春先に突っ走った西郷真央だが、本当の勝負は高額賞金の試合や公式戦があるこの秋からの終盤戦だ!
西郷真央に「せごどん」という愛称をつけた名付け親のジャンボ尾崎。
金子は西郷がジャンボアカデミーの門をたたいた当時のことを、鮮明に記憶している。
「せごどん(西郷の愛称)は、ジャンボアカデミーの一期生だと記憶しています。あまり目立つタイプではありませんでしたが、黙々と練習する姿は、その意志の強さを感じさせました。練習中も、あまりおしゃべりをすることもなく、自分の世界に入り込んでいましたね」。
当時は社交的なタイプではなかった西郷だが、ある出来事をきっかけに先輩たちからもかわいがられるようになる。そのきっかけを作ったのは、アカデミーを主宰するジャンボだった。
「ジャンボに、「せごどん」と呼ばれたことがきっかけで、今では皆から愛される存在になりました。このあだ名を本人が気に入っているとは思いませんが、仲間に受けいれられる良いきっかけになったと思います」(金子)。
金子柱憲が真意を語る
今やツアーの顔に成長した西郷だが、プロテスト前には、重圧にも苦しんでいた。
「彼女のスイングは非常に安定感があり、再現性が高い。確か高校3年生で日本女子アマゴルフ選手権に優勝しましたが、その後プロテストが控えていたので喜びもつかの間でしたね。
彼女の時はプロテストの規程が変わり、テストに受からなければQTに出場できない、という厳しい条件下での受験だったからです。ジャンボ邸に来ては、『プロテストは嫌だ』とこぼしていましたから」。
金子はさらに、こう続けた。「そのプレッシャーはすごくよく分かる。しかし、彼女は見事に合格を果たし、その後の活躍に繋げました。
ルーキーイヤーにして優勝争いを演じ、自分に「足りない」ところと「自信」になったところを自覚したのだと思います」。
女子ツアー今季から「メルセデス・ランキング」一本化に
高校在学中にプロテスト合格を果たしたジャンボゴルフアカデミーの1期生として、早くも注目を浴びた西郷。20〜21年シーズンの初戦でいきなり5位に入り、その後も再三再四優勝争いを演じた。
2021年だけに限っても、36試合中半数の18試合でトップ10入りを果たし、2位も5回。「最強のシルバーコレクター」という異名もついた。
そして今年。時間の問題と言われていた西郷の優勝は、開幕戦のダイキンオーキッドレディスでいきなり達成された。最終日に5打差を逆転して、鮮やかなツアー初優勝。序盤戦は10戦5勝というすさまじいペースで優勝を積み上げた。
女子ツアーには今年、大きな変更点がある。これまではシード権やリランキングなどの資格獲得順位は、すべて賞金ランキングで決定してきたが、今季からはすべてポイント制のメルセデス・ランキングに一本化された。
賞金女王には3年シードが与えられていたが、今年からはメルセデス・ランキング1位の選手にMVPとして4年シードが付与される(10年以内の、申請した年から4年シード)。
メルセデス・ランキングは「年間を通じて総合的な活躍度を評価するランキング」として2012年に制定。獲得賞金とは関係なく、公式戦や大会日数などに応じて成績を残したプレーヤーにポイントを付与し、その積み重ねによって順位付けを行うシステム。
大会によって生じていた賞金格差はなくなり、海外メジャーの成績もポイントに加わることとなった。金子は西郷がMVPのタイトルを奪取する条件として、この秋での活躍を挙げる。
金子柱憲が真意を語る
「せごどんにとって、今年の目標だった優勝は、開幕戦で達成されました。その結果、次はランキングトップという、もっと大きな目標になってくる。
でもそのためには、この秋の成績が重要になる。秋口からの後半戦できちっと勝つのは、本当に力のある選手。
過去の例を見ても、そういう選手がランキングのトップになっていますが、今の女子ツアーは、山下美夢有選手をはじめ勢いのある選手が5、6人いる。せごどんがその中で、トップを取るのは大変。これからが正念場ですね」。
メルセデスランクの首位争いをする山下美夢有とは仲もいい。ライバルというよりも同志のような関係とのこと。
勝負の秋。強豪ひしめく女子ツアーだけに、西郷の戦いは厳しいものになるだろう。
だが「せごどん」の愛称を付けてくれた通算113勝の師・ジャンボ尾崎から薫陶を受け続けていることは、大きな助けとなることは間違いない。
金子柱憲(かねこ・よしのり)
1961年3月4日生まれ。東京都出身。日大卒。
14歳でゴルフを始め、アマチュア時代は日本オープンベストアマ、関東学生優勝。1982年の韓国オープンではプロを抑えて優勝。1983年プロ入り後、ジャンボ軍団入り。91年に関東オープンで初優勝。ツアー通算6勝。







