オデッセイの「5K」という名前のパターは名器の未来を見せてくれる!
新しいオデッセイのパターをコースに持ち込み、ロマン派ゴルフ作家が検証する!
オデッセイ『TRI-HOT 5Kパター』
『TRI-HOT 5Kパター』は、2022年のパターのトレンドを名器の器にぎゅうぎゅうに詰め込んだパターだ。誰のために存在するパターなのか? コースに持ち込んで、その謎を紐解き、レポートする。
撮影/篠原嗣典
「アンサー型」をリスペクトしながら最先端のパターで入れろ!
キャロウェイは、オデッセイブランドで2022年2月4日に新しい『TRI-HOT 5K パター』を発売した。
5モデルのラインアップだが、今回、『TRI-HOT 5K ONE パター』と『TRI-HOT 5K TWO パター』をコースで使用して、どんなパターなのかを調査してみた。
『TRI-HOT 5K パター』の最大の特徴は、「5K」である。
5K=5000という数字は、慣性モーメントの単位で聞いて、ビックリした。
慣性モーメントが5000を越えるのは、大型マレットとか、蜘蛛型のパターの専売特許だったからだ。
『TRI-HOT 5K ONE パター』は、パターの歴史を変えた名器『アンサー』型である。
2022年時点で、いわゆるブレード型とか、ピン型と呼ばれるパターは、厳密には『アンサー2』型だ。ニューポート型も同様で、『アンサー』型よりもサイズが大きいのが特徴なのだ。
『TRI-HOT 5K ONE パター』は、純粋に『アンサー』型で、ヘッドの長さが短くて、少し曲線の丸みも入っているコンパクトなヘッドなのである。
つまり見た目は、慣性モーメントとは縁遠いはずの20世紀のパターなのに、慣性モーメントが、デカヘッド並とは…… それだけで、十分にこのパターは魅力的だ。
更に、ヘッドの前方部分に、全体の90%近い重量が集中している。オデッセイは、浅重心と呼んでいるが、いわゆる前重心のパターだ。
2021年から本格化している前重心のパター市場に、殴り込む勢いを感じる。
最後に、フェースインサートが、ファンが多い「ホワイト・ホット インサート」になっているのだ。
オデッセイのパターを使っているゴルファーのためのオデッセイらしさは、しっかりと踏襲されているのである。
実際に『TRI-HOT 5K ONE パター』をコースで打ってみた。
コンパクトなヘッドは、無駄なところがなく、一切の歪みがない。ブレードと後方のツートンも美しく、集中しやすい。
打音は、小さい。音質は高音だが、湿った残響もかぶる。
打ち応えは軽い弾き感とボールがフェースに乗る感じが同居して、しっかりと打ちたくなる。
『アンサー』好きのゴルファーは、『TRI-HOT 5K ONE パター』を無条件でオススメする。ここまで完璧な『アンサー』色が出ているパターは珍しいからだ。
今までのアンサー型は、少しフェースが長い、と不満を持っていたゴルファーにもオススメだ。
距離感も違和感なく、無段階に打ち分けることが出来る。
『TRI-HOT 5K ONE パター』の特徴である慣性モーメントの大きさは、ミスヒットしたときに飛距離が落ちずに、方向性の狂いも最小限で済む機能として発揮される。
ラウンド中に、自分のことながら、魔法を見せられている気になった。
僕は残念ながらアンサー型のパターは方向性に違和感があって得意ではないので、ディープなマニア的な印象は語れないが、それでも、しっかりとストロークしたときの転がりがきれいだということや、上りパットでの直進性の高さなどを実感できた。
『TRI-HOT 5K ONE パター』は、オーソドックスと最先端が融合したパターだ。
ボディーはクラシックカーなのに、エンジンや足回りなどがレーシングカーになっている憧れのスペシャルカーなのである。
タイガーになったつもりでパットを決めろ!
『TRI-HOT 5K TOW パター』は、ニューポート型と言われる『アンサー2』型パターだ。
特徴は直線美と曲線美のハーモニーと、ホールカップの大きさを連想させる長さのヘッドなのだ。
タイガー・ウッズが、メジャートーナメントで無敵状態だった時代に手にしていたのが、スコッティ・キャメロンのニューポート2というパターで、『アンサー2』型だったことから、21世紀になってからは、アンサーというと、こちらのヘッド形状だと思っているゴルファーが多いかもしれない、
今回、オデッセイが『TRI-HOT 5K ONE パター』と『TRI-HOT 5K TWO パター』の両方を出してきたのは、アンサー型の二つのパターが、似ていながら、かなり違うものであることを知り尽くしているからだと推測する。
21世紀を代表するヘッド形状の一つである『TRI-HOT 5K TWO パター』も、大きな慣性モーメントと前重心という最先端のテクノロジーという魔法がかかると、どうなるのか?
興味津々で打ってみた。
『TRI-HOT 5K TWO パター』の打音と打ち応えは、『TRI-HOT 5K ONE パター』とほぼ同じだ。好みだが、個人的には、もう少ししっかりしたほうが好きだ。
元々、この形状のヘッドのパターで方向性に問題がなかったゴルファーで、最先端のテクノロジーを味わいたい場合に『TRI-HOT 5K TWO パター』はオススメである。
前重心のパターは、右にすっぽ抜けるようなミスが出にくいとされているが、後重心のパターに慣れている場合は、慣れるまで方向性が安定しなくなる傾向がある。
しかし、慣れてくれば、その利点を上手く使えるようになる。『TRI-HOT 5K TWO パター』のほうが、『TRI-HOT 5K ONE パター』よりもわかりやすく効果が出ると推測される。
ミスヒットに強く、今までのブレードパターよりもやさしいパターになっていて、何よりも、カッコイイので目立つパターでもある。
個人的には、ヘッド操作がしやすい『TRI-HOT 5K ONE パター』が好きだが、多くのゴルファーが『TRI-HOT 5K TWO パター』のほうが、結果が出ると思われる。
今までのこの形状のパターのどれよりも、ほんの少しだけアベレージが良くなる可能性を強く感じた。
具体的に書くと、最先端のテクノロジーで1ラウンドで1打良くなる、という感じだ。
1打を馬鹿にする事なかれ。上手くなればなるほど、グリーン上で1打縮めるのは大変だからだ。
こういう地道な積み重ねが、高次元のベストスコアを出す力になる。
『TRI-HOT 5K ONE パター』も、『TRI-HOT 5K TWO パター』も、ピン型が好きなゴルファーは打ってみるべきである。
ジャストナウのトレンドは、今後のパターの一つの選択肢になっていくのが確実視されている。それが自分に合うか? 合わないのか? それを『TRI-HOT 5K Tパター』シリーズは教えてくれることは間違いない。
篠原嗣典。ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてデビュー。試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。
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