アメリカ発“叩けるシャフト”の進化バージョンが登場! フジクラ「ベンタスTR」
2022ニューモデルを関浩太郎が試打インプレッションVol.18
スイングコーチ兼クラブフィッターの関浩太郎が今回試打したのはフジクラのニューシャフト「ベンタスTR」。PGAツアーで使用率No1を獲得した「ベンタス」シリーズの最進化バージョンで、叩けるフィーリングはそのままに既存の2モデルの中間を狙った設計がなされている。
ブルーとブラックの優れたボールコントロール性能を継承
2019年からUSPGAツアーでプロモーションをスタートしたフジクラのシャフト「ベンタス」シリーズ。同ツアーでの使用率No.1を目標に掲げた「ベンタスブルー」はボールのバラつきを抑えたいツアープレーヤーのニーズに応え、ティショットのフェアウェイキープ率アップに貢献。見事に目標を達成してみせた。
これまで日本では「ベンタスブルー」と「ベンタスブラック」の2モデルを発売している。ともにPGAツアーの使用プロの意見をもとに飛距離とコントロール性を両立した元調子系シャフトだが、ブルーは先端剛性が高く中間から手元側の剛性を抑えたモデルで中元調子系で叩ける。これに対してブラックは先端剛性の高さを維持しつつ、中間から手元剛性を高めた元調子。ブルー以上に叩けるためバックスピン量を抑えた低く強い弾道を実現する。
今回、関に試打してもらう「TR」は、ブルーとブラックの優れたボールコントロール性能をさらに進化させたバージョンだ。
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ベンタスブルーよりしなり量が増え“しっとり&マイルドに
「そもそもベンタスは“パリッ”とした感じのシャフト。表現が伝わるかわかりませんが”乾いた”感じ。スイング中にしなる量が少なく、しなり戻りが早くてピンピンのシャフトを“乾いたシャフト”とか“パリパリのシャフト”と表現するのですが、ベンタスはそんなシャフトです」
それを踏まえ、どこがどう変わったのかに注目して「T R」を打ってみると、
「これ、メッチャ打ちやすい! ベンタスブルーよりもほんのちょっとしなり量が増えて乾いた感じがなくなり、少ししっとりしたというかマイルドになっています」との第一印象。
「確かにこれまでのベンタスのように、しなり戻りが早い方が飛距離は出ます。ただ、ダウンスイング時のヘッドがどこに位置しているか、フェースがどこを向いているか、といったことは感じにくくなる。操作しづらかったりミート率が上げにくい難しいシャフトになりがちで、どちらかといえばヘッドスピードが速くて操作できる、いわゆるうまい人向けだったと思うんです。それに比べるとT Rは使える人を広げた感じがしますね」とブルー、ブラックからの変更点を分析した。
これまでと違ってTRでは、フジクラ独自の3次元モーションキャプチャシステム「enso(エンソ)」主導の分析を取り入れている。加えて最外層に独自の開繊クロス材を採用。開繊とは炭素繊維の束を幅広く薄く均一に広げて開繊糸を製造する技術のこと。中間層のねじれと曲げの剛性を高めることが可能になった。これが既存の「VeloCore Technology」(超高弾性70tカーボンと高弾性カーボンをバイアス層に積層。オフセンター時のヘッドのねじれを抑制し、優れたボールコントロール性能を実現するとともに先端の高い曲げ剛性がボール初速の最大化を生み出す)と高い相乗効果を生んでいるようだ。
高い操作性でドローもフェードも打ちやすい
では、どんなゴルファーに合っているのだろう? それとも誰もが使える万能シャフトなのかを聞いてみた。
「今回打っているのは68gのS。ヘッドスピード的には42m/sくらいからが一番恩恵を受けられると思いますが、ミート率や方向性は少し広がっていますね。操作性もかなり高くなっている。ブルーやブラックより乾いた感じがないとはいえ、決してしなりすぎない適度なしなり量。ドロー、フェード、どちらモードのスイングでも比較的狭い範囲でビュンとしなるので、ダウンスイングで軌道やフェース面を変えても大きく曲がる感じがありません。ある程度フェースコントロールができる人なら、安定してドローもフェードも打てる。狭いホールでも安心して打っていけると思いますね。このスペックに関しては上級者から競技者向けですかね。女子プロに人気のようですが、それが納得いくシャフトに仕上がっています」
試打解説/関浩太郎
(せき こうたろう)1974年生まれ、茨城県出身。アメリカで最新のゴルフ理論を学びながら、ミニツアーを転戦。帰国後、クラフト技術を学んだ後、「SEKI GOLF CLUB目黒」を主宰。多くのアマチュアゴルファーのサポートを行い、さまざまなゴルフメディアでも活躍している。
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