サラーッと打ってターゲットに運んでいく感じのアイアンショットに目を奪われた

ボクが稲見萌寧選手のアイアンショットを間近に見てスゴイ!と思ったのはスタンレーレディスゴルフトーナメントの最終日です。

この日は稲見選手と青木瀬令奈選手が13位タイの位置で同じ組でプレーしました。結果は稲見選手14位タイ、青木選手28位タイ。

2人とも優勝争いに絡むことはなかったのですが、稲見選手のアイアンショットはボールをサラーッと打っていて、ターゲットに運んでいくという感じなんです。

しっかりとダウンブローに打ってターフを厚く取るアスリート感覚のスイングというより、いかにターゲットに対して正確に運んでいくかといった、ゲーム感覚の高いスイングのような印象を受けました。

この稲見萌寧のアイアンショットの連続動画はこちらから!

ここに注目ポイント!

  • ⑦手元とカラダの間隔をキープし、クラブを遠くから振り下ろすイメージのダウンスイング。
  • ⑧体重を右足に残し気にし、クラブヘッドを緩やかな角度から下ろしてインパクトを迎える。
  • ⑪緩やかダウンブローなら長いインパクトゾーンが作れて振り抜き感もスムーズ。

最終日の稲見選手は、ティショットの調子が今ひとつで、フェアウェイキープキープは14ホール中8ホールでしたが、パーオンホールは何と18ホール中16ホール。22年のシーズンはパーオンオン率1位の座を山下美夢有選手に譲ったけれども稲見選手は堂々の2位。

そんな稲見選手のプレーを目の当たりにすると、21年の6月に開催された宮里藍サントリーレディスオープンゴルフトーナメントのシーンがフラッシュバックされてきたものです。

青木選手が復活のツアー2勝目を達成した大会で青木選手にとって大きな自信となり、確信となったゲームでした。ボクにとっても感慨深かったこのゲームの話もさせてください。

2021年「宮里藍 サントリーレディスオープンゴルフトーナメント」

大会前の稲見選手はシーズン前半で早くも5勝と大驀進中でした。宮里藍サントリーレディスの初日も66の好スコアで2位タイのスタート。2日目68、3日目66で通算16アンダーの単独トップで最終日を迎えました。

一方の青木選手は初日71、2日目67、3日目66と追い上げて通算12アンダー。最終日は67をマークした青木選手が通算17アンダーとし、パープレーに終わった稲見選手を下して逆転優勝しました。

絶好調の稲見選手を相手に、この日の青木選手は全ホールでパーオンという神がかりのプレー。

青木選手は飛距離が出る方ではなく、パーオン率はそれほど高くないのですが、稲見選手のサラーッと打ってターゲットに運ぶイメージに助けられたのかもしれませんね。

「緩やかダウンブロー」に打てば距離感も方向性も安定しやすい

この稲見萌寧のアイアンショットの連続動画はこちらから!

ここに注目ポイント!

  • ベタ足気味のダウンスイングはクラブの入射角が鋭角になりすぎるのを防げる効果がある。

稲見選手のアイアンショットはボールをサラーッと打っているように見えても、キレ味がとてもいい。その秘訣がどこにあるかというとダウンスイングです。アドレスではボールの近くスッと立つ感じで構えていて、バックスイングはお腹の回転主導でクラブを上げて行きます。

そして切り返し以降のダウンスイングの動きに注目してください。トップのポジションからは手元とカラダの間隔を変えないでそのまま振り下ろしていることが分かるでしょう。

大きな円弧を描くようにクラブを遠くからキャスティングするのが一番の特徴です。左足への体重移動を抑えてベタ足気味にインパクトを迎えるのも稲見選手独特の動きです。

ダウンスイングでタメを作れとか、右ヒジを絞って振り下ろして、ダウンブローに打てなどとよくいいますが、これを意識しすぎるのはよくないと思います。ダウンスイングの円弧が小さくなり、クラブが急角度で下りてきてインパクトが「点」になってしまうからです。

ダウンスイングでリリースが早くほどけると、ボールの手前をダフるのでNGですが、タメをあまり作すぎないようにクラブを鈍角な軌道で振り下ろすイメージを持って頂きたいと思います。稲見選手のインパクト直前の写真を見てもクラブヘッドが緩やかな角度から入っているのが一目瞭然です。

大きな円弧を描くイメージで振り下ろせばダウンスイングの軌道がキレイになります。クラブの入射角も安定しますし、「緩やかダウンブロー」にボールをとらえることでインパクトゾーンが自然と長くなる。

ダウンブローには違いないけれど、限りなくレベルブローに近いスイング。ボールを横から払い打つという感覚といっていいでしょう。

薄くて長いターフが自然に取れますが、鋭角に打ち込むスイングと比べるとインパクト時の抵抗が少なくて振り抜きがスムーズ。これがアイアンのキレにつながるのです。

稲見萌寧
いなみ・もね(Rakuten)1999年7月29日生まれ、東京都出身。166㎝。22年はニトリレディス、リシャール・ミル ヨネックスレディス優勝。メルセデスランク、賞金ランクともに3位。2021年の日本女子プロなど20~21年の統合シーズンは9勝をあげて賞金女王。東京オリンピックでは銀メダル獲得した。ツアー通算12勝。


大西翔太
おおにし・しょうた/1992年6月20日生まれ、千葉県出身。水城高校ゴルフ部を経てティーチングプロの道に進む。日本プロゴルフ協会公認A級の資格を取得。現在はジュニアゴルファーの育成に尽力する一方、青木瀬令奈のコーチもつとめる。メンタルやフィジカルの知識も豊富でメディアでも幅広く活躍中。


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