あなたはテーラーメイド好き? 知っておきたい、グローレの誕生秘話
【第23回】商品開発はドラマ!GLOIRE(グローレ)日本のオリジナルブランドとして誕生したプレミアム・モデル
ゴルフメーカーの商品開発におけるドラマチックな業界裏話をメーカー勤務経験のフリーライター・嶋崎平人が語る連載企画。今回は テーラーメイドゴルフ GLOIRE(グローレ)ブランドが主役のストーリー。
GOLF TODAY本誌 No.606/70〜71ページより
写真/ゴルフトゥデイ編集部 取材・文/嶋崎平人
5年の歳月をかけて開発したのはミスヒットに強く音や打感にこだわった日本人の好みの仕様
初代「GLORE」はヘッド体積460cm³、カチャカチャ、白いヘッドなど最新の技術を投入していた。
テーラーメイドゴルフの「GLOIRE(グローレ)」は今年で誕生から10年目を迎える。この10月発売の最新モデル「STEATH GLOIRE」はカーボンフェースである。
この「GLOIRE」ブランドがどのようにして誕生したか、テーラーメイドゴルフ株式会社ハードグッズプロダクトシニアマネージャーの柴崎高賜氏にお話を伺った。
柴崎氏はテーラーメイドが好きで、3年間アプローチし続けて、2006年に入社したという経歴である。
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テーラーメイド商品を愛してやまないテーラーメイドゴルフ株式会社ハードグッズプロダクト・シニアマネージャーの柴崎高賜氏。
「GLOIRE」は2012年に日本のオリジナルブランドとして誕生した。遡ること10年前の2001年にテーラーメイドのグローバルモデルとは別に、日本限定モデルとして、XRシリーズを軽量・長尺のプレミアムブランドとして立ち上げていた。
2001年モデルは体積410cm³、長さ45.5インチ、総重量はRで298gで高反発モデルであった。また、当時は限定でプレミアム価格の商品を流通からも要望されていた。
通常のモデルが360cm³の時代で、体積を含めてグローバルに先駆けて最新のテクノロジーを投入していた。米国本社も日本の市場を重要視していたことの表れである。
このXRシリーズは2008年まで続いたが、当時XXIOが強力で、その牙城はなかなか崩せなかった。ただ、ハイエンド商品のマーケットの声、技術の蓄積は着実に進んでいった。
テーラーメイドはプロ・上級者用で、かっこ良いが難しいとのイメージがあった。そこで、日本人のためにやさしいミスヒットに強いクラブをつくりたいとの日本側の思いが、テーラーメイド本社を動かした。
約5年の開発期間をかけて満を持して、市場に投入したのが新ブランド「GLOIRE」である。テーラーメイドの最新の技術を投入した。調節機構いわゆるカチャカチャを初めて採用したのが2009年のR9、ハイエンド商品の王者XXIOは採用していなかったが、「GLOIRE」はそれを採用し、ドライバーだけでなくFWにも採用した。
さらに、日本人はフィーリングを大切にして、音や打感にこだわるので、そこを徹底的に追求し、日本人の好みに合わせた。
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フェース素材は鍛造白いヘッドに金色のフレークでライオンマークを入れ高級感を演出
フェースにはαβ鍛造チタンを採用し、打感や音にこだわった。
また日本では鍛造が高級品というイメージがあり、フェースにαβ鍛造チタンを採用した。テーラーメイドのテクノロジーは外から目に見えることをコンセプトとしており、フェースには「FORGED(鍛造)」の文字が入っている。
もちろん、その素材の反発の良さを生かすためでもある。さらに、2011年R11から採用した構えた時に安心感と方向性がだしやすい白いヘッドである。R11はマット系のホワイトであったが、「GLOIRE」は金色のフレークをまぜ、高級感を演出した。
さらに、テーラーメイドのグローバルブランドの商品サイクルは1年ごとだが、日本のお客様にとって安心感を重視した2年の商品サイクルとし、価格の安定も含めてブランドの価値をつくっていった。販売価格はドライバーで8万4000円とした。
「GLOIRE」のブランド名について、柴崎氏は、ゴルフ発祥の地と言われているスコットランドの古い言語であるゲール語で「栄光」を意味する「GLORIE」からとったとのことである。
このネーミングについては社内で検討し、当時のプロダクト責任者吉田安宏プロダクトディレクターが中心になって考案した。柴崎氏は吉田氏からゲール語の辞書をもらった記憶があるとのことである。
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ソールにはスコットランド王国の紋章でもある金色のライオンのマークが輝く。
ソールにはライオンのマークが刻まれている。ライオンはスコットランド王国の紋章で、ここにも細かなこだわりがあらわれている。
ライオンのマークについては、米国本社から打音に影響を与えると、新モデルが出るたびに議論になっていた。
2018年「MGLOIRE」からはライオンマークはなくなった。柴崎氏は「ライオンが野に放たれた」と笑っていたが、「GLOIRE」ブランドが定着した証しでもある。
日米の真逆の評価の苦労
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日本で独自に開発が続けられたグローレだが、今年で10周年を迎えた。
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2012年に発売された際に配布されたリリースには、日本のゴルファーのための、日本オリジナルモデルの文字が見られる。
開発で苦労したのは、日本人がこだわる音である。テーラーメイドの打音は「バッシュ」という低く抑えた音で、それが米国では高評価であったが、日本人が好む音は「カキーン」である。飛んでいる音、飛んでいる気がする音が好まれる。
もう一つ日米の大きな違いは、弾道である。米国では、右に行くつかまらないクラブが良いとの評価だが、日本では逆に左に行くくらいのつかまりの良いクラブが好まれる。日米の真逆の評価について米国開発陣との間で議論を重ね、日本のマーケットを理解してもらうのに時間を要した。
2012年に満を持して発売した初代「GLOIRE」は販売当初動きが悪かった。白いヘッドが目立ち、テーラーメイド=難しいとのイメージが先行して、使うのに躊躇するとの声があがった。
しかし、アマチュア向けと想定していた「GLOIRE」を女子プロが使用し、活躍し、逆に白いヘッドが目立つことでプロモーションとなり、ヒット商品となった。10年目の最新モデル「STEATHGLOIRE」にも日本人のためのクラブという思想は引き継がれている。
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