スリクソン DISTANCE は安いけれど使えちゃうボールか?!
安価でロングセラーの新しいスリクソン DISTANCEをコースに持ち込み、ロマン派ゴルフ作家が検証する!
1999年に初代が発売されて23年。新しくなった『スリクソン DISTANCE』は、安いのに高性能ボールなのか? コースに持ち込んで、その謎を紐解き、レポートする。
撮影/篠原嗣典
『スリクソン DISTANCE』はステップアップの証である!!
ダンロップは、2022年4月8日に『スリクソン DISTANCE』を発売する。
コピーは、“鋭い飛び出しと風に負けない弾道で大きく飛ばす”である。
初代の『スリクソン DISTANCE』は、1999年に発売された。20世紀末のことだ。
それから23年……
安いボールを求めるゴルファーを助け続けてきたのだ。
ロストボールと呼ばれる中古ボールでゴルフを始めた人も、永遠に中古ボールを使ってゴルフをするケースは皆無である。
高級な中古のボールと同じ値段で、新品のボールが使えるという夢を叶えたのが、『スリクソン DISTANCE』なのだ。
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初級者だけではなく、中級者でも『スリクソン DISTANCE』を使用しているファンがいる。
20世紀に主流だったツーピースボールが好きだというオールドゴルファーにとっても『スリクソン DISTANCE』は受けているという。
今回のモデルチェンジで、新しくなった部分の第一は、高反発ソフトコアと高反発薄カバーで生まれる飛距離性能はそのままで、打感はトレンドのやわらかさを感じられるようにチューニングしたそうです。
目に見える部分では、『スリクソン DISTANCE』だとわかるサイドマークのデザインが一新された。
アライメント機能を備えたシンプルなものですが、パットなどの際に、ラインを合わせるサポートとして機能しそうである。
パッケージも変わって、スリーブ箱が、アライメント機能を強調するように細い長方形の窓があるのだ。
細かいところですが、好感触だった。
昨年のマスターズを制して、その後の米ツアーでも2勝している松山英樹プロが使用しているボールは、ツアーボールのほうの『スリクソン』だが、同じロゴのボールを使うことで、少しでも上手くなった気になれるというプラスというか、シャレもききくというものだ。
『スリクソン DISTANCE』なんて、安かろう、悪かろう、だと決めつけて、無視しているベテランゴルファーも少なからずいるが……
激増している若いゴルファーにとって、『スリクソン DISTANCE』はステップアップの証明になるかもしれないボールになるかもしれないのである。
じっくりと、手加減しないで、コースに持ち込んで『スリクソン DISTANCE』を使ってラウンドをしてみた。
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『スリクソン DISTANCE』名前通りに飛ぶボールなのか?!
結論から書く。
『スリクソン DISTANCE』の飛距離性能は、価格が倍以上する高級な飛距離特化型ボールと同じぐらいで、トップレベルである。
ヘッドスピード40m/sの僕が打って、ドライバーの平均飛距離は220ヤード、7番アイアン(ぶっ飛び系ロフト)は150ヤードキャリーだった。これは十分に飛ぶボールに楽々入るのである。
弾道は打ち出しから高めで、高弾道だ。
良いショットをすれば、少し伸びがあるきれいな軌跡を描く。ただし、曲がりにも少し敏感で、曲げて打ちたいゴルファーには、現在の主流のボールがストレートに飛ぶ傾向が強いので、逆に打ちやすいと感じるかもしれない。
スピン性能は、想定していたよりもしっかりかかる。特にショートアイアンは、落ちた場所にスピンで止まる。
昔のツーピースボールに比べると、この部分は激しく進化している。
打音は音量はやや控えめで、音質は濡れ感があり、上品に分類される。打ち応えは、やわらかいという感触よりも、弾き感もある軽い感触を強く感じた。
『スリクソン DISTANCE』は、どこかの宣伝文句ではないが「お値段以上」のボールである。
基本性能の高さを実感して、1999年から続くブランドで、ファンも多いことに納得させられた。
しかし、実は、かなり調子が良かったにもかかわらず、『スリクソン DISTANCE』の試打ラウンドのスコアは平均よりも少し悪かった。
理由は簡単でショートゲームが、ちょっと合わなかったのだ。
アプローチでは、ボールが打ち出しから高くポーンと飛び出す。低く抑えたり、球種を打ち分けるのは、『スリクソン DISTANCE』は苦手のようだ。
とはいえ、この部分はマイナスだけではない。少々のミスでも、ポーンと高さが出るアプローチができるということでもあるからだ。高いボールのアプローチが好きなゴルファーのほうが過半数なので、プラスに感じると言う意見のほうが多いかもしれない。
そして、パットである。ショートからミドルパットまでは、少し弾き感の強さは気になるものの、タッチを合わせたりすることは、まあまあ問題なく出来るが、ロングパットになると、少し雑というか、弾きすぎる領域が出現して戸惑う。簡単に書くと、距離と打ち出し速度が正比例せずに、ストロークは変わらないはずなのに、急に速度が出すぎしてしまうときがあるのだ。
これについては、かなりレベルの高い話で、ロングパットで絶対的な距離感がなければわからない話だ。
一般的に、ロングパットがショートしがちな傾向があるゴルファーが多いのが現実で、『スリクソン DISTANCE』は、ショートしていた部分を埋めてくれて、ナイスな距離感になる可能性があるので、一概に、それをマイナスに評価は出来ないと思った。
『スリクソン DISTANCE』は、20世紀末のツーピースボールの良さはちゃんと継承しつつ、21世紀のボールとして進化もしている。
安価でありながら、高価格帯のボールと十分に戦える。
コストパフォーマンスを第一に考えたときに、『スリクソン DISTANCE』が勝っていると評価するゴルファーも多いと思った。
最後に、ラウンドを1個のボールで通した結果、ボールが全く汚れていないことにも感心した。
普段使用しているウレタンカバーのツアーボールは、ウェッジやショートアイアンで溝が噛んだ傷や硬いものに当たって傷が付いて、汚れのような跡が残るものだが、ピカピカで、新品のままのように見えたのだ。
耐久性が高いというのも、機能なのである。
ボールにはゴルファーとの相性がある。
『スリクソン DISTANCE』は、多くのタイプのゴルファーに合いそうなボールとして、かなり仕上がっていることは間違いない。
安価なれど、使えちゃうボールとして『スリクソン DISTANCE』は合格である。
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篠原嗣典。ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてでビュー。試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。
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