1. TOP メニュー
  2. HOTニュース
  3. 海外ニュース
  4. フレンチゴルフのルネサンスなるか!?|世界選手権で快進撃! ビクトル・ペレスに熱視線

フレンチゴルフのルネサンスなるか!?|世界選手権で快進撃! ビクトル・ペレスに熱視線

佐渡充高のテレビでは語れなかったPGAツアー

2021/05/27 ゴルフサプリ編集部

ゴルフ番組やゴルフ雑誌ではあまり語られることのないトピックを、ゴルフジャーナリストやトーナメント中継の解説者として活躍する佐渡充高が取り上げ、独自の見解とともにお届けします。

GOLF TODAY本誌 No.588/115ページより

史上初の五輪ゴルフは1900年パリ大会だった

世界選手権マッチプレーという大舞台で唯一のフランス選手ビクトル・ぺレス(28歳)が初出場にしてベスト4に進出! 準決勝で敗退も、ゴルフのルネサンスを願うフレンチゴルファーは興奮したことだろう。2018年史上初のフランス開催だった欧米対抗戦ライダー杯はフランス選手ゼロで盛り上がりきれず……。ギャラリーとして観戦していたペレスは、母国の誇りのため次大会でメンバー入りすることを目標のひとつに掲げ、それが躍進の原動力になった。

フランスのゴルフは長い歴史がある。フランス初のゴルフ場開場は欧州大陸初。日本より47年早い1856年(安政3年)。徳川家定と篤姫が結婚した年だった。皇帝ナポレオン、シャルル・ド・ゴール大統領、ココ・シャネルもゴルフを楽しんでいた。ビアリッツグリーン(中央部に窪み)は米国著名コースに受け継がれるなどフランス発祥のDNAは大きな影響をもたらしてきた。

メジャー勝利も1907年アルノー・マシ―が全英オープンで達成。五輪においてもパイオニアで、史上初の五輪ゴルフは1900年パリ大会。女子競技が10選手による9ホールストロークプレーで開催。優勝は当時22歳の米国人マーガレット・アボットでスコアは47。2打差2位はスイスのポリー・ウィッター。腰をコルセットで絞る舞踏会のような服装でヒッコリーシャフトのクラブを優雅に振りプレーした。(ちなみに五輪男子競技は1904年米国セントルイス大会から)

実はゴルフ先進国のフランス。そこから久々に有望な選手が現れた。それがビクトル・ペレスで、198㎝の長身から繰り出されるショットは7月末に開催される東京五輪で見ることができそうだ。

フランスは欧州で先進的存在でありながら、マシ―のメジャー優勝から114年が経過。「ゴルフはアール・ド・ヴィーヴル(暮らしの芸術)。バカンスで食事、芸術、文化などと共に楽しむもの」と言うが、本音は競技ゴルフのルネサンスを願い、2人目のメジャー勝者が出現する日をずっと待ち続けている。

近年のフランス選手ではビクトル・デュビッソンが2014年マッチプレー選手権2位、全英9位タイ、全米プロ7位タイと活躍も勝利に届かず。99年全英オープンではジャン・バンデベルデが惜敗2位。3打リードで最終ホールを迎えたが池に入れ逆転負け。「カーヌスティの悲劇」「レ・ミゼラブル」等と大々的に報じられた。

ペレスは198㎝の長身を生かしたダイナミックなスイングとパワー溢れる高弾道が魅力。ニューメキシコ大学に留学し米国でのプレー経験も豊富。

五輪ランクは最上位で東京大会への出場が濃厚、24年五輪パリ大会へも連続出場の可能性もある。名実ともにビクトルになるべく、ビッグイベントでの勝利に挑んでいる。

●文/佐渡充高
さど・みつたか
上智大学法学部卒業。1985年に渡米し、USPGAツアーを中心に世界のゴルフを取材。NHKゴルフ解説者。


【佐渡充高のテレビでは語れなかったPGAツアー】
←奇跡よぶ応援の力|ベン・ホーガン。そしてタイガー・ウッズへ
チーム戦の創設5周年|次々芽生える BROMANCE(ブロマンス)→

前回へ 次回へ

シリーズ一覧へ