桜がたくさんあるゴルフコースが少ないのはなぜ?桜、さくら、サクラ…花見ゴルフは刹那だからこそ美しく愛おしく、どこまでも深い!
ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が現場で感じたゴルフエッセイ【毒ゴルフ・薬ゴルフ】第62回
ゴルフの虜になってもうすぐ半世紀。年間試打ラウンド数は50回。四六時中ゴルフのことばかりを考えてしまうロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が、コースや色々な現場で見聞きし、感じたことを書いたのが【毒ゴルフ・薬ゴルフ】です。大量に飲めば死んでしまう毒も、少量なら薬になることは、ゴルフにも通じるのです。
写真提供/篠原嗣典
花見ゴルフはタイミング次第!簡単にできないから価値があるのかも!?
日本人は桜が大好きです。冬の終わりになると、開花予想が発表されて、桜の花が咲く季節のカウントダウンが始まります。今書いている時点で東京の桜はほぼ満開、公開までに時間のズレがあることを考えると、桜がテーマの読み物としてはタイミングが遅すぎてしまいます。
花見ゴルフも含めて、桜はタイミングが全てだといっても過言ではありません。
厳密な意味で、満開の桜の下で花見ゴルフをしたという経験があるゴルファーは、ごく少数しかしません。理由は、桜は咲いている時間が短く、満開の期間は最長でも1週間ぐらいしかないからです。年によって開花時期がずれるのが当たり前ですから、ピッタリのタイミングでゴルフができるのは、運良くクジが当たったみたいな感覚なのです。
桜を楽しめるラウンドコースは、実は少ない
そしてもう一つ、花見ゴルフと自慢できるほどに桜がたくさんあるゴルフコースは、全コースの数パーセントしか存在しないのです。一つのホールだけに桜がたくさんある、というだけでいいなら多数ありますが、ラウンドを通して楽しめるコースは一握りです。
理由は、花びらの季節と葉が落ちる季節にコース内の清掃が大変になるからです。刹那な美しさは、無条件で味わえるほど甘くはないというわけです。
そもそもゴルフに夢中で、ボールを見るだけで精一杯。桜を楽しむ余裕なんてないというゴルファーのほうが圧倒的多数であることも、花見ゴルフを難しくしています。
優雅に花見を楽しむゴルフというのは、いろいろな意味で憧れであり、幻なのです。
花見ゴルフは工夫次第で簡単にできて、角度を変えれば面白い楽しみ方も可能!
桜の開花と満開は、桜前線として日本列島を北上するように横断していきます。この速度は、1日に20キロ前後とされています。
東京が満開だとして、100キロ北にあるコースの満開はその4~5日後です。そういう計算ができるので、北部にあるコースであれば花見ゴルフのタイミングを予測できます。
老後の楽しみとして、桜前線とともに北上しながら花見ゴルフを楽しむ先輩夫婦がいました。神奈川の横浜からスタートし、約1ヶ月をかけての旅です。
「1ヶ月ずーっと桜が満開だと、天国みたいなんだよ」
時々、その年の写真を見せてもらいながらお話を聞かせてもらいました。当時の僕はまだ若く、もの好きだなぁと思って聞いていましたが、自分が先輩の年齢に近づいてきた現在、素敵な趣味だったのだなぁと羨ましく感じています。ある意味で、究極の花見ゴルファーだとリスペクトしています。
みなさん、桜タイムトラベルをご存知ですか?
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