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チーム戦の創設5周年|次々芽生える BROMANCE(ブロマンス)

佐渡充高のテレビでは語れなかったPGAツアー

2021/06/27 ゴルフサプリ編集部

ゴルフ番組やゴルフ雑誌ではあまり語られることのないトピックを、ゴルフジャーナリストやトーナメント中継の解説者として活躍する佐渡充高が取り上げ、独自の見解とともにお届けします。

GOLF TODAY本誌 No.589/115ページより

ゴルフ界の“元祖ブロマンス”はタイガーとマキロイの関係

PGAツアーで唯一、2人1組チーム戦として2017年にスタートしたチューリッヒ・クラシック。毎回パワーランキング下位組が一気に優勝に絡むなど、予想外の展開でチーム戦の醍醐味たっぷりだ。また低迷気味の選手がこの試合での上位を契機に突如、好調に転じることも。選手たちは「誰を選ぶかはケミストリー(化学反応)」と表現し、コラボレーションを経てブロマンスに発展することも珍しくない。

19年優勝のライアン・パーマー(44歳)とジョン・ラーム(26歳)はキャディの仲介で偶然ペアを組んだ。テキサスの熱い男パーマーはラームの熱血ゴルフに刺激され9年ぶりの勝利。その後、パーマーの漢気に惹かれたラームの活躍は加速し、同年欧州ツアーで年間王者を初戴冠。翌年6月にはメモリアルに優勝し、スペイン人としてバレステロス以来2人目の世界ランク1位に上り詰めた。

ブロマンスとはブロ(兄弟)とロマンスの混成語で、バディより親密で性的感情や関係のない友人関係。広く知られているのはバイデン大統領とオバマ元大統領、映画共演からブロマンスを育んだジョージ・クルーニーとブラッド・ピット、サッカーのデビッド・ベッカムとトム・クルーズらは有名だ。

ゴルフ界の元祖ブロマンスはタイガー・ウッズとローリー・マキロイだ。 2012年美しい庭園で2人がインタビューを受ける様子が報道され、あまりの親密感に「ブロマンス」「パワーカップル」「婚約発表のよう」と評された。

根底にあるのは敬愛の念。紆余曲折を経ても勝ち続けるウッズにマキロイは憧れ、実際に同年ウッズ邸から数キロの場所に引っ越したほど。ブロマンス効果で2014年までの4年間でメジャー4勝と大躍進。基金活動で仲良く氷水を浴びたり、笑いながら「チビ」「ハゲ」と呼び合ったことも。マキロイは今年2月ウッズの自動車事故後は広報官のようにメディアに近況を話し、退院後はすぐに自宅を見舞い「メジャー15個のトロフィー以外(67個)がどこにあるのか把握していなかった」と驚きのエピソードも語った。

今年の勝利チーム、豪州マーク・レイシュマン(37歳)はキャメロン・スミス(27歳)と一軒家で寝食を共にし士気を高め、ヘアカットまで断行! ロングヘアの両サイドをバリカンでフェアウェイの如く刈り上げる大胆デザインで、スミスは絶対的信頼で委ねたのだった。
 
ババ・ワトソンと昨季新人王スコッティ・シェフラー組は直前まで相手が決まらず“残った同志”ペアで出場し8位タイ! ワトソンはトップ10が実に半年ぶりで予期せぬ好反応に驚き喜んだ。いよいよ全米オープン、全英オープン、五輪とビッグイベントが目白押し。チーム戦で芽生えたブロマンスがビッグ・サプライズを起こすかもしれない。

●文/佐渡充高
さど・みつたか
上智大学法学部卒業。1985年に渡米し、USPGAツアーを中心に世界のゴルフを取材。NHKゴルフ解説者。


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