1. TOP メニュー
  2. コラム
  3. 原英莉花はなぜ強くなった?衝撃を受けた非凡な才能と、超A級の練習環境とは

原英莉花はなぜ強くなった?衝撃を受けた非凡な才能と、超A級の練習環境とは

ジャンボに聞け!ジュニアゴルファーの育て方 VOL.5

2022/11/09 ゴルフサプリ編集部

原英莉花

高校1年の時からジャンボ邸に足繁く通っていた原英莉花。プロになっても機会があるたびに訪れている。

今季前半のツアーで、主役の座を欲しいままにした西郷真央がジャンボ尾崎ゴルフアカデミーの1期生であることは、すでにおなじみ。だがその西郷よりも早く、ジャンボの薫陶を受けた女子プロゴルファーがいる。アカデミー開講前に入門した原英莉花だ。その成長の軌跡をたどることで、ジャンボの指導法も鮮明に見えてくる。「誰も書けなかったジャンボ尾崎」の著者でもあるジャンボの愛弟子・金子柱憲に、その根底にあるものを、解き明かしてもらおう。ゴルフ界を常に牽引する尾崎将司の見つめる未来とは。

GOLF TODAY本誌 No.605/136〜137ページより
取材・構成/日本ゴルフジャーナリスト協会会長・小川 朗
撮影/相田克己

尾崎にマンツーマン指導を受けていた無名の原英莉花に驚くべき可能性を感じ、金子は衝撃を受けた

ジャンボ尾崎

ジャンボの的確なアドバイスは、時にスランプ脱出する一助になり、時にビッグタイトルを獲得する強い力にもなっている。

原が知人の紹介によりジャンボ邸の門をくぐったのは、湘南学院高校(神奈川)1年の時。

そこには本球(試合で使用するボール)を使い、ドライバーショットの落ち際までの球筋を見極められ、あらゆるショットの練習と、筋力トレーニングが可能な練習環境が整っていた。

しかし当時はその贅沢な施設を、一部のプロと後援会の関係者しか使っていなかった。

ジャンボ自身が指導者として今のように忙しくなかった時期。そのため原はマンツーマンの指導を受けられた。現在のアカデミー生では考えられないような、恵まれた立場にあった。

そんな環境に身を置いた原は横浜の自宅から、千葉のジャンボ邸まで足しげく通ってきたという。金子もジャンボ軍団の一員として、原の入門当時をよく知る一人だ。

金子柱憲が真意を語る

金子柱憲

最初の印象は、背が高く、手足が長く、少し華奢なかわいい女の子に見えましたが、彼女のスイングを目のあたりにした時には驚きました。

その躍動感と気持ちいい振り抜きには、何とも言えない可能性を感じました」。

金子氏こそが知る原英莉花の第一印象

金子は9月初旬に行われているJLPGAツアー「ゴルフ5レディス」の解説を20年以上勤めており、同トーナメントのプロアマでは、毎年女子のトップ選手とラウンド。試合もその目で毎年見て、旬の女子プロゴルファーのスイングレベルも把握している。

その金子をして、原を見た時には「無名の高校生にこんな可能性を秘めた子がいるんだ」と衝撃を受けたという。

非凡な才能と、裸足で探しても見つからない超A級の練習環境。そこを思う存分、独り占めして使えるタイミングに、原は飛び込むことができた。

「他にはない環境を、最大限利用してきたのが原選手であるということはいえるでしょうね」と金子も指摘する。ジャンボの指導もたっぷり受けながら思う存分練習し、周りの刺激を受けながら成長していった原だが、試練もあった。金子がいう。

メジャー大会の最終日に強さを発揮した原英莉花の進化

真の王者は最終日やメジャーで強さを発揮する。昨季、この言葉どおりの堂々たる活躍を見せたのが原英莉花だ。勝った2試合は両...

あわせて読みたい

金子柱憲が真意を語る

「高校卒業後のプロテストで、彼女は不合格。しかし当時はプロテストに落ちてもQT(クォリファイイングトーナメント)を経てステップアップで結果を出し昇格しています。プロテストの件は、彼女にとって良い経験だったと思います。

出場権を得てからは実力をいかんなく発揮し、2020年度にはコロナ禍で10数試合しか開催されなかったにもかかわらず、日本女子オープン、リコーカップとメジャー2勝を挙げることに成功したわけですから」。

特にリコーカップの優勝は印象に残っているという。原は前週のエリエールを右ヒザ痛で棄権。治療を余儀なくされたうえに、ショットも持ち球とは逆のフェードボールが出て悩んでいた。

そのためリコーカップ前、急遽ジャンボの指導を受けると、この時ジャンボは「そのままフェードでいけばいい」とアドバイス。その教えを生かし、見事公式戦2勝目もぎ取った。

ではジャンボ邸で原が日ごろから行っている練習ぶりについて、金子はどう見ているのか。

「彼女の練習で特徴的なのは、一見練習を楽しんでいるように見えて、練習中でもオンとオフが明瞭であること。時間が空いた時には雑談を楽しんでいても、一度打席に入ると顔つきが一変します。そこに彼女の集中力を感じます。周りのジュニア選手たちにも、こういうところに気づいて、見習ってほしいです」。

かつては原に熱血指導も行ったジャンボだが、現在の指導ぶりはどうなのだろう。さらに金子が続ける。

ジャンボから原選手への指導方法は非常にシンプルです。それは原選手が自分(ジャンボ)の言っていることを解釈可能だと考えているからです。

スイングよりも球筋を意識させさせる練習が多いですね。『良い球を打てるのが良いスイング』という考え方は、原点ともいえますから」。

原英莉花プロの行く末は

今シーズンは腰痛にも苦しんでいた原だが、ジャンボの紹介を受けた病院で治療を受け回復。優勝争いにも顔を出すようになった。

今年のゴルフ5レディスでも解説を務めた金子は「スタッツを見るとドライビング、ボールストライキングはいいのですが、アプローチとリカバリーが強化ポイントとして残されている。最近は気持ちも前向きになっているようだし、何かきっかけがあれば、結果にもつながるでしょう」と太鼓判。

同門の笹生優花が昨年の全米女子オープンを制し、西郷真央も今年メジャーのアムンディ・エビアン選手権で3位と、優勝まであと1歩のところまで漕ぎつけている。

原もそのスケールから言って、もちろん海外で活躍すべき存在。それは本人が最も、分かっているはずだ。


金子柱憲

金子柱憲(かねこ・よしのり)
1961年3月4日生まれ。東京都出身。日大卒。
14歳でゴルフを始め、アマチュア時代は日本オープンベストアマ、関東学生優勝。1982年の韓国オープンではプロを抑えて優勝。1983年プロ入り後、ジャンボ軍団入り。91年に関東オープンで初優勝。ツアー通算6勝。


ジャンボに聞け! ジュニアゴルファーの育て方

第4回(前回)を読む< 第6回(次回)を読む

シリーズ一覧へ

原英莉花のパッティングストローク(前方)連続写真【2022年ダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメント】

原英莉花のパッティングストローク(前方)連続写真。今シーズンは中盤で3試合連続予選落ちを喫するなどしたが、その後調子は...

あわせて読みたい

原英莉花のお気に入り!パーリーゲイツ「ERIKA HARA “LOVED ONE” LIMITED ITEM」登場

パーリーゲイツから原英莉花の限定アイテム「ERIKA HARA “LOVED ONE” LIMITED ITEM」が登場。全国直営店舗、及び公式オンライ...

あわせて読みたい