ。このジンクスを自ら覆すことができるか、今季のコルダに注目だ。
米女子ツアー過去10年の開幕戦優勝者と当該シーズン賞金ランキング
年 | 選手 | 賞金ランキング |
---|---|---|
2011年 | ヤニ・ツェン | 1位 |
2012年 | ジェシカ・コルダ | 41位 |
2013年 | 申ジエ | 22位 |
2014年 | ジェシカ・コルダ | 16位 |
2015年 | チェ・ナヨン | 17位 |
2016年 | キム・ヒョージュ | 20位 |
2017年 | ブリタニー・リンシカム | 32位 |
2018年 | ブリタニー・リンシカム | 22位 |
2019年 | チ・ユンヒ | 24位 |
2020年 | ギャビー・ロペス | 31位 |
文・宮井善一
1965年生まれ。和歌山県出身。スポーツニッポン新聞社でゴルフ記者を8年間務め、2004年にフリーのゴルフライターとして独立。ゴルフ誌などに執筆のほか日本プロゴルフ殿堂オフィシャルライターとして活動している。元世界ゴルフ殿堂選考委員。
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