パトリック・カントレーのプレーを見て「タイガーの5つのルール」を思い出しました
レックス倉本のGOLFアメリカンな話”ちょっと聞いて〜や‼︎”/第22回
RBCヘリテージ に現地レポーターで行って来ました!ジョーダン・スピースの久しぶりの優勝で締め括った試合でしたが、試合会場だったハーバータウンゴルフリンクスはサウスキャロライナ州のリゾート地にあってとても美しいゴルフ場でした。ちょうどイースター(復活際)ホリデーと重なったため、会場に家族で訪れるゴルフファンもたくさんいて声援があちこちで聞こえる賑やかな素晴らしい試合でした。今日は週末ラウンドレポートで見て来たその美しいけど難しいコースでスコアメイクに苦戦していた選手たちの様子、プレーオフでスピースに敗れたキャントレー選手の勝てなかったワケなどを振り返ります。
逆算的に言ったら3日目で勝利の行方は決まっていた!?
今回のハーバータウンゴルフリンクスはリンクスと言っても実際に海が見えるのは17番と18番だけ。他のホールは両サイドが高い木々とリゾートの家々に囲まれた狭いフェアウェイが続き森の中を進んでいくようなコースです。グリーンがまたこれがとても小さく、普段のPGA TOURの開催コースのグリーンの平均的な大きさが6500スクエアーフィートなんですが今回のグリーンの平均が3500スクエアーフィートだからかなり小さいんです。
先ほど海が17番まで見えないと言いましたが、プレーをしているとなんとなく海がそこにあるな、という予感はするんですよ。選手たちはスコアメイクにかなり苦戦していましたが、各ホールの林の間から吹き抜ける海風が上空で回っているのでその風の読みが難しいのと、小さい上にアンジュレーションのあるグリーンがこのコースを難しくしている要因でしたね。そういう意味で、最終日はリードしている選手たちは大叩きをせずにスコアを伸ばしていくという戦い方をするしかなく、後ろから追ってくる選手は逆にいくしかないのでその中でうまいこと走りきった選手がスピース だった、という展開になったと思います。
最終日最終組について見ていましたが、シェーン・ローリーも内容的にはかなりいいプレーをしていましたが、14番のパー3でティショットが風に流されグリーン左のウェイストエリアへ、そこからのアプローチもかなりうまく打ちましたがグリーンのアンジュレーションに持っていかれ池ポチャ、結局トリプルボギーで優勝への道が途切れました。前半の4番のパー3、後半の14番のパー3でダブルボギー、トリプルボギーを叩いて自滅していった選手は数多くいました。それだけ風の読みが難しいコースなんです。
約16億円をゲットした年間王者パトリック・キャントレーの凄さ
2020-2021シーズンが終わったPGA ツアー。年間王者になったパトリック・キャントレーと、最終戦でそのキャントレーと名勝負を...
3日目にラウンドレポートでついて見た最終組のパトリック・キャントレーですが、彼はスタート前の練習からめちゃくちゃ素晴らしい仕上がりで私はキャントレーが優勝に一番近いと感じていました。ところがその3日目、彼のゴルフはすごくチグハグなプレーで、グリーン周りからのアプローチの凡ミスが数回、スリーパットも2回、パー5でも3打目グリーンサイドから凡ミスでバーディーが取れないホールがありました。それでも70で回って来たのは流石ではありますが、彼の3日目のプレーを見て私はあることを思い出しました。「タイガーの5つのルール」です。タイガーが絶好調の時に試合で勝つ時の5つのルールがあると言われているものです。
1)ダブルボギーを打たない
2)パー5でボギーを打たない
3)150ヤード以内からボギーを打たない
4)スリーパットをしない
5)簡単なアプローチのミスをしない
の5つです。決してスーパーショットを放ってバーディーをとるというものではなく、単純なミスを犯さなかったら、そのミスをトーナメント(4ラウンド)で5つ以内に抑えていたら優勝争いには絡むよ、という法則です。これを調子の良かった3日目のキャントレーに当てはめた時、タイガーの言う凡ミスを彼は3日目だけで5回以上してしまっていたんです。それがなければその日は65くらいまでいっているプレー内容でした。
結果的にキャントレーはプレーオフで負けましたが、実は逆算的に言ったらもう3日目で勝利の行方は決まっていたのかもしれません。PGAツアーという世界最高峰で争っている選手たちの中での優勝争いを左右するのは何かというと、プレーオフでのスピースのようなバンカーショットのスーパープレーももちろんあるけど、それ以上に凡ミスをしないということなんですよね。そこに尽きるなと今週はつくづく思いました。
まだまだここに書ききれなかった小平選手、金谷選手の近況情報などさらに詳しい話の続きは、下記「レックス倉本のBYTC GOLF」のYouTube音声動画で引き続きお楽しみ下さい。Podcast、Anchorでも配信中。「レックス倉本」で検索してください。
▼レックス倉本 プロフィール
本名は倉本泰信(くらもとやすのぶ)。1991年プロゴルファーに転向/コメンテーター歴14年広島出身。広島カープの大ファン。毎朝、目覚めとともにカープの試合状況をチェックするのが日課。大学時代をアメリカで過ごしたとき、唯一日本のブリヂストンのボール”Rexter”を使っていたのでゴルフ部のチームメイトから”REX”(レックス)と呼ばれるようになる。アマチュアゴルファー時代は、広島県の瀬戸内高校ゴルフ部からアメリカのオクラホマ州立大学を経てイーストテネシー州立大学ゴルフ部で腕を磨く。在学中には2度オールアメリカンに選出され、1990年に日本アマチュア選手権優勝、全英オープン出場を果たす。大学卒業後、1991年に日本のプロテストを合格しプロデビュー。その後、ヨーロピアンツアー、カナダツアー、アジアツアー、日本国内ツアー(1995年2部ツアーの賞金王に輝く)に参戦。2007年より米国ゴルフチャンネルでUS PGA Tour 、European Tour、US LPGA Tourなどのコメンテーターとして活躍。現在はフリーランスとしてGOLF TVでの解説のほか、 NHK、WOWOWでUS PGA Tour、US LPGA TOURの現地レポーターとしても活躍中。
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