ゴルフウェアのドレスコードを“コスプレ感覚”で楽しむ若者ゴルファー
ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が現場で感じたゴルフエッセイ【毒ゴルフ・薬ゴルフ】第61回
ゴルフの虜になってもうすぐ半世紀。年間試打ラウンド数は50回。四六時中ゴルフのことばかりを考えてしまうロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が、コースや色々な現場で見聞きし、感じたことを書いたのが【毒ゴルフ・薬ゴルフ】です。大量に飲めば死んでしまう毒も、少量なら薬になることは、ゴルフにも通じるのです。
写真提供/篠原嗣典
スポーツするような動きやすい服装がドレスコード違反なのは、どうして?
ゴルフコースのドレスコードは実は二刀流で、(1)クラブハウスに入る際にチェックされるものと、(2)着替えてプレーする際のものの二種類が厳密には存在します。2023年時点では、(2)のプレーする際のものだけが存在するコースのほうが多くなってきています。
動きやすいスポーツウェアでもいいはずなのに、ドレスコードでは禁止しています。ゴルフの歴史に敬意を払って接しようという、基本的な概念があるからです。
ゴルフには、少なめに考えても500年を楽に越える歴史があります。ゴルフが生まれた時代には、スポーツなんて概念はなかったのです。昔のゴルフの絵画にはジャケットとネクタイでゴルフをしている姿が書かれていますが、単純にそれ以外の相応しい服装がなかったのです。
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そういう先人たちが、不自由を我慢してゴルフを伝えてくれた名残が襟付きシャツという伝統だと考えれば、そのぐらいはいいかと思えてくるのです。
Gパンのようなカジュアルすぎる服装がNGというのも、ゴルフコースは現実を忘れて楽しむための空間だという昔からの慣習を守るために生まれたのです。
Gパンは労働者の作業着だった歴史があるので、労働を想起させるものとして相応しくない、と考えられました。数十年前まではセーターも、アイルランドの漁業労働者の防寒着(アランセーター/フィッシャーマンセーター)だった歴史があることからNGだったのです。
公的な場で行われるゴルフシーンで、イギリスの王室関係者が着用してゴルフをプレーするとその服装がゴルフウェアとして認められるという、暗黙の了解が現在でも続いています。セーターも、そうしてOKになったのです。
僕らが生きている間にも、新しく認められる服装があるかもしれません。
ゴルファーは美学という絆で繋がっていることを、ドレスコードが教えてくれる!
シャツの裾を出して着る「シャツアウト」はおじさんのゴルフウェアの象徴で"カッコ悪い"と若者ゴルファーが言ったと書いたら、それを読んだ僕の周辺のオジさんゴルファーたちは、一斉にシャツインするようになりました。
シャツインは、ドレスコードの着こなし部門の代表的象徴です。
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オジさんゴルファーたちはカッコイイと思ってシャツアウトしていたので、よく見られたいという純粋な気持ちはカワイイのです。つまり、自分が楽だからということではなく、他者にどう見られるか?というのが服装の役割だということです。
実際に体験した大事件とは…
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