広いスイートエリアでやさしく飛ばすプロモデル ミズノ「ST-Z220」「ST-X220」ドライバー
2022ニューモデルを関浩太郎が試打インプレッションVol.17
スイングコーチ兼クラブフィッターの関浩太郎が今回試打したのはミズノのドライバー「ST-Z220」と「ST-X220」。JLPGAツアー開幕から5戦3勝と大ブレーク中のブランドアンバサダー・西郷真央の使用モデル(ST-X220)で、フェースの反発性能やつかまりのよさが大幅にアップ。フェアウェイキープに貢献している。
広いスイートエリアと短い重心距離を両立
フェースの素材に一般的なチタン合金に比べて約17%強度が高く、約8%たわみやすい「フォージドβチタン合金(2041Ti)」を採用。中心部を厚く、周辺部を薄くしてたわみを増幅させる独自のフェース肉厚設計(コアテックフェース)により、フェースの広い範囲でルール内いっぱいの高い反発性能を発揮する。
スイートエリアも最大級に広く、打点のブレによる飛距離ロスも少ないが、ちょっと驚きなのは重心距離が短めなこと。通常スイートエリアの広さとヘッドの返りやすさは二律背反するが、これらを両立させ、ヘッドとボールが正面衝突しやすくなった(スクエアストライクデザイン)という。
XとZ、最大の違いはウエートの配分だ。
「このクラブの特徴はカーボン部分。従来モデルに比べて40%カーボン部分が広がっています。その分だけヘッドが軽くなったということです。ヘッド重量を軽くするとハンマー効果が少なくなってバランスが出ませんが、ヘッドの合計重量自体は変わっていません。つまり、カーボンになって40%軽くなった分を別の部分に回したということ。これにより重心位置が深くなって、より曲がらない飛ぶドライバーになったわけです」
両モデルともフェースの反対側に錘が付いている。以前はこれがわずか3gだったが今回は13gと10gも増量。増えた分だけ恩恵が大きいということで、これだけでも性能が上がったことを予測できる。
バックスピン量減でランが出るビッグドローになりやすいST-X220
「では打ってみます。まずはX。違いはウエートの位置で、Xはフェース面の芯の真裏よりもちょっとズラしてあります。これによって重心の距離が変わる。少しヒール側なので、よりつかまりやすいはずです」
一発目は珍しく右にプッシュする、関にすれば明らかなミスショット。
「ミスして右にプッシュしました。それも空振り寸前でかなり先っポに当たりました。でも、打球は15ヤード程度右に出て、その先はギア効果で戻ってきましたね。これだけ芯を外れてもラフに入るか入らないかの球。これは結構すごいです。というのも、試打ではもっぱらナイスショットの飛距離で良し悪しを判断しがちですが、本当にスコアが良くなるクラブを選ぶには、例えば10球打った時に悪い当たりがどれくらい飛び、どれくらい曲がらなかったかを見て、一番ブレなかったクラブを選ぶべきです。
それで言うとXは非常に芯が広いですね。芯で打つとシャフトの先が結構大きく動きます。思ったよりトゥダウンが大きいためトゥ側に当たりやすいのかもしれませんね。その方がギア効果でボールに左回転がかかるし、バックスピン量も減ってランも出るビッグドローになりやすい。このあたりも“つかまりのX”たる所以なのでしょう」
芯を食うと厚めのドローが出た。
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トゥダウンが少なく芯に当てやすい直進安定性のST-Z220
「次はZです。ウエートがフェース面の真裏にあって直進安定性が高そうです。Xと比べると顔の違いはほとんど感じられません。日本のドライバーには珍しく、ヘッドを置くと右に向くようにできていますね。
右を向くと不安に感じてフェースを被せて構える人が多いのですが、そもそもヘッドが下りてきた時にはシャフトがしなり、ヘッドの重さでシャフトが復元してボールを押し出します。なので構えた時は右に向けておかないと、しなった時にフェース面が真っ直ぐ向かない。少し右を向いているのはそのためです。スライサー向きではないかもしれませんね。
打ってみると、やはり直進安定性が高い。Xと同じシャフトですが、ヘッドの重心位置が違うのでシャフトのしなり方が違います。こちらはトゥダウンが少なく芯に当てやすい。かなりいい。真っすぐ飛びますね。こちらもスイートエリアは広い。ヒール側で打ってみても左に飛び出して真ん中に戻ってきた。飛距離は変わらず問題ありません」
まとめると、バックヒール部にウエイトを配置したXは重心距離が短めでヘッドを返しやすくボールがつかまる。Zはバックセンター部にウエイトを配置した低スピン設計で、インパクト時のブレを抑えて直進性と安定性が高いということになる。
「バキン!」と飛ばすST-X220、落ち着いた打球音のST-Z220
最新テクノロジーを用いて調整した打感と打球音にも注目だ。打球音と打感の良さに影響する音の高さや大きさ、音色を独自の設計手法により数10ヘルツ単位でチューニングしたという。
「Xはボールの潰れ感があるミズノの打感。音も大めでパキンと飛ばしの演出が入る感じです。シャフトも球を持ってくれる感じがある。ヘッドもシャフトも柔らかいのですが、フェース面にβチタンが入っている。高反発時代の素材で非常によく弾きます。シャフトでいったん持ってくれるけど、その後にフェース面で強烈に弾く感じです。Zは音量が少なめで少し落ち着いた感じ。金属音はあるけど共鳴が少なくアスリート受けしそうですね」
芯が広くやさしく飛ばせるプロモデルがこの2機種。プロモデルといえば、一昔前は芯が狭くて操作性の高いモデルだったが今は違う。アベレージゴルファーからプロまで使える、スコアを安定させるドライバーだ。
試打解説/関浩太郎
(せき こうたろう)1974年生まれ、茨城県出身。アメリカで最新のゴルフ理論を学びながら、ミニツアーを転戦。帰国後、クラフト技術を学んだ後、「SEKI GOLF CLUB目黒」を主宰。多くのアマチュアゴルファーのサポートを行い、さまざまなゴルフメディアでも活躍している。
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