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西郷真央の「ドライバーの振り抜き」がスゴイ!

人気コーチ、大西翔太は見た!この女子プロのココがスゴイ!|VOL.2

2023/02/09 ゴルフサプリ編集部

西郷真央

プロコーチであり帯同キャディとしても青木瀬令奈をサポートする大西翔太コーチ。その大西コーチが22年のシーズンを通して鮮明に記憶に残ったシーンを紹介するシリーズ。間近に見てきたライバルたちのスイングやプレーぶりを、連続写真を使ってわかりやすく解説。第2回は西郷真央の名シーン。

取材・文/三代 崇  写真/相田克己、渡辺義孝
取材トーナメント/TOTOジャパンクラシック、伊藤園レディス

ドライバーの飛ばしには「振り切ろう!」という強い気持ちが大事

西郷真央

22年のシーズン、西郷真央選手は開幕戦でツアー初優勝を飾り、その後も好調をキープして5月のブリヂストンレディスで早くも5勝目。シーズン前半は西郷選手の独壇場といってもいいほどの大躍進でした。

ボクが西郷選手のココがスゴイ!と目を見張ったのは、4月初めのヤマハレディースオープン葛城の最終日です。

西郷選手は初日からトップを走り、青木瀬令奈選手が3位タイ。西郷選手と最終組でプレーしたのですが、この日は大雨の悪天候で、さすがの西郷選手も青木選手も苦しいプレーを強いられました。

迎えた最終18番のパー5ホール。その段階で2位の堀琴音選手と3打差ついていたので、どうするのかと見ていたら、何とドライバーを手にしたのです。普通なら無理せず手堅くパーセーブといきたいところですが、西郷選手は目一杯のフルスイング。いわゆる「マン振り」です。

何とこれが右へのOBとなってしまいました。ちょっとピンチかな?と思っていると打ち直しもドライバーでフルスイングし、見事にフェアウェイキープ。最終ホールはダボで上がり、1打差で優勝という辛勝でした。

でも土砂降りの雨の中で、しかもカッパを着ていてあれだけのフルスイングができるところに驚嘆させられました。そして打ち直しもビビらないでしっかりと振り切れるメンタルの強さ。

本人は「しっかりスイングしないとジャンボさんに叱られちゃうから」と口にしていましたが、これぞ西郷選手の真骨頂だと思いました。18番ホールはドライビングディスタンス計測ホールでしたし、西郷選手の頭の中には安全にレイアップという思考なんてなかったのでしょう。

聞くところによると、師匠の尾崎将司さんから「ディスタンスは何位だ?」とよく尋ねられるそうで、飛距離への追究心が高いのも西郷選手らしさです。

トップの深い捻転とインパクト後の右足の我慢がビッグキャリーを生む

西郷真央
⑤両ヒザをほとんど動かさないで肩を90度以上回転。肩と腰の捻転差が大きな飛ばしを実現する。⑬クラブヘッドと右足が引っ張り合うイメージが最大の遠心力を生み出す。⑯フィニッシュ目がけて気持ちよく振り切る。バランスを崩さないことも大事なポイント。

この西郷真央のドライバーショットの連続動画はこちらから!

西郷選手はドライバーが巧い選手で、20~21年の統合シーズンのドライビングディスタンスは246.33ヤードで10位。フェアウェイキープ率は23位。ドライビングディスタンスとフェアウェイキープ率の順位を足した数値でドライバーの総合力を表すトータルドライビング部門は1位でした。西郷選手のドライバーの連続写真をつなげるように見て、映像でイメージしてみてください。スイングにまったく緩みがなくて、体幹をフルに回転している感じが伝わってくることと思います。

スタンスが狭めで、すっと立つ感じのアドレスがまさに自然体。そして構えたときの両肩と両腕の三角形がスイング中もほとんど崩れていない。三角形キープの見本のようなスイングです。バックスイングでも三角形を崩さずに、トップで肩を90度以上も回しています。それでいて左ヒザがアドレスの位置とあまり変わっていません。腰の回転角度は45度以下、肩は90度以上。この腰と肩の大きな捻転差がビッグキャリーを生み出すパワーの源です。

切り返しで左足を踏み込んで一気にフィニッシュへと向かいますが、ダウンスイングからインパクトにかけて右足を積極的に動かしているように見えますよね。でも実際はすごく我慢している。インパクトエリアでは腰の回転と連動して右カカトが浮き上がり、右足を蹴り上げるような形となりますが、ボールを打ち抜いた後のフォロースルーで一瞬だけ右カカトを少し地面のほうに少し下げる動きが見られます。右足を過度に動かさないで、右足とクラブヘッドが互いに引っ張り合うイメージによって最大の遠心力を引き出しているのです。

西郷真央
アドレス時の両肩と両腕の三角形をキープし、体幹の捻りでバックスイングしている。
西郷真央
インパクト後に右カカトが一瞬だけ沈み込む動きが見られる。この右足の我慢も飛ばしの絶対要素だ。

スゴイ! と思ったのはもう一つあります。それは切り返しからフィニッシュに至るまで左足がほとんど動いていないことです。インパクトで左足がめくれたり左ツマ先が回ってジャンプアップしたりすることなく、最後まで左足の裏が地面をしっかりとつかんでいます。そして振り抜いた姿勢のまま、バランスよく立っていられる。下半身の強さを活かすには足を積極的に動かすタイプと、西郷選手のように足の動きを抑えて「我慢」をパワーに転換するタイプがいます。トライバーが飛ばないと悩んでいる方は西郷選手のアドレスを参考にして狭めスタンスで構え、両足が動きすぎないように我慢させるつもりでスイングしてみるといいと思います。

西郷真央
ボールをしっかり打ち抜くまでアゴを下に向けて目をボールから離さない。


西郷真央

西郷真央
さいごう・まお(島津製作所)2001年10月8日生まれ、千葉県出身。158㎝。22年シーズンは開幕戦のダイキンオーキッドレディスでツアー初優勝を飾ると前半戦でヤマハレディースなどを含む5勝を上げる大活躍。メルセデスランキング2位、賞金ランクは5位。


大西翔太

大西翔太
おおにし・しょうた/1992年6月20日生まれ、千葉県出身。水城高校ゴルフ部を経てティーチングプロの道に進む。日本プロゴルフ協会公認A級の資格を取得。現在はジュニアゴルファーの育成に尽力する一方、青木瀬令奈のコーチもつとめる。メンタルやフィジカルの知識も豊富でメディアでも幅広く活躍中。


【人気コーチ、大西翔太は見た! この女子プロのココがスゴイ!】


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