上と下が引っ張り合うスイングと練習を飽きさせない工夫。それがジャンボの2大指導法

現在ジャンボ尾崎ゴルフアカデミーには5期生まで60人が在籍している。年齢は5期生の最低年齢である高校1年生から1期生の26歳まで。要するに入って来る時の年齢には制限があるが、出ていく年齢に制限は設けられていないということだ。
ジュニアたちのゴルフ歴や、体型も体力も技術力も違う。ましてや性格も違うのだから、同じ指導法でいいわけもない。そうしたジュニアたちに、ジャンボはどのような指導を行っているのか。
ジャンボの愛弟子で「誰も書けなかったジャンボ尾崎」(主婦の友社刊)の著者でもある金子が解説する。

金子柱憲がジャンボの真意を語る

「まず打たせてみることから、始めます。『そのスイングでは、あのボールしか出ないだろ?』と現状を認識したうえで、その原因について話します。
例えば手の使い方とか、脚の使い方とか、ほんの一言二言、教えます。スイングは複雑だから、いくつもいっぺんに教えても頭に入らない。だから主要な部分だけアドバイスするというやり方です」。

まずアカデミー生それぞれが抱えているスイングの問題点を指摘して、その原因となっている体の使い方を矯正していくやり方だが、実はもうひとつ、違うやり方があるという。金子が続ける。

「実際に、意図した球筋を打つことで、直していくのです。例えば右に出てからさらにスライスしていくような球を打っている場合に『右からドローを打ってみろ』とやらせてみるわけです。
当然、最初は打てませんよね。でもやっぱり、ドローもフェードも打てなくてはいけない。それを打てるように、考えろ、と課題を出すわけです。球筋のイメージを変えて、自分で考えて矯正していく。
それでしばらくやらせておいて、まだ出来ていなかったら一言二言、ポン、と言ってあげる。そういう方法もあります」。

ジュニアたちそれぞれに対して合った処方箋を出す

ジャンボから出されたテーマを実践するため、まずは球筋のイメージを変えて、自分で試行錯誤した末に、思ったような球を打てるようになるまで矯正していくというわけだ。
この2大メソッドが、ジュニアたちの抱えているそれぞれの問題に対して「処方」され、スイングづくりに役立てられている。

金子柱憲がジャンボの真意を語る

その基本となっている考え方は上半身と下半身が常に引っ張り合っている状態を保つこと」。さらに金子が続ける。
「やっぱり腰の開きが早かったり、逆に動きが止まっていたりと、下半身の動きに問題が行きつくわけです。下半身の動きにばらつきがあると、球にもばらつきが出ます。上半身と下半身が(互いに)引っ張り合っている状態。
それはバックスイングの時から始まっており、切り返しの時には下半身のリードが先行して上半身が引き戻される」。

分かりにくいという人のために、金子はさらにこんな実例を挙げた。

「逆に言うと、上と下が引っ張り合わないと、クラブの軌道っていくらでも変えられてしまいます。たとえばパターもそうですよね。
クラブの軌道はいくらでも変えられる。下半身をまったく動かさないでスイングすれば、インサイドアウトもアウトサイドインも簡単です」。

要するに、スイング軌道を安定させるために、上半身と下半身が引っ張り合う動きが大切だということ。

さらに重要なのは、練習自体を「飽きさせない工夫」だという。

「ゴルフの練習は、4畳半くらいの小さいスペースで、黙々としなければならない一面もあります。
子供だから、当然飽きます。そうならないように練習する方法は、いろいろありますが、ゲーム感覚を取り入れ、競争心を持たせるのも一つの方法」。

そもそも論になるが、ジャンボ軍団は日本のプロゴルフ界において、団体練習による競争原理を練習に持ち込んだ最初の集団。個人競技のゴルフにおいて軍団の選手たちで集まり、ハゴミントンなど、独自の練習を持ち込み体を鍛えた。
とかく単調なゴルフの練習や筋トレなどを、競い合いながら楽しく行うことに主眼を置いていた。その結果、一年を通して戦い抜く体力を身につけることができて、ツアーを戦うライバルたちに体力的なアドバンテージを持てた。
1980年代から90年代はジャンボ軍団の黄金時代が築き上げられた理由の一つがここにある。そうしたトレーニング法の蓄積が、今、ジュニアたちの教育にも生かされている。


金子柱憲(かねこ・よしのり)
1961年3月4日生まれ。東京都出身。日大卒。
14歳でゴルフを始め、アマチュア時代は日本オープンベストアマ、関東学生優勝。1982年の韓国オープンではプロを抑えて優勝。1983年プロ入り後、ジャンボ軍団入り。91年に関東オープンで初優勝。ツアー通算6勝。


ジャンボに聞け! ジュニアゴルファーの育て方

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