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30年前のスーパースターのゴルフ戦略【グレッグ・ノーマン独占インタビュー(前編)】

30年前のインタビューを振り返る Part1【ゴルフトゥデイ創刊600号記念】

2022/04/11 ゴルフサプリ編集部

ゴルフトゥデイ創刊号

ゴルフトゥデイ創刊号をゴルフサプリでご紹介する企画。30年前に掲載されたグレッグ・ノーマン独占インタビューの前編です。創刊号当時の編集長のコメントとともにお届けします。

GOLF TODAY本誌 創刊号/25~29ページより

ゴルフトゥデイ編集長が当時を振り返る

1991年の創刊から遡ること5年。1986年の夏7月に私はスコットランドのターンベリーで全英オープンの取材をしていた。朝の7時から、夜は9時くらいまで明るいこともあり、コースを2ラウンド、3ラウンド回るくらい歩き回っていた。初めての全英オープンということや、ゴルフの故郷に来たという興奮がそうさせていたのかもしれない。

当時は怖いもの知らずで、練習日に優勝候補として注目されていたスペインの英雄セベ・バレステロスに声をかけてインタビューを申し込んだ。メジャーの大会前という状況でそんなことを言ってくるメディアはいない。それでもセベはクラブハウスから練習場までの道を肩に手を回して優しげに話しを聞き、「残念だが今週は時間がないよ。日本にまた行くから、その時に受けるよ」と優しく応えてくれた。

そして次に突撃したのが当時飛ぶ鳥を落とす勢いのグレッグ・ノーマン。豪州のグレイトホワイトシャークの愛称でPGAツアーでも注目の選手。私もそのダイナミックなプレーぶりが気に入っていて、これからさらに世界のトップ選手になるという予感あったからだ。

ショット練習が終わったタイミングで声をかけると「シュア!」の一言。すぐにテレビ朝日の通訳の助けも借りて、立ち話とは言え、結構面白い話をしてくれた。そしてなんとその週末には、メジャーの初タイトルを獲得してしまった。もちろん当時所属していた週刊誌には優勝者の独占インタビューとして掲載された。その後ノーマンは予想通り世界を代表する選手となった。

創刊号の企画会議で、そんな思い入れのある選手にもう一度インタビューを敢行したいと申し出て、それが通りフロリダに飛んだ。なぜなら彼の会社と自宅がウエストパームビーチにあり、その近くで開催するドラル・ライダーオープン取材とともインタビューすれば無駄がないということ。しかしそうはうまくいかなかった。

ゴルフトゥデイ創刊号

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創刊号の記事内容を覗いてみよう

30年前のゴルフトゥデイ創刊号の実際の記事内容です。あくまでも過去のもので、現在は販売終了しているものも多数あります。30年前の文章、写真をご覧いただいてコンテンツとして楽しんでいただければと思います。

グレイト・ホワイト・シャーク伝説に迫る

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ロングドライブは世界でもトップクラス 平均飛距離277.6ヤード

あのホワイト・シャーク伝説を生みだした男、グレッグ・ノーマン。いま彼は世界最強のプロゴルフファーとして新たなるチャレンジをはじめた。栄冠に向けてバク進するスーパースターの決意と戦略、その全貌をUSAフロリダ現地で取材した。

「闘争意欲をかきたてられるそれがメジャーなんだ」

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この手で過去のあらゆる記録を塗り替えようとしている

全英オープンは4大メジャーの中でも特別

ー世界のプロゴルファーのなかでも最も多忙なあなたに、それもこのグレイト・ホワイト・シャーク・エンタープライズのオフィスに招かれてインタビューができ、とても光栄であるとともにラッキーだと思います。

ノーマン
そうだよ。ボクもそう思う。なぜならボクだってこのオフィスに来てこの椅子に座るのは1年のうちほんの数日だからね(笑)。たぶん日本のマスコミがここを訪ねたのは初めてなのじゃないかな。

ー相変わらずの過密スケジュールですか?

ノーマン
よく聞かれるよ。人によってはメジャーなど、大きな試合でいいところまでいって勝てないのはそれが原因だというが、そんなことは絶対にない。
確かに暇はないし、基本的にはトーナメントに出場して闘っているから、世界中旅から旅の生活だ。さらにその間にビジネスも入ってくる訳だから、個人的な時間は少ないといえる。しかしボク自身は忙しいとは思っていない。まして試合におけるテンションが落ちるようなことは全くない。そう見えるだろう。

ーそういえばどのようなときに見ても潑刺とした印象ですね。しかも昨年は86年に次ぐ2度目の賞金王になり、最も充実していたように見えました。今年はメジャーを中心に出場試合数を絞ると聞いていますが、具体的な試合数を教えてください。

ノーマン
世界で約25試合に出場しようと思っている。米国で17、豪州で4、ジャマイカ1、欧州は全英オープン1試合、そして日本は10月のアサヒビール・ゴルフダイジェストとその前後の2~3試合。出場するからには優勝したいし、だめでもそれに近い活躍ができるようにする。それが当然だ。期待されているのが分かっているからね。

ー4つのメジャー(マスターズ、全米オープン、全英オープン、全米プロ)のうち最も重要視している試合は。

ノーマン
メジャーはそれぞれ特徴があるということを前提としてあえていわせてもらえば全英オープンだろう。なぜなら最も歴史があり、ゴルフ発祥の地でもある。ゴルフそのものに関していえば技術・メンタル面でも妥協を許さない。だからこそゴルファーとして闘争意欲をかきたてられるんだ。

ーではそのメジャーに勝つにはなにが必要ですか?

ノーマン
ゴルフはフィジカルなスポーツだと思っているが、ことメジャーの試合はメンタル面のウエイトが大きい。過酷な舞台で最高の技術を導きだすのもメンタル面の支えがなければ不可能だ。

ーもっと具体的にいうと。

ノーマン
マスターズが開催されるオーガスタ・ナショナルは各ホールが広く、そして長い。だから飛距離が求められる。しかし単に飛べばいいというのではなく、ドライバーショットではポイントに打っていかなければならない。アイアンもグリーンがとても難しいから、狙ったポイントに落とさなければ3パットを覚悟しなければならない。それに対して全米オープンはフェアウエイが狭く、深いラフに入るとグリーンが狙えない。そこでドライバーショットも飛距離を抑えて正確性の高い打ち方を迫られる。ときにはティショットをアイアンで打つこともある。つまりゴルフコースによって、全くゲームマネージメントが変わってくる。プレーヤーとしてはコースに適したフレキシブルな攻略法が必要になる。さらにいえば順応性ということだろう。共通点としてただひとついえるのは、ショートゲームが大切だということぐらいかな。

ーそれはリカバリーのウエイトが高いということですか?

ノーマン
ゴルフはリカバリーのゲームであり、いかにクオリティの高いアベレージを保つかということだと思う。ショートゲームに関していえば、メジャーに限らず、いつでも重要といえるかもしれない。

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ー昨年から新しくコブラ社と契約しましたね。その理由は?

ノーマン
まず第一にこれまで使用していたスポルディングとの契約が切れたということ。そこで以前から友人であったトム・クロウ氏と手を組もうという話があった。トムはコブラ社の社長で同じオーストラリア人。彼はオーストラリア・アマチュアのチャンピオンでもあったんだ。またそれ以上にコブラクラブのデザイナーとして優秀な腕を持っているし、何よりもいいものを作ろうとしている。

ーコブラ社の株式の一部を取得したと聞いていますが。

ノーマン
主要株主の1人といえる。

ー役員でもあるわけですか。

ノーマン
担当としてはR&D(リサーチ&デベロップメント)、商品開発担当取締役ということかな。

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ーこれまでの経験がどのくらい反映できると思いますか。

ノーマン
それは全てといえる。いろいろなタイプのクラブをこれから作っていこうと思っている。そしてハンデキャップ36のアマチュアからプロまでフォローできるようにしていきたい。

ー実際に現在あるようなクラブ、たとえば新素材のサーモプラスティックを使ったウルトラミッド・ドライバーを使ってみて飛距離やボール・コントロールの点で差はありますか。

ノーマン
いや、まだそこまでいってないんだ。自分がトーナメントで使用するクラブは特別だし、コースや状況に応じて替えている。それぞれに合うものをいま作っている最中なんだ。

ードライバーの仕様を教えてください

ノーマン
ロフトは8度。長さは43インチ、バランスはD2、トータルウエイトは18オンス(510g)。この条件はプロになってからほとんど変わっていないし、コブラの自分用のクラブもこのサイズを基本に数多くのタイプのクラブを作っている。

ードラル・ライダー・オープン、ホンダ・クラシックのフロリダシリーズではウッドヘッドのドライバーを使っていましたね。

ノーマン
ドラルも凄かったけれど、ホンダ・クラシックが開催されるTPCイーグルトレースは風が強い。だから低いボールを打ちたかったんだ。いまの段階はまだあのクラブではそういうボールが打ちにくいので使わなかっただけだ。

ーボールを替えましたね。

ノーマン
プレス(報道)向けにリリースができていたからだいたいのことは分かっているとは思うけど、マックスフライHTを今年の1月1日付で契約して使っている。これに関しては約2年間テストして、結果的に自分に合ったボールだと判断したので使い始めた。なかなか気に入っているよ。

スイングで注意すべきポイントを教えよう!!

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フェアウエイで最も絵になる男 それがノーマンだ

ー技術面で変えた点はありますか。

ノーマン
とくにない、いやいやそうでもないな。わざわざここまできてくれたお礼というわけではないけれど、ゴルフ・トゥデイの読者だけに、ひとつだけ今年からボクが気を付けているワンポイントを教えよう。これは一般のゴルファーにも当てはまると思うんだ。

それはテークバックで左足をできるだけ地面につけておくこと。ボクはいまほとんどといっていいほどヒールアップしていない。アマチュアの人はそれぞれ体格や身体の硬い人、軟らかい人がいるから全てが当てはまるとはいいにくいが、ヒールアップの度合いを極力おさえるという点では共通していると思う。テークバックでヒールアップしすぎると右腰が上にあがるというか、伸びきってしまい、そうするとその反動でダウンスイングで右腰が縮まってボールが右に出てしまう。それに気づいたんだ。

ー青木功プロのベタ足に似ていますね。

ノーマン
そういえばそうだな。アオキさんは足の裏に根が生えているみたいに立ってる。そういう発想はなかったけれどアオキさんと親しくしていたら、知らないうちに目に入っていたのかな。それにしてもちょっと試してみるといい。

ーあなたの飛距離に大きな魅力を感じているゴルファーが多いのですが。

ノーマン
飛距離はその人の生まれ持ったもの、たとえば体の大小や筋力、足腰のバネもあるので。他人が300ヤード飛ばしたからといって無理に飛ばすのはよくない。それよりも自分に合った正しいスイングを身につけることのほうが大切なのじゃないかな。

ー日本のファンの多くはあなたの技術もさることながら、グレッグ・ノーマンとはどのような人間なのかということにも興味を持っています。

ノーマン
普通の人間だよ(笑)。身長は184cm、体重は81kg、足の大きさは28cm、ウエストサイズは33インチ、視力は子供の頃からよくて500ヤード先のものまではっきり見える。日本で言えば視力2.0といったところかな。趣味は釣り、ハンティング、スキューバ・ダイビングで、クルマも大好きでフェラーリはじめ10台持っているよ。
いま最も気に入っているのはレクサス(日本名セルシオ)だ。性能バツグンで自分のイメージどおりの走りをしてくれる。クルマといえばF1も好きで、N・マンセルらドライバーの友人も多い。彼らはゴルフが大好きで、豪州の試合などではプロ・アマ戦に呼んで一緒にプレーすることもある。みんなはボクのことを忙しすぎるというけれど、こんなふうに結構楽しんでいるんだよ。

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    フロリダ州パームビーチに自らの会社を持つ

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    この椅子に座るのは1年にほんの数回だとか

ー日本ではあなたのCMやポスターがかなり見られますが、契約先はどのくらいあるのですか?

ノーマン
トーナメントの関連でいえば、帽子を含めたウエア類とシューズはリーボック、ボールはダンロップ、クラブはコブラで、ほかに20くらいのスポンサーがいる。日本ではコースの設計をしたり、大京やアサヒビールのキャラクターをやっている。

ー日本には縁があるようですが、あなたがまだ無名だった1977年にはくずは国際で勝っていますね。

ノーマン
日本は良い思い出ばかり。スシやさしみなどの食事は大好きだし、トーナメントに出場しても反応は早いし、よく応援してくれる。あのギャラリーのエキサイティングな感じはとてもいいと思っている。マナーもいいしね。実は世界で日本が一番好きなんだ。

ー最後に日本のファンにひと言メッセージを。

ノーマン
日本には豪州に帰る途中にも必ず寄っていくようにしているんだ。また、今年は10月には試合にも出場するのでみなさん応援に来てください。

ートーナメントの合間の貴重な時間を取って頂きとてもありがとうございました。

ノーマン
また日本で会おう、日本の人たちによろしく!

ゴルフトゥデイ創刊号

Greg Norman
● フルネーム
  グレゴリー・ジョン・ノーマン
● 身長 184cm
● 体重 81kg
● 生年月日 1955年2月10日
● 出身 豪州クイーンズランド
● 住所 米国フロリダ州オーランド
● 家族 ローラ夫人、モーガンレイ(長女)グレゴリー(長男)
● 趣味 釣り、ハンティング、スキューバ・ダイビング
● プロ入り 1976年 USツアー入り 1983年

☆現在の世界のプロゴルフツアーにおいてグレッグ・ノーマンは、最もカリスマ的なプレーヤーかもしれない。その並はずれた高い技術で、彼はいつもエキサイティングなシーンを生み出す。世界中で数多くの勝利をおさめており、その勝利は感動的なものが多い。昨年のロイヤル・トルーンでの全英オープンなども、負けたとはいえゲームを十分に面白くするとともに感動的であった。昨年のドラルライダー・オープンではポール・エイジンガー、マーク・カルカベキア、ティム・シンプソンの3人とプレーオフを演じ、最初のエキストラ・ホールで劇的なチップイン・イーグルで有終の美を飾っている。多くのメジャートーナメントで逆に劇的な1打で敗れているケースも多いが、実力No1と誰もが認める選手といえる。

ゴルフトゥデイ創刊600号企画とは

ゴルフトゥデイ創刊号当時の編集長が語る思い出話も是非読んでみてくださいね。


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ゴルフトゥデイ2022年6月号・通巻600号


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