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オノフ好きなら知っておきたい、ブランド定着の裏にあった強いこだわり

【第24回】商品開発はドラマ!独自な世界観でブランディングしたことで初年度65億円の成功に!

2023/01/03 ゴルフサプリ編集部

オノフの初代ドライバー

ゴルフメーカーの商品開発におけるドラマチックな業界裏話をメーカー勤務経験のフリーライター・嶋崎平人が語る連載企画。今回はオノフ ONOFF(グローブライド)が主役のストーリー。

GOLF TODAY本誌 No.607/70〜71ページより
写真/ゴルフトゥデイ編集部 取材・文/嶋崎平人

150億から25億に落ち込んだゴルフ事業を「地球を舞台にしたスポーツの新しい楽しみと創造」で立て直す

コンセプトを説明したリリーズ

上質なゴルフライフというオノフのブランド・コンセプトを説明したリリーズ。

「オノフ(ONOFF)」はグローブライドが展開する独自の世界観を持つブランドである。

オノフのブランドブックを改めてみるとブランドアイデンティティーとして「単にスペックを追い求めるのではなく、ルール、マナーに立脚したゴルフの本質をスタイリッシュに提案する上質なブランド」と方向性を明確にしている。

「究めて、オノフである。究めて、上質である。」のフレーズが印象に残る。

オノフは2002年に誕生したブランドで、オノフの成り立ちについて、グローブライド株式会社のスポーツ営業本部ゴルフ営業部企画課長オノフクラブアドバイザー山﨑誠司氏にお話しを伺った。

山﨑誠司氏
お話を伺ったグローブライド株式会社のスポーツ営業本部ゴルフ営業部企画課長オノフクラブアドバイザー山﨑誠司氏

グローブライドの本社は東京の郊外、緑豊かな東久留米市にある。グローブライドの創業は1955年釣具メーカーとして設立され、1958年大和精工株式会社として法人化、1969年にオールドファンに馴染みのあるダイワ精工株式会社に社名を変更した。

1971年ダイワゴルフ株式会社を設立、ゴルフクラブの製造・販売を開始した。2009年、現在のグローブライド株式会社に社名変更した。

「地球を舞台にスポーツの新しい楽しみを創造し、自然と触れ合う歓びを世界中に広めたい」という思いを込めた社名である。2002年に誕生した「オノフ」のブランドコンセプから影響を受けているのではないかと筆者は想像する。

「オノフ」はなぜ誕生したのであろうか。

オノフの初代ドライバー

オノフの初代ドライバー。写真の撮り方も独自性を打ち出していた。

2000年ダイワ精工のゴルフ事業は、バブルがはじけて以降厳しくなっていた。2000年にダイワ精工の生え抜きとして初めて小島忠雄氏が社長に就任。「選択と集中が大事」とメディアのインタビューに答えている。

当時ブランドとしてアマチュア向けの高級クラブとして「G3」、プロ・アスリートラインとして「チームダイワ」を持っていたが、ヒット商品がなく、メーカーとして10位に甘んじる状況であった。

ダイワ精工は1992年のピーク時、クラブ事業で150億円の売上があったが、オノフ投入前の2001年には25億円に凋落していた。また、他社では2000年に立ち上がったダンロップの「XXIO」がブランドに集中し大ヒット、一人勝ちの状況であった。

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この状況を打破するために、小島忠雄社長の号令で、ゴルフ事業再建プランとして、新しいブランドを立ち上げるプロジェクト(当時社内の資料ではZ-project)が2000年からスタートした。

ターゲットや市場状況などを分析し、社内ではいくつかのブランドが候補にあがり、「A-Z」「レッドゾーン」などが検討された。その中で、社内では「レッドゾーン」が有力となった。「レッドゾーン」は振り切る、飛びの限界突破などの意味を込めていた。

機能ばかり追うのではなく、ターゲットとして団塊の世代、モノにこだわる人、という方向性とネーミングの「レッドゾーン」に齟齬があり、社外のブランドプロデューサー、マーケッターであるストレンジフルーツ代表の大江旅人氏にブランド創りを依頼した。新ブランド「オノフ」の誕生である。

ブランドの思想がブレないかを常にチェックし、アイアンは11代目ドライバーは18代目と息の長い商品に

  • 目土袋

    目土袋を前面に押し出したブランドイメージ戦略は斬新だった。

  • オノフの登録商標

    オノフの登録商標。呼称としてオノフとともに、オンオフという表記も。

2002年1月のスタートダッシュはインパクトがあった。広告・カタログに関して、ブランドイメージの世界観を前面に押し出し、「目新しい、面白い」との声が販売店から上がっていた。

オノフの広告には今まで通常使われている「飛ぶ」「曲がらない」といったキャッチコピーは使っていなかった。それを象徴するのが、目土袋を前面に押し出したものであった。「オノフ」は初年度65億円を達成し、新しいブランド思想が評価された。

一方開発部門は、テクノロジーと感性の融合を目指し、ドライバーでは飛びの3要素を追求し、ダイワ精工が得意とするシャフトに着目し、ヘッドとシャフトを一体化するインナーキック構造を採用、ヘッド内部でシャフトを固定する構造で、自然なアッパー軌道となり最適なスピン量・打ち出し角で飛びを実現させた。

また、アイアンはマルエージング鋼のフェースを採用し反発の良さで飛びを実現させ、実際に使用した時の機能も満足させることに傾注していた。

3代目のオノフは量販店で販売がトップになりブランドが定着した。

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オノフのオブジェ。
オノフのブランディングイメージのオブジェ。

また、2009年にはその年クラブ契約した片山晋呉がマスターズで4位となり注目を集め販売に貢献した。

アイアンは2年に1回、ドライバーは毎年新商品を展開し、アイアンは11代目、ドライバー18代目を数えている。ブランドイメージだけでなく、使っても満足できる商品として続いている。

オノフの世界観を表したブランド・ブックに、すべての商品の骨格が表されている。

オノフのブランド・ブック

「オノフ」はブランディングの時代を先取りし、その世界観にこだわり続けている。

「オノフ」のブランドブックは社内でも重宝しているとのことである。新しい商品について、ブランドの思想がぶれていないか、チェックするとのことである。

「オノフ」がスタートして20年、そのブランドコンセプトは、次の「オノフ」に受け継がれていく。


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