米女子ツアー、アメリカ勢の“メジャー連敗”ようやくSTOP!
「いまどきツアーをデータ斬り!」国内外のゴルフツアーをあらゆるデータで一刀両断 Vol.87
アメリカ期待の星、ネリー・コルダが全米女子プロでメジャー初優勝を飾った。アメリカ勢のメジャー制覇は実に3年ぶり。史上ワースト更新中だった“メジャー連敗記録”をようやく11で止めた。
米女子ツアー、アメリカ勢の“メジャー連敗”ようやくSTOP!
自国のツアーでありながらメジャーで勝てないアメリカ選手の負の連鎖を止めたのは世界ランキングで同国選手最上位の3位につけていたネリー・コルダだった。2018年のエビアン選手権でアンジェラ・スタンフォードが勝って以降、アメリカ選手はメジャー制覇から遠ざかり、今年の全米女子オープンまで11大会連続でメジャータイトルを逃していた。これは史上ワースト記録だったのだ。
かつての米女子ツアーはプレーヤーの大多数がアメリカ選手だった。もちろんメジャー覇者もアメリカ勢中心。1970年代の10年間は22大会でアメリカ勢以外の優勝は樋口久子(1977年全米女子プロ)の1勝のみだった。
アメリカからみた海外勢が徐々に増えてきた1980年代でもアメリカ勢のメジャー勝率は81.1%と依然として高かった。スウェーデンのアニカ・ソレンスタムが参戦してきた1990年代でも72.5%の勝率を誇っていた。
ところが2000年代に状況が一変する。ソレンスタムのほかオーストラリアのカリー・ウェブや韓国の朴セリを筆頭にしたアジア勢が台頭し、アメリカ勢のメジャー勝率は22.5%に激減。2010年代の10年間でも23.4%と1年に1回勝てるかどうかの厳しい戦いを強いられていた。
2011年全米女子プロから2013年全米女子オープンまで当時ワーストの10連敗を記録。そして2019年ANAインスピレーションから始まった連敗記録は笹生優花が勝った今年の全米女子オープンで11となりワースト記録を更新していたわけだ。
全米女子プロの優勝でアメリカ選手としては7年ぶりに世界ランキング1位に立ったコルダ。この優勝はアメリカ勢反撃の呼び水となるか。今週はフランス開催のメジャー、エビアン選手権。果たしてアメリカ勢の成績は?
女子メジャー過去13大会の優勝者と出身国
大会 | 優勝者 | 出身国 |
---|---|---|
2018年エビアン選手権 | A・スタンフォード | アメリカ |
2019年ANAインスピレーション | コ・ジンヨン | 韓国 |
2019年全米女子オープン | イ・ジョンウン | 韓国 |
2019年全米女子プロ | H・グリーン | オーストラリア |
2019年エビアン選手権 | コ・ジンヨン | 韓国 |
2019年全英女子オープン | 渋野日向子 | 日本 |
2020年全英女子オープン | S・ポポフ | ドイツ |
2020年ANAインスピレーション | イ・ミリム | 韓国 |
2020年全米女子プロ | キム・セヨン | 韓国 |
2020年全米女子オープン | キム・アリム | 韓国 |
2021年ANAインスピレーション | P・タバタナキット | タイ |
2021年全米女子オープン | 笹生優花 | 日本・フィリピン |
2021年全米女子プロ | N・コルダ | アメリカ |
文・宮井善一
1965年生まれ。和歌山県出身。スポーツニッポン新聞社でゴルフ記者を8年間務め、2004年にフリーのゴルフライターとして独立。ゴルフ誌などに執筆のほか日本プロゴルフ殿堂オフィシャルライターとして活動している。元世界ゴルフ殿堂選考委員。
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