上田桃子が最終日バーディ「ゼロ」でV! これってどれほどレア!?
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国内女子ツアーのパナソニックオープンレディースで上田桃子が2年ぶりの通算16勝目を飾った。2位で出た最終日はバーディなしながら73にまとめてプレーオフに持ち込んでの勝利だった。ではバーディなしでの優勝は、いったいどのくらいのレアケースなのか。
上田桃子が最終日バーディ“ゼロ”でV! これってどれほどレア!?
最大瞬間風速が20mを超えるほどの強風が吹き荒れたパナソニックオープンレディース最終日。平均ストロークは前日より4打近く悪い76.0667にまで落ち込んだ。上位陣もことごとく苦戦を強いられ、2打差首位で出た古江彩佳は77と崩れ去った。
そんな中、2位につけていた上田は丁寧にパーを重ねていく。14番まではすべてパー。15番こそ短いパーパットを外してしまったが、16番から再び我慢のゴルフでパーをセーブして1ボギーのみの73、通算5アンダーの首位タイでホールアウト。同じく73で回った大里桃子とのプレーオフでもパーを続け、2ホール目でボギーを叩いた大里を退けた。
公式記録にホールごとのスコアが残る1990年以降、最終ラウンドでバーディがなかった優勝者は上田で7例目である。22年間で7例だから、約3年に1例の計算だ。それくらい珍しいケースだったわけである。
さらに、今回の上田は過去の6例と決定的に異なる点がある。それは最終ラウンドスタート時の順位だ。
上田以外の6例はすべて単独首位で最終ラウンドを迎えていた。しかも、すべて3打差以上のリードがあった。スコアを崩しながらも大量リードを生かしてしのぎ切ったという展開だったのだ。
上田の場合は非常に難しいコンディションの中、粘り強い好プレーをして逆転勝利をつかみ取ったという印象である。実際、上田の73は当日の平均ストロークより3打もいいわけだ。黄金世代など20歳前後の若手が脚光を浴びる中、34歳のベテランが示した我慢のゴルフは難コンディション下でのお手本になったのではないだろうか。
女子ツアー最終ラウンドバーディなしの優勝者(1990年以降)
大会 | 優勝者 | 最終ラウンドスコア | 最終ラウンド前の位置 |
---|---|---|---|
1990年ダイキンオーキッドレディス | 高須愛子 | 75 | 3差首位 |
1992年明治乳業カップ | 中野晶 | 74 | 4差首位 |
1993年ワールドレディス | 平瀬真由美 | 79 | 6差首位 |
2000年ダイキンオーキッドレディス | 藤野オリエ | 75 | 4差首位 |
2008年日本女子プロ | 辛ヒョン周※ | 77 | 4差首位 |
2016年サントリーレディス | 姜秀衍 | 73 | 3差首位 |
2021年パナソニックオープンレディース | 上田桃子 | 73 | 2差2位 |
※ヒョンは火へんに玄
文・宮井善一
1965年生まれ。和歌山県出身。スポーツニッポン新聞社でゴルフ記者を8年間務め、2004年にフリーのゴルフライターとして独立。ゴルフ誌などに執筆のほか日本プロゴルフ殿堂オフィシャルライターとして活動している。元世界ゴルフ殿堂選考委員。
撮影トーナメント/
2021明治安田生命レディスヨコハマタイヤゴルフトーナメント
撮影/中野義昌
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