ミズノ ST-X 220 ドライバーはぶっ飛びドライバーなのか?!
国内女子ツアーで話題沸騰のST-X 220 ドライバーをコースに持ち込み、ロマン派ゴルフ作家が検証!
ミズノ『ST-X 220 ドライバー』
ツアープロに供給が始まった週にいきなり優勝ドライバーになった『ST-Z 220 ドライバー』の実力は? コースに持ち込んで打ってみてわかったことをレポートする。
撮影/篠原嗣典
知る人ぞ知る発売が待たれた『ST-X 220 ドライバー』!
ミズノは、2022年3月11日に『ST-X 220 ドライバー』を発売する。
同時に『ST-Z 220 ドライバー』も発売される。
『ST-X 220 ドライバー』のコピーは、“The Next Generation. 高初速×低スピン×ドローバイアス。”
ミズノは、大々的な宣伝をしなかったが、『ST-X 220 ドライバー』は、ツアーで供給された直後の2021年秋の『第40回大王製紙エリエールレディスオープン』で、早々に優勝ドライバーになった。使用していたのは、契約プロの原英莉花プロ。
情報通なゴルフファンは、『ST-X 220 ドライバー』に注目するようになった。
更に年始に放送されたスポーツバラエティ番組のドラコン対決で、ミスショットだったと言いつつも、280ヤードドライブを放った原英莉花プロの手には、当然、『ST-X 220 ドライバー』が握られていた。
「今度のミズノのドライバーは凄いらしいぞ」
という噂が流れて、かなりの盛り上がりを見せた。
男子のトッププロが使用して結果を出した用具は、一般的なアマチュアでは機能をフルに発揮できない物だったりするが、女子のトッププロの場合、一般的なアマチュアとの差が小さいので、ダイレクトに結果が出る用具が多い。
待望の『ST-X 220 ドライバー』だったのである。
テクノロジーとして注目すべきする点は、かつて、高反発の規制が始まるきっかけとなった「フォージドβチタン合金(2041Ti)」をフェースに使用していることである。
高反発違反にならないように調整するのが難しいという理由で、飛ばしの要素としては劣る他のチタン合金素材に置き換わったという歴史を逆行して、ミズノは「フォージドβチタン合金」を改めて採用している。
ソールを見てみると、他のメーカーのドローバイアスのようにウェイトがネックの近くにあるのではなく、「バックヒールウェイト」とミズノが命名した通りに、バックフェースのややヒール寄りにウェイトが設置されているのだ。
ボールをつかまえるだけではなく、ミスにも強くなっていることが推測される。
試打した『ST-X 220 ドライバー』のスペックは、ロフトは10.5度のまま(ネックの調整機能で最大2度、立てたり、寝かしたりが可能)、TOUR AD GM D カーボンシャフト(Sフレックス)、長さは45.5インチだった。
アドレスしてみると、最初に感じたのは、フォルムはややネックサイドのボリュームがあるが良い感じで、構えやすい。ヘッドのクラウンの頂点の位置などのバランスも良い。
『ST-X 220 ドライバー』は、構えてみると、安心感があって、頼りになると思わせた。
スライス防止ではなく飛距離アップのための『ST-X 220 ドライバー』!
『ST-X 220 ドライバー』の一発目は、軽くフェードをした中弾道のボールで飛距離は225ヤード。
ヘッドスピード40m/sとしては、トップレベルの飛距離である。
打音の音量はちょうど良く、パシッというやや濡れた音質は、通好みで気持ちが良かった。打ち応えは、少し軽めだけれど、フェースのどこに、どんな感じで当たったかという手応えは敏感。
ドローバイアスは、最小限で、ドロー打ちのゴルファーなら心地良いと感じるはずだ。ボールをとらえる機能は、フェード打ちゴルファーがとらえて飛ばすフェードボールを打つ際にも発揮される。
僕の場合、ストレートなボールと、軽いフェードとドローという感じで狙い通りに打つことが出来た。
中弾道で、やや伸びがあるボールは、個人的には大好きなのだが、飛距離に関しては、方法を変えればもっと飛ばすことが可能だと感じた。
平均飛距離は225ヤード。最高飛距離のホールは235ヤードだった。
実は、コース試打の前に、トラックマンでデータを取りながらいくつかのシャフトを打たせてもらったのだが、純正の「TOUR AD」よりも、軽いシャフトのほうが10ヤードぐら飛距離が出たのだ。購入する場合は、フィッティングを受けて、シャフトを自らに合わせたほうが良いと思う。
『ST-X 220 ドライバー』は、スライスを防止する機能を期待すると、ちょっと裏切られる可能性があるが、強いボールのフェードを打ちたいゴルファーであれば、オススメである。
もう一つ、少し気になったのが、設計上の設定ヘッドスピードが、45m/s以上なのではないか、ということだ。ヘッドスピード47m/sの同伴者に打ってもらったが、彼が使っているドライバーより15ヤード以上飛んだのだ。
パワーヒッターで、ツアーで評価されているドライバーを打ちたいというゴルファーにも『ST-X 220 ドライバー』をオススメする。
『ST-X 220 ドライバー』でラウンドして、1球だけフェードが大きくなりすぎて池に入ってしまうという失敗があったが、あとのホールは全てフェアウェイの狙ったところに打つことが出来た。
飛距離については、事前に驚異的な飛距離性能を確認して、ハードルが上がってしまった関係で、少し物足りないと感じたが、トータルで考えれば、スコアアップするためのドライバーとして、総合力はかなりの高さを誇ると確信した。
出球が左に出やすい傾向があるので、ひっかけやチーピンに悩んでいるゴルファーは注意が必要だ。
『ST-X 220 ドライバー』は、グローバルモデルが、成分無調整で販売される、と考えるとわかりやすい。多くのメーカーのグローバルモデルは、日本市場に販売されるものは、日本市場仕様というチューニングをしてあるが、『ST-X 220 ドライバー』はそれを感じさせないからだ。
同じシリーズの『ST-Z 220 ドライバー』と、どちらを選ぶか? そこに注目するゴルファーも多いと思う。優劣ではなく、個性との相性ということになりそうだ。
『ST-X 220 ドライバー』は、宣伝だけを見ていると、やさしいドライバーだと考えると思う。しかし、実際は、かなりハードで、一筋縄ではいかないドライバーである。
ヘッドが持っているポテンシャルは満点で、文句はない。
僕は、基本的に、純正シャフト装着時のインプレのみにすることにしている。シャフトは沼で、キリがないからだ。
とはいえ、『ST-X 220 ドライバー』については、素晴らしいヘッドを活かすために、純正シャフトではないシャフトも試してみるべきだとオススメする。
『ST-X 220 ドライバー』は、数発打てば、「これは合わない」とすぐにわかるクラブであり、逆に合っている場合は「自分のために作られた完璧なドライバーだ」と感動も出来る不思議なクラブだ。
色々なゴルファーが打てるように、飛び抜けた特徴を削って、余計な物を足してしまうクラブは多いが、『ST-X 220 ドライバー』は、そういう意味で妥協がないのだ。
自信があるゴルファーにこそ、『ST-X 220 ドライバー』は存在するのである。
篠原嗣典。ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてでビュー。試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。
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