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勝みなみの「アイアンのアグレッシブスイング」がスゴイ!

人気コーチ、大西翔太は見た! この女子プロのココがスゴイ!|VOL.4

2023/02/16 ゴルフサプリ編集部

プロコーチであり帯同キャディとしても青木瀬令奈をサポートする大西翔太コーチ。その大西コーチが22年のシーズンを通して鮮明に記憶に残ったシーンを紹介するシリーズ。間近に見てきたライバルたちのスイングやプレーぶりを、連続写真を使ってわかりやすく解説。第4回は勝みなみのスゴさを語ってもらった。

取材・文/三代 崇  写真/相田克己、山之内博章、渡辺義孝
取材トーナメント/日本女子オープン、TOTOジャパンクラシック、JLPGA選手権リコーカップ

大一番でも豪快なスイングでピンを大胆に攻めていくプレースタイル

勝みなみ選手のプレーを観てスゴイ!と感嘆させられたのは、紫カントリークラブすみれコースで開催された日本女子オープンの最終日です。

勝選手は初日72、2日目75、3日目70の通算1オーバーの3位タイで、最終組の一つ前の組で山下美夢有選手とのペアリングでした。最終組は通算2アンダーで単独トップの申ジエ選手と1アンダーで2位の吉田優利選手。ボクはこの日、勝選手の組について観戦していました。

勝選手は前半9ホールで、5バーディを奪う猛攻を見せて通算4アンダーでトップ。ところが後半で2つボギーを叩いてしまい、勝負の行方は分からなくなってしまいました。勝選手、申選手、吉田選手の激しいツバ競り合いです。

そして14番、パー4ホールに次いで2番目に難易度の高い17番、421ヤードの長いパー4ホール。220~230ヤード地点の左サイドにフェアウェイバンカーがあり、フェアウェイがタイトに絞られています。

ここで勝選手はティショットをフェアウェイキープ。第2打は遠目で確認できませんでしたが、5番アイアンくらいでグリーンオン。そして4メートルくらいでしょうか、バーディパットを見事に決めて通算3アンダー。

最終組の申選手と吉田選手はともに17番でフェアウェイバンカーに打ち込んでしまい、第2打も揃ってミスして申選手ボギー、吉田選手はダブルボギー。勝選手が逃げ切って2年連続の女子オープンチャンピオンに輝きました。

勝みなみのアイアンショット
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ここに注目ポイント!

  • ⑤トップへとクラブを大きく振り上げていく。オープンスタンスに構えるから捻転量がかなり深い。
  • ⑨右足を蹴る形に見えるが、本人はベタ足のイメージを大事にしてスイングしているという。
  • ⑭多少の傾斜地でもフィニッシュまでダイナミックに振り切るのが勝みなみのプレースタイル。

結果的にこの17番のアイアンショットが勝敗を分けたのですが、ティショットでかなりの重圧がかかる場面で、ターゲットに正確に運んだ勝選手のドライバーショットと、アライメントを丁寧にとってピンを確実に射るアイアンショット。

それにパーオンホールの平均パット数1位のパット巧者でもあります。どんな場面でもアグレッシブに攻めていきますし、勝負をかけた大一番で実力をフルに発揮できるところが勝選手の凄みだと思います。

アイアンも深い捻転とダイナミックなフォロースルーで飛ばす

勝みなみのアイアンショット
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ここに注目ポイント!

  • ⑥ダウンブローに打ってターフをしっかり取る。米女子ツアーの芝にも対応しやすいスイングだ。
  • ⑧誰よりも高くて大きなフォロースルー。カラダの全体を使ったスイングだからアイアンもよく飛ぶ。


勝みなみのアイアンショット
スイングはダイナミックだが、再現性が高いのは余力を残している証拠ともいえる。

勝選手は、22年のドライバーの平均飛距離は253.21ヤードでディスタンス部門4位ですからアイアンもよく飛びます。基本的にドライバーはフルスイングし、方向重視のアイアンは、それほどフルスイングをしないプレーヤーが多いのですが、勝選手の場合はアイアンも目一杯のフルスイング。

アドレスでは軽いオープンスタンスに構えて、バックスイングはクラブを上げられるところまで上げていくという感じで、誰よりも高くて大きいトップを作っています。目標よりも左を向いて立ち、肩を90度以上も回すのですから捻転から生まれるパワーは相当なものです。

ダウンスイングでの右足の蹴りも実にパワフル。そしてクラブを空に高く振り上げていくような大きなフォロースルー。軽いインサイトアウト軌道でハイドローを打つタイプです。

ドライバーのディスタンス部門3位の原英莉花選手の前傾角度をキープした大きなフォロースルーもスゴイ!と思いますが、勝選手のフォロースルーも原選手に負けないほどダイナミック。アイアンでこれだけの大きなスイングアークで振れる選手はそうそういません。

本人はベタ足のイメージでスイングしているそうですが、ダウンスイングからフォロースルーにかけての右足の蹴りも両足の我慢によるもので、右足とクラブが引っ張り合うような大きな遠心力を生み出しているのでしょう。

ちなみに左を向いてボールを右に打ち出すのは皆さんもご存じのロリー・マキロイと一緒というのも興味深いところです。

見た目はマックスのスイングですが、いつも同じようにダイナミックに振れるということは本人にとっては100パーセントの力感では振っていないはず。実をいえば勝選手はドライバーからウェッジまで全部同じスイングなんです。

気持ちだけは絶対に気を緩めずに、アグレッシブに攻める。だけどスイングは余力を残しておく。あれだけの結果を残せるのはそこに秘訣があるように思います。

アイアンはしっかりとターフを取りますし、多少の傾斜地やラフでもアグレッシブスイング。23年シーズンは米女子ツアーが主戦場となりますが、舞台が変わってもしっかり結果を出せることでしょう。

勝みなみ

勝みなみ
かつ・みなみ(明治安田生命)1998年7月1日生まれ、鹿児島県出身。157㎝。22年は日本女子オープン2連覇達成など2勝をあげてメルセデスランク、賞金ランクともに4位。ツアー通算8勝。昨年末に米女子ツアーの最終予選会にチャレンジし、見事に出場権を獲得。23年シーズンは米女子ツアープロとしての活躍が期待される。


大西翔太

大西翔太
おおにし・しょうた/1992年6月20日生まれ、千葉県出身。水城高校ゴルフ部を経てティーチングプロの道に進む。日本プロゴルフ協会公認A級の資格を取得。現在はジュニアゴルファーの育成に尽力する一方、青木瀬令奈のコーチもつとめる。メンタルやフィジカルの知識も豊富でメディアでも幅広く活躍中。


【人気コーチ、大西翔太は見た! この女子プロのココがスゴイ!】


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