ベン・ホーガン 精密ドローは「右手ウィーク」がカギ
アイアンが際立つ!強い”決め球”の作り方[第2回]
森プロの師匠・陳清波の“決め球”は「曲がり幅1ヤードのドロー」だという。ホーガンの技術に憧れた陳清波が磨き上げた伸びのあるハイドロー技術の要は、グリップとフットワークにあるらしい。
GOLF TODAY本誌 No.592 115〜119ページより
“決め球”ドローはタテ回転増で幅を狭める
巻き込まずにロフトを立てつつ押す
ドローはランが出て、飛距離のコントロールが難しいイメージがあるかもしれないが、森プロ曰くそれは本物のドローではなく、曲がり幅の小さいフックだという。
「私の師匠の陳清波やアイアン巧者の安田春雄らのドローは、強烈なバックスピンがかかり、伸びがあってよく止まる弾道でした。
基本はストレート弾道で、落ち際で左に切れる、というか、絶対右に行かないだけのコントロールが効いた弾道が、強い“決め球〟となるドローです」
基本技術は、ホーガン流と全く同じでいい。
「アイアンは、ダウンブローならインサイドからのヒットになるので、自然に軽いフックになります。そこで、ロフトを立てながら押すインパクトにすることで、フェースのヨコ回転を抑えつつ、バックスピンを増やす。これが強いドローを打つために師匠(陳清波)がマスターした技術です」
ドローの条件1|ロフトをたてるフェースターン
ドローの条件2|プレーンの上に抜けるヘッド
まずは“右に打ち出せる”ボール位置を探す
確実に“右に出る”ボール位置がある
スイングが一定なら、ボール位置を右に寄せるほどインサイドからヘッド
が当たりやすく、右に打ち出しやすくなる。また、フェースもわずかに右を向
くようになる。適度な位置を見つけよう。
達人・陳清波の曲げ幅は1ヤード
陳清波はスタンスラインを目標に合わせて、1ヤード足元から離れたボールをスタンスと平行に打ち出して、目標に戻すドローを打った。これならアドレスの向きがチグハグになることもない。
ベン・ホーガン スコアを作る“決め球”の条件
7月にツアー初優勝を飾った堀琴音。森プロの指導で、低い球を打たせたことがきっかけで“決め球”をつかめたようだ。強い攻め...
<右手を被せる効用>つかまえ切れないから強く叩いてドローになる
ウィークグリップなら右手をフルに使える
右手の押しで手元は低くヘッドは高く抜ける
右手をフルにねじ込むことで、手元は低く振り抜く動きになる。手元が先行して押さえられるぶん、ヘッドは飛球線方向寄りに高く抜けていき、ハイドローが打てる。
曲げ幅は「スライド」と「ターンアップ」で調整
①右打ち出しを助長する「スライド」
ダウンで腰を左にスライドすることを強調した陳清波。「実質的にボールを右に寄せるのと同じ効果があるので、タメを生かして右打ち出しを確実にする技術と言えます」(森)
②すっぽ抜けを防ぐ「ターンアップ」
陳清波はフェースターンを強く促しながら、高く振り抜くことを重視して「ターンアップ」と表現した。「右打ち出しがすっぽ抜けにならず、確実にドローで戻す技術です」(森)
フェースを〝回し切る〟感覚から入る
「ドローというと、少しだけフェースをクローズにして捕らえていくイメージになりがちですが、師匠(陳清波)は逆。わずかにオープンでボールに当て、潰して離れるときにスクエアになるよう、フェースをターンさせるのが正解だと語っていました。
実際、現代の高速度撮影でプロのドローのインパクトを撮影すると、そうなっています」
だからこそ、フックグリップではなくウィークグリップのほうがドローには合う、という。
「開いて捕らえたら、速く強く返せるほどバックスピンはかかります。バンカーショットのSWと同じで、開いておいてしっかり返す。それには右手を被せたウィークグリップがベストです」
左手のたぐり動作と合わせて、ロフトを立てながら回し切る。
「以前紹介した、ワッグルアプローチのドリルで覚えるのがオススメです」
Ben Hogan
ベン・ホーガン(1912~1997)
アメリカ・テキサス州出身。身長173㎝、体重68㎏。ツアー通算64勝。メジャー3勝後の1949年に自動車事故で瀕死の重傷を負うが、翌年に復帰。以後、メジャーでは1953年の3冠を含む6勝を加え、グランドスラマーに。1948年に『パワー・ゴルフ』、1957年にレッスンのバイブルと呼ばれる『モダン・ゴルフ』を著し、現代でもそのスイング理論は多くのゴルファーに影響を与え続けている。
ホーガン アナリスト
森 守洋(1912~1997)
ベン・ホーガンを手本としたダウンブローの達人・陳清波に師事。現在もホーガンの技術研究に余念がない。
イラスト/久我修一 取材協力/東京ゴルフスタジオ
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