ゴルフクラブ選びは新品派?中古派?自分に合うゴルフクラブとは
重箱の隅、つつかせていただきます|第23回
スイング、ゴルフギア、ルールなどなど……。ゴルフに関わるすべての事柄の“重箱の隅”をゴルフライター・戸川景が、独自の目線でつつかせていただくコラムです。
GOLF TODAY本誌 No.601/106ページより
中古クラブとはどう向き合うべきか?
中古クラブ専門店が認知され、活況を呈してきたのは、昭和が終わる頃だろうか。メタルウッドの普及がきっかけだった呈してきたのと思う。昔から中古クラブの売買は行われていたが、通常のゴルフショップの一角や、個人間でやり取りされることが多かったはずだ。というのも、昭和のクラブはパーシモンウッドがメイン。アベレージが長く使ったクラブはフェースやソールの損傷が激しく、再販できるようなものではなくなる。
逆に上級者は、2度と同じヘッドは手に入らないからと、手入れやチューンを施して愛用を続けていた。
アイアンも、ソールが削れてフェースの溝が傷むぐらい使い込むのは当たり前。10本セットの高価なものをそうそう買い替えるゴルファーはいなかった。
実際、使い古されたクラブは後輩や初心者にタダで譲られるパターンが大半。ゴルフショップに並ぶのは、新クラブ購入時の下取りが主だったように思う。つまり、市場として成り立ってはいなかったのだ。それが、耐久性バツグンのメタルウッドの登場で一変。パーシモンではヘッドを傷つけずに行うのが難しかったシャフト交換もカンタンで、しかも新品でもパーシモンより安かった。
平成に入ると、メタルは再販できる、と踏んだ中古クラブ専門店、チェーン店が乱立。リシャフト市場と中古クラブ市場が形成されていった。結果、ウッド類だけでなく、アイアンやウェッジなどもリサイクルの流れに乗り、数ラウンドしか使用されていない〝美品〟が出回るようになった。この状況が四半世紀も続いた現在、中古クラブは〝傷まないうちに売る〟という考え方まで出てきている。ドライバーはソールが擦れないよう、テープでマスキングして使っている人もいるという。これ、スポーツの道具としてクラブをとらえた時、どうも不自然に感じるのだが。使い込む、馴染ませる前に見切りをつけるクラブ売買とはいかがなものか、と。
ゴルフ人気が再熱!中古ゴルフ市場も価格が高騰?!
中古クラブの世界で30年! 中古クラブに関する知識において、レジェンドと呼ばれる中山功一氏が中古クラブの得する扱い方を伝...
平成初期にこの土壌ができ上がった理由は理解できる。メタルからチタン、大型化と、ドライバーの進化が速すぎたのだ。使い込むよりも、最新モデルに乗り換えるほうが圧倒的に優位になることが多かったからだ。
だが、ルール規制でヘッドサイズが制限されたここ10年、その優位性は薄れてきていると思う。もはや大手メーカーの新製品発表サイクルに合わせて、買い替えばかりを考えずに〝使い込む〟とか〝チューンで馴染ませる〟といった購入スタイルが主流になってもいいのではないか。ここ数年、プロの使用クラブの記事を手掛けているが、数年前のクラブを使い続けている選手が増えたように思う。特にアイアンとUTで。面白いことに、それはジュニア出身の若手の女子プロが目立つ。
愛用のクラブを使い込むからショットが安定し、好成績につながる。好成績だから、記事で取り上げられて目立つ、ということかもしれない。
現在の中古クラブ市場を批判するわけではない。リーズナブルにクラブを買い替えられるのは、ゴルファーの裾野や楽しみの幅を広げていくうえで、非常に素晴らしいと思う。要は、それを利用するゴルファー個々人の考え方だろう。ちょっと試して、使い切れないからとキレイなまま売り飛ばすか。チューンして、再販価値を度外視し、使いこなす努力を積んで上達の糧とするか。プロではない、一般アマチュアだからこそ、道具(クラブ)との向き合い方がゴルフの愉しみ方を変えていくと思う。
Text by Hikaru Togawa
Illustration by リサオ
戸川景
とがわ・ひかる。1965年3月12日生まれ。ゴルフ用具メーカー、ゴルフ誌編集部を経て㈱オオタタキ設立。現在、ライターとしてゴルフのテーマ全般を手掛けている。
新品のゴルフクラブ、中古ショップのほうが安く買える場合がある!?
中古クラブの世界で30年! 中古クラブに関する知識において、レジェンドと呼ばれる中山功一氏が中古クラブの得する扱い方を伝...
シングルゴルファーにとってもゴルフクラブ選びは難しい…頼りになるのは、やっぱりクラブフィッティング?
ゴルフブロガーのもう少しでシングルです!私が現在使っているゴルフクラブは全てクラブフィッティングをして購入しています...