ベン・ホーガン スコアを作る“決め球”の条件
アイアンが際立つ!強い”決め球”の作り方[第1回]
7月にツアー初優勝を飾った堀琴音。森プロの指導で、低い球を打たせたことがきっかけで“決め球”をつかめたようだ。強い攻め方を支える武器、絶対の信頼を寄せられる“決め球”をマスターしよう!
GOLF TODAY本誌 No.591 81〜85ページより
逆球が出ない技術がコース攻略を支える
フェースだけのアレンジでは逆球は防げない
スコア作りには、ナイスショットを磨くよりも、いかにミスを抑えるかが大事、と森プロ。
「そのためには天候やライの変化に対応でき、ミス防止の〝保険〟をかけることができる、プレッシャーに強い〝決め球〟を作ることが大きな武器になります。
スイングが固まってくると、自分なりの〝持ち球〟がまとまってくると思いますが、それと〝決め球〟の大きな違いは、逆球が出ないことです。
スライサーの人がたまにヒッカケを打つ、ということはよくありますが〝決め球〟は逆球の要素を徹底的に排除して作ります」
インテンショナルなスライス、フックの打ち方の基本とされる、アドレス時のフェースの開閉だけでは、逆球の要素は消えない。
「だからプロは、スタンスやグリップなどに個性的なフェード用、ドロー用のスイングパーツを組み込んでいるんです」
スタンス向き×フェース向きの曲げ技は逆球の危険性大
オープン、クローズのアドレスはフェースターンを難しくする
フェースを開いて握り直すと、ニュートラルな持ち方よりヘッド重心が後ろに来るため、フェースを開いて上げやすいが、インパクトでのフェースターンはしづらい。結果、返しすぎのミスや開きすぎのミスが出やすくなる。
フェースを閉じてグリップし直すと、ヘッド重心が前方に来る。シャットに上げやすくなるが、返りすぎを気にして逆にターンを抑える動きになりがち。開いて当ててしまうプッシュアウトのミスが出やすい。
“ホーガン流”強いアイアンスイングの作り方〜スイングを育てる流れとは?
強いインパクトの条件を知ることから始まり、パワーフェードの技術を解析してきたが、どうすれば効率よくマスターできるのか...
“決め球”作りの原点ドロー回転からのアレンジを考える
ヘッドが走れば自然にドロー回転がかかる
ドロー回転を抑えるのがハンドファースト
効率よくエネルギーをボールに伝えるには、フェースターンは必須。ヘッド軌道を変えずにフェースターンの速度、インパクト時のフェース向きを調整してドロー回転を抑えるには、グリップのポジションを先行させるハンドファーストが最も有効だ。
ホーガン流“決め球”の目標はプッシュフェードとハイドロー
フェードとドローの技術は正反対ではない
人間は機械ではないので、スイングは年齢や体調で日々変わるのが当たり前、という森プロ。
「だからこそ“決め球〟といっても、飛距離や曲がり幅、弾道高さなどはその日の調子で、多少変わってもいいんです。
ただし、逆球だけはダメ。大事なのは、打ち出し方向の管理と、つかまり具合の調整。この2大ポイントを、自分なりにアレンジできる方法を見つけることです。
〝決め球〟は、飛距離や方向性がバラつきやすいスライスやフックではなく、ストレートをベースとしたフェード、ドローを目指してください」
効率よいスイングをすれば、ドローが出て正解、と森プロ。
「だから〝決め球〟としてフェードを打つ技術とドローを打つ技術は、対称的ではなく、まったく別モノになります。ホーガンと私の師匠、陳清波の違いを比較すると、よくわかります」
Ben Hogan
ベン・ホーガン(1912~1997)
アメリカ・テキサス州出身。身長173㎝、体重68㎏。ツアー通算64勝。メジャー3勝後の1949年に自動車事故で瀕死の重傷を負うが、翌年に復帰。以後、メジャーでは1953年の3冠を含む6勝を加え、グランドスラマーに。1948年に『パワー・ゴルフ』、1957年にレッスンのバイブルと呼ばれる『モダン・ゴルフ』を著し、現代でもそのスイング理論は多くのゴルファーに影響を与え続けている。
ホーガン アナリスト
森 守洋(1912~1997)
ベン・ホーガンを手本としたダウンブローの達人・陳清波に師事。現在もホーガンの技術研究に余念がない。
イラスト/久我修一 取材協力/東京ゴルフスタジオ
【アイアンが際立つ!強いスイングの作り方】
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