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米国での注目度が高いミズノ ST-Z 220 ドライバーは日本でも名器になるのか?

ミズノがグローバルモデルとして展開するST-Z 220 ドライバーをコースに持ち込み、ロマン派ゴルフ作家が検証

2022/01/31 ゴルフサプリ編集部

ミズノ ST-Z 220 ドライバー

日本国内のゴルフファンよりも、アメリカのゴルフファンの注目度が高いといわれる『ST-Z 220 ドライバー』の実力は? コースに持ち込んで打ってみてわかったことをレポートする。

本当は、最も飛ぶ可能性が高いドライバーが『ST』なのだ!

ミズノ ST-Z 220 ドライバー
ミズノ ST-Z 220 ドライバー

ミズノは、2022年3月11日に『ST-Z 220 ドライバー』を発売する。
同時に『ST-X 220 ドライバー』も発売される。
二つのドライバーの違いは、『ST-Z 220 ドライバー』が直進性能を追求したクラブで、『ST-X 220 ドライバー』はつかまえる性能を追求したクラブになっているということらしい。

『ST-Z 220 ドライバー』のコピーは“The Next Generation. ミズノは、時代を超越する。高初速×低スピン×直進性。”である。

『ST』シリーズは、元々、ミズノの欧米市場用のウッド系のブランドだ。
2020年から日本でも発売されて、グローバルモデルになった。

アメリカでは、マニアックなゴルフジャーナリストが、フェアな同条件で各メーカーのドライバーをマシンテストしたボールスペックや色々なテスターが打ったボールスペックを比較して、ドライバーのランキングを発表することが盛んに行われている。

それらのランキングで、2018年から連続して、『ST』シリーズのドライバーが、他メーカーのドライバーを押しのけて、飛距離部門と総合部門でトップになったことは、日本国内ではほとんど注目されない。

ちなみに、2021年の1年間で、僕がコースではなくインドアの鳥カゴ(室内の練習場の業界用語)で、忖度がないといわれているトラックマンで打ったボールスペックで、最も高い数値を記録したのも、ミズノの『ST-G ドライバー』(国内ではミズノ直営店のみでの2021年の秋に発売)だった。

欧米では、新しいドライバーも注目されていて、欧米のツアーに供給された直後の試合で、キース・ミッチェルが『ST-Z 220 ドライバー』を使用して、平均飛距離326.1ヤードを記録したことが話題になった。

テクノロジーとして、かつて、高反発の規制が始まるきっかけとなった「フォージドβチタン合金(2041Ti)」をフェースに使用している点に注目である。
飛ばすドライバーを作るには最高の素材なのに、高反発違反にならないように調整するのが難しいという理由で、飛ばしの要素としては劣る他のチタン合金素材に置き換わったという歴史を逆行して、ミズノは「フォージドβチタン合金」を改めて採用しているのだ。

日本のゴルファーならば、胸を張って使うのが正解であり、何でも舶来物が良いという明治時代さながらの価値観とは、そろそろ、サヨナラして良いのではないか、と思いながら、コース試打はスタートした。

『ST-Z 220 ドライバー』のスペックは、ロフトは9.5度のまま(ネックの調整機能で最大2度、立てたり、寝かしたりが可能)、TOUR AD GM D カーボンシャフト(Sフレックス)、長さは45.5インチだった。

アドレスしてみると、最初に感じたのは、フォルムはオーソドックスで、構えやすいのに、ライ角がかなりフラットだということだ。
実際のライ角は、57.5度なので、少しフラットなだけなのだが、ヘッドのクラウンの頂点の位置などの関係で、フラットに見えるようだ。

次に感じたのは「あれ? このドライバーはやさしそうだなぁ」だった。
ミズノのドライバーは、伝統的にアドレスビューでゴルファーに多くの情報を伝達する傾向がある。全体的に高さがあって、ボールが上がりにくそうだ、とか、後方へのクラウンの曲面の具合で、楽にハイボールが打てそうだ、とか。
『ST-Z 220 ドライバー』は、楽に打てそうな安心感があるドライバーだ。

独特の打感と棒球がST-Z ドライバーの最大の武器になる!

ミズノ ST-Z 220 ドライバー
ミズノ ST-Z 220 ドライバー

『ST-Z 220 ドライバー』の一発目は、少しフェードした中弾道の勢いが強いボールだった。飛距離は225ヤード。ヘッドスピード40m/sとしては、トップレベルに飛んだ。

良かった点は、パシッという感じで、残響もある打音とフェースに乗る感じが残る打感。フェースにボールが乗る感じは、ボールをコントロールしている気分になって良い。面白いのは、それでいながら、初速感が強いボールが出ることだ。

中弾道で飛んでいったボールは、ランもそれなりに出る。

少しパワー不足を感じるシーンもあったが、『ST-Z 220 ドライバー』は、基本的にはボールを曲げるのは苦手なドライバーに分類される。ストレートか、ややフェードに飛ぼうとする。引っかけは出にくくなっていて、左に意図せずに飛んでいったボールはゼロだった。

狙ったところに打ち出しやすい感覚は、ピカイチで、本当に良かった。
方向性を気にして、合わせに行ったホールでも、それなりに飛距離は出るところも好感を持った。

最も飛んだホールは、245ヤードで、安定して飛ばせるドライバーだと確信を得た。オーソドックスなフォルムで、低スピンなボールを打ちたいゴルファーに『ST-Z 220 ドライバー』はオススメしたい。

構えた感じでは、もっと高弾道で棒球系のボールが出ると思ったが、中弾道で低スピンなボールになる。

パワーがないゴルファーは、シャフトを別の物にすることをオススメする。
僕の場合でも、もう少し軽くて、扱いやすいシャフトであれば、平均飛距離があと5ヤードぐらいは稼げたと感じた。

最近のドライバーは、手応えが希薄で、鈍感に感じるクラブが増えている。
『ST-Z 220 ドライバー』は、その部分は、しっかり目で、敏感な手応えがある。それが、完璧なショットのときにゴルファーを喜ばせる要因として機能する。
ボールを見る前に、手応えで、放ったボールがわかるからだ。

ミズノはアイアンのメーカーで、ウッドを販売しているのは知らなかった、という人がいる。

それが、案外と通ぶって声高にクラブ語るような人に多いように思う。
黙って、『ST-Z 220 ドライバー』を打ってみなさいよ、と説教したくなった。

コースで『ST-Z 220 ドライバー』を打ちながら、良い物だから売れる、という単純なロジックが通用しない業界を嘆きつつ、わかる人だけが、ひっそりと使って、その性能を楽しめば良いのだ、とも思ったりした。

左に行く不安がなくなったお陰で思い切って振れるドライバーは、宣伝だけを見れば巷に溢れているはずなのに、市場には案外と少ない。
『ST-Z 220 ドライバー』は、色々なゴルファーに、様々な特別を提供してくれるドライバーなのである。

篠原嗣典。ロマン派ゴルフ作家

篠原嗣典。ロマン派ゴルフ作家

篠原嗣典。ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてデビュー。試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。


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