2022年の日米欧ゴルフツアーはツインズ(双子)たちの躍動に大注目
佐渡充高のテレビでは語れなかったPGAツアー
ゴルフ番組やゴルフ雑誌ではあまり語られることのないトピックを、ゴルフジャーナリストやトーナメント中継の解説者として活躍する佐渡充高が取り上げ、独自の見解とともにお届けします。
GOLF TODAY本誌 No.600/129ページより
日米欧ツアーで双子の選手が大活躍の予感!
このところツインズ(双子)の躍進が目覚ましい。日本では昨年、女子のプロテストで岩井明愛、千怜の双子姉妹が同組で同時合格。LPGAで活躍したタイ出身アリー&ナリー・ソン姉妹のような活躍を期待していたら、男子でもツインズたちの躍動がはじまった。
3月PGAツアーでセップ・ストラカ(27歳)がホンダクラシックで初優勝。オーストリア人初のツアー勝者になった。彼は双子で、兄サムも同じジョージア大学ゴルフ部に所属し卒業後はビジネスの世界へ。が、弟の活躍に刺激されプロに転向。現在、弟のキャディやミニツアー参加で経験を積み兄弟一緒にPGAツアーでのプレーを目指している。世界選手権マッチプレーでカナダ人最高の3位の活躍を見せたコーリー・コナーズも双子。姉ニコルは医療の世界で活躍中だ。
欧州ツアーではZ世代期待のラスマス&ニコライ・ホイガー兄弟(21歳)。2001年デンマークで一卵性双生児として誕生。幼少期からゴルフをはじめ急成長しジュニア時代から注目選手だった。プロ転向後まず頭角を現したのはラスマスで、19年12月DPワールド(欧州)ツアーのモーリシャスオープンで初優勝。史上3番目の年少優勝18歳9カ月(271日)「21世紀生まれ初優勝」とヘッドラインを賑わせた。約2年後、21年8月欧州オープンでツアー3勝目、呼応するように翌週ニコライがイタリアンオープンでツアー初優勝。双子兄弟による2週連続Vは世界初だった。
ドイツ出身ジェレミー&ヤニック・ポール兄弟は母国ナショナルチームで活躍しコロラド大学留学で渡米。2016年欧州ツアーBMW国際で同ツアー初の双子兄弟出場を果たした。2018年には揃ってカナダツアーでプレー。現在兄ジェレミーは米下部ツアー、弟ヤニックは欧州ツアーでプレーしPGAツアー昇格を目標に奮闘中だ。
PGAツアー初の双子出場は81年カーティス&アレン・ストレンジ(カーティスは88、89年の全米オープン連覇を含め17勝)。2例目は26年後07年。当時21歳ルイビル大学のデレク&ダリル・ファウサウアー兄弟が推薦出場。今年3月コラレス・プンタカナでホイガー兄弟がPGAツアー出場を果たし史上3例目。ラスマスは6位で初のトップ10、4月テキサスオープンでも中盤までトップ争いし18位。目標のシード権獲得へ好プレーが続いている。
彼らの話で共通するのは「互いに支えつつライバルとして競い合える特別な存在」。環境が育む“双子力”がパワーアップしツインターボになっているようだ。
双子とゴルフのetc
1976年双子の聖地オハイオ州ツインズバーグではじまった「ツインズデイズ・フェスティバル」は毎年8月世界中から双子(以上も可)が大集結。多くの要望から91年より期間中にトーナメント(2ボール、スクランブル方式)開催がスタートした。
ツインズバーグは1819年モーゼス&アーロン・ウィルコックス双子兄弟への敬意をこめ命名。彼らは所有する広大な土地を寄付し学校開校などを行い町おこし。兄弟はビジネスパートナーで、姉妹と結婚、子供の人数も一緒。同じ病で同じ日のわずか数時間差で他界した。
●文/佐渡充高
さど・みつたか
上智大学法学部卒業。1985年に渡米し、USPGAツアーを中心に世界のゴルフを取材。NHKゴルフ解説者。
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