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ベン・ホーガン 精密ドローは「右手ウィーク」がカギ

アイアンが際立つ!強い”決め球”の作り方[第2回]

2021/10/29 ゴルフサプリ編集部

ベン・ホーガン 精密ドローは「右手ウィーク」がカギ

森プロの師匠・陳清波の“決め球”は「曲がり幅1ヤードのドロー」だという。ホーガンの技術に憧れた陳清波が磨き上げた伸びのあるハイドロー技術の要は、グリップとフットワークにあるらしい。

GOLF TODAY本誌 No.592 115〜119ページより

“決め球”ドローはタテ回転増で幅を狭める

巻き込まずにロフトを立てつつ押す

ドローはランが出て、飛距離のコントロールが難しいイメージがあるかもしれないが、森プロ曰くそれは本物のドローではなく、曲がり幅の小さいフックだという。

「私の師匠の陳清波やアイアン巧者の安田春雄らのドローは、強烈なバックスピンがかかり、伸びがあってよく止まる弾道でした。

基本はストレート弾道で、落ち際で左に切れる、というか、絶対右に行かないだけのコントロールが効いた弾道が、強い“決め球〟となるドローです」

基本技術は、ホーガン流と全く同じでいい。

「アイアンは、ダウンブローならインサイドからのヒットになるので、自然に軽いフックになります。そこで、ロフトを立てながら押すインパクトにすることで、フェースのヨコ回転を抑えつつ、バックスピンを増やす。これが強いドローを打つために師匠(陳清波)がマスターした技術です」

ドローの条件1|ロフトをたてるフェースターン

ベン・ホーガン 精密ドローは「右手ウィーク」がカギ
ロフトを立てながらインパクトすると、バックスピンが増える(上)。ただし、スイングプレーンは斜めに傾いているので、実際にはヒール下とトゥ上が入れ替わる方向のターンでOK。

ドローの条件2|プレーンの上に抜けるヘッド

ベン・ホーガン 精密ドローは「右手ウィーク」がカギ
フォローでボールを押すようにヘッドが出ると、プレーンよりわずかにヘッドが上に抜ける。これで左に出る要素がなくなり、ターフも浅くなり、高さも出しやすくなる。

まずは“右に打ち出せる”ボール位置を探す

確実に“右に出る”ボール位置がある

スイングが一定なら、ボール位置を右に寄せるほどインサイドからヘッド
が当たりやすく、右に打ち出しやすくなる。また、フェースもわずかに右を向
くようになる。適度な位置を見つけよう。

ベン・ホーガン 精密ドローは「右手ウィーク」がカギ
ボール位置を右に寄せるとフェースも右を向き、インサイドから当たりやすくなる。
ベン・ホーガン 精密ドローは「右手ウィーク」がカギ
アドレスを目標に向けながら、ボール位置のアレンジで打ち出し方向がどのくらい変わるかチェックしてみる。

達人・陳清波の曲げ幅は1ヤード

ベン・ホーガン 精密ドローは「右手ウィーク」がカギ

陳清波はスタンスラインを目標に合わせて、1ヤード足元から離れたボールをスタンスと平行に打ち出して、目標に戻すドローを打った。これならアドレスの向きがチグハグになることもない。

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左親指をグリップの真上に置き、それを包むように右手を被せる。右親指と人差し指のV字は左肩を指す。
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左手のたぐり動作に合わせ、右手でしっかりフェースをねじ込むように押す。ロフトが立ちながらも、フェースのヨコ回転は抑えられている。

右手の押しで手元は低くヘッドは高く抜ける

ベン・ホーガン 精密ドローは「右手ウィーク」がカギ

右手をフルにねじ込むことで、手元は低く振り抜く動きになる。手元が先行して押さえられるぶん、ヘッドは飛球線方向寄りに高く抜けていき、ハイドローが打てる。

曲げ幅は「スライド」と「ターンアップ」で調整

①右打ち出しを助長する「スライド」

ベン・ホーガン 精密ドローは「右手ウィーク」がカギ

ダウンで腰を左にスライドすることを強調した陳清波。「実質的にボールを右に寄せるのと同じ効果があるので、タメを生かして右打ち出しを確実にする技術と言えます」(森)

②すっぽ抜けを防ぐ「ターンアップ」

ベン・ホーガン 精密ドローは「右手ウィーク」がカギ

陳清波はフェースターンを強く促しながら、高く振り抜くことを重視して「ターンアップ」と表現した。「右打ち出しがすっぽ抜けにならず、確実にドローで戻す技術です」(森)

ベン・ホーガン 精密ドローは「右手ウィーク」がカギ
ホーガンと陳清波に共通するポイントとして、グリップの左人差し指の先が見える。「右手のスナップを利かせたフォローでは、より顕著になります」(森)

フェースを〝回し切る〟感覚から入る

「ドローというと、少しだけフェースをクローズにして捕らえていくイメージになりがちですが、師匠(陳清波)は逆。わずかにオープンでボールに当て、潰して離れるときにスクエアになるよう、フェースをターンさせるのが正解だと語っていました。

実際、現代の高速度撮影でプロのドローのインパクトを撮影すると、そうなっています」

だからこそ、フックグリップではなくウィークグリップのほうがドローには合う、という。

「開いて捕らえたら、速く強く返せるほどバックスピンはかかります。バンカーショットのSWと同じで、開いておいてしっかり返す。それには右手を被せたウィークグリップがベストです」

左手のたぐり動作と合わせて、ロフトを立てながら回し切る。

「以前紹介した、ワッグルアプローチのドリルで覚えるのがオススメです」

Ben Hogan
ベン・ホーガン(1912~1997)

アメリカ・テキサス州出身。身長173㎝、体重68㎏。ツアー通算64勝。メジャー3勝後の1949年に自動車事故で瀕死の重傷を負うが、翌年に復帰。以後、メジャーでは1953年の3冠を含む6勝を加え、グランドスラマーに。1948年に『パワー・ゴルフ』、1957年にレッスンのバイブルと呼ばれる『モダン・ゴルフ』を著し、現代でもそのスイング理論は多くのゴルファーに影響を与え続けている。

ホーガン アナリスト
森 守洋(1912~1997)

ベン・ホーガンを手本としたダウンブローの達人・陳清波に師事。現在もホーガンの技術研究に余念がない。

イラスト/久我修一 取材協力/東京ゴルフスタジオ


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