蟬川泰果選手など日本の若手が強いのは、最先端スペックの恩恵を受けて育ってきたから?
レックス倉本のGOLFアメリカンな話”ちょっと聞いて〜や‼︎”/第30回
10/20〜23に行われたPGAツアー、CJカップではローリー・マキロイが23勝目を挙げ世界ランキング1位に返り咲きました。素晴らしいプレーでした。マキロイは今季シーズンが15シーズン目ということで永久シード権を獲得する権利も発生し(PGAツアーでの永久シード権獲得の条件はツアー通算20勝と15シーズンのツアーメンバーとしての活動)、ますます気持ちの入った試合が続きそうです。そして、なんと言ってもPGAツアーは日本のゴルフファンにはもっとエキサイティングな勝利の瞬間に湧きましたね。同日行われた日本オープンでのアマチュア蟬川泰果選手の見事なメジャー制覇です。今回は最近の日本のアマチュアゴルファーたちが強くなってきている背景を少し探ってみようと思います。
「ニュースペック」をゴルフを始めた時から導入しているのが強さの1番の理由
10/20〜23に行われた日本オープン、私は久しぶりに日本のゴルフ中継を観て楽しみました。そして、アマチュアの蟬川選手が優勝する快挙に嬉しい驚きと彼のゴルフゲームの旨さにワクワクしました。
今回の蟬川選手の優勝や3位タイに入った杉浦悠太選手、そして、先日プロ転向したばかりの中島啓太選手や2年前にプロ転向し世界のツアーに挑戦している金谷拓実選手など、最近の日本のアマチュア選手はどんどん強くなってきているのは間違いありません。その背景を私なりに考えてみました。
一番の理由は「ニュースペック」をゴルフを始めた時から導入していることです。パソコンで例えると、パソコンの中身は毎年毎年進化してスペックがアップグレードされていますよね。ゴルフ界も同じことが言えると思います。
蟬川選手の名前の泰果(タイガ)をみてもわかりますが、おそらくご両親がタイガー・ウッズ世代の年齢なんでしょうね。
そのタイガー全盛期を経ることで、一気にゴルフのインストラクション、トレーニング、ニュートリションなど全ての面がシステム化されました。ゴルフを始めた時からその最先端のスペックの恩恵を受けながら育ってきた世代が今、アマチュアからプロになろうとしているんです。
すでにプロとして数年活躍している選手らもそのスペックを書き換えながら、アップデートし続けながらプロ生活を送っているんだと思いますが、現代の最先端スペックをゴルフをはじめた早い時期から導入している今のアマチュアたちのゴルフ技術の向上スピードは目まぐるしく、ちょうど今そういうタイミングでアマチュアゴルファーたちが強くなってきているという状況がゴルフ界に起こっているんだと思います。
あくまでも私の感覚ではありますが決して外れているわけではないと思います。
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選手たちが信頼しているガレスコーチの教えとは
次に、JGAのナショナルチームのガレス・ジョーンズコーチの教えが効いているということ。ガレスコーチの名前はこれまでも何度かここで紹介していますが、では、ガレスコーチのどんな教えが効いているのかというと、選手たちにタイムマネージメントを教えているということです。
もちろん、ガレスコーチのところには世界のアップデートされたいろんなゴルフ理論が集まってきているとは思いますが、それ以上に選手たちが信頼している教えがタイムマネージメントなんです。
学生なら勉強もしなくてはならいし、その余った時間でゴルフの練習もしなくてはならないのですがその時間の使い方をアドバイスする。効率よくする練習方法やトレーニング方法、闇雲に練習をするんではなく限られた時間で何に集中をするのがいいのか、など長期的なビジョンのもとにスケジュールを組んでそれをそれぞれの選手に示しています。
それをすれば必ず勝てる、プロとして十分活躍できるんだ、とJGAのナショナルチームの選手たちもきっとそれを信じてやっているんだと思います。
そして、その結果がどんどん今出てきています。畑岡奈紗選手や金谷拓実選手からも実際にそう言う話を聞いています。根性でなんとかするんじゃなく、しっかりとスケジュールしたことを積み上げていくことが大切なんだということをガレスコーチは示しています。
私はガレスコーチの貢献はとても大きいと思っています。日本オープンでの蟬川選手の活躍はあらためて日本の男子ゴルフ界のポジティブな要素を見せてくれました。これからを楽しみにしたいと思います。
最後に、日本オープンの中継はスタジオの解説者と現地のオンコースレポーターらの連携でテレビで観ていても臨場感の伝わる面白い中継でした。ただ、私には少し違和感を感じる点もありました。それは…。
▼レックス倉本 プロフィール
本名は倉本泰信(くらもとやすのぶ)。1991年プロゴルファーに転向/コメンテーター歴14年広島出身。広島カープの大ファン。毎朝、目覚めとともにカープの試合状況をチェックするのが日課。大学時代をアメリカで過ごしたとき、唯一日本のブリヂストンのボール”Rexter”を使っていたのでゴルフ部のチームメイトから”REX”(レックス)と呼ばれるようになる。アマチュアゴルファー時代は、広島県の瀬戸内高校ゴルフ部からアメリカのオクラホマ州立大学を経てイーストテネシー州立大学ゴルフ部で腕を磨く。在学中には2度オールアメリカンに選出され、1990年に日本アマチュア選手権優勝、全英オープン出場を果たす。大学卒業後、1991年に日本のプロテストを合格しプロデビュー。その後、ヨーロピアンツアー、カナダツアー、アジアツアー、日本国内ツアー(1995年2部ツアーの賞金王に輝く)に参戦。2007年より米国ゴルフチャンネルでUS PGA Tour 、European Tour、US LPGA Tourなどのコメンテーターとして活躍。現在はフリーランスとしてGOLF TVでの解説のほか、 NHK、WOWOWでUS PGA Tour、US LPGA TOURの現地レポーターとしても活躍中。
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