G430 LST フェアウェイウッドは、限界まで小さくしたドライバーなのか?

ピンゴルフは、2023年4月20日に『G430 LST フェアウェイウッド』を発売する。
2022年の秋に発売した『G430 MAX フェアウェイウッド』と『G430 SFT フェアウェイウッド』とラインアップが揃ったといえるのだが、『G430 LST フェアウェイウッド』は、他の2本とは大きく違うフェアウェイウッドなのである。

まず、最も明確に違うのは価格だ。発売されて約半年、評判が良い2本の『G430 シリーズ』のフェアウェイウッドは、メーカー希望価格が税込みで6万円ちょっと。だが、『G430 LST フェアウェイウッド』は税込みで9万3千5百円なのだ。二度見してしまう驚愕の高額フェアウェイウッドである。

ドライバーと同じような価格になってしまったのは、単純にテクノロジーや素材がドライバーと一緒だから。フェアウェイウッドのボディは通常はステンレススチールだが、『G430 LST フェアウェイウッド』はチタン合金だ。強度が高く、鉄よりも軽いチタンを採用することで余剰重量が生まれる。

約80グラムの「タングステン・ソールプレート」をソールに配置することが可能になった。カーボンクラウンも採用しているので、前モデルよりも約29%も低重心になったという。

さらに飛ばすために「激飛2041βチタンフェース」を採用している。構造や重心位置で弾道の安定と打ちやすさを向上させて、フェースでぶっ飛ばすのである。

さて、ではいよいよコースで打っていこう

『G430 LST フェアウェイウッド』の発売は、実は何度か延期になった。世界情勢の影響もあったと思われるが、妥協しないというピンゴルフの信念を感じた。

『G430 LST フェアウェイウッド』はツアーモデルという位置付けになるが、ヘッドが小さく、シャープだということ以外は、むしろ簡単そうに見える。ヘッドに厚みがあるわけでもなく、フェースの位置と形状もボールを拾いやすくなっているからだ。

ただボールにアドレスしてみるとわかるのだが、フェースのバルジの感じなどビックリするほどオーソドックスというか、クラシックなのだ。シェイプも曲面のピークの位置など、ピンらしさよりもオーソドックスな感じを優先したように感じた。

『G430 LST フェアウェイウッド』は、15度の3番のみだ。僕はスプーン大好きゴルファーの一人だが、ヘッドスピードが40m/sしかないので、ハードなスペックなら打てない可能性があった。ワクワクして、ドキドキもしながら試打ラウンドに挑んだ。

コースは、気温6℃〜21℃、快晴、微風。使い慣れていてクラブの影響だけに集中できるということで『TOUR B X』を使用した。

黙って打ちな!飛距離性能に惚れ、安定性に感動できるスプーンが『G430 LST フェアウェイウッド』だ!

『G430 LST フェアウェイウッド』は、ちょっとクラシカルな香りを感じつつ、ピンらしさで武装をしているクラブだ。

試打してみて、わかったポイントをまとめる。

●打音:音量やや大きめ。音質は濡れた鞭系と硬質系のミックスで、残響もある音。打ち応えは軽めで弾き感あり。手応えはクリアで敏感。

●弾道:中弾道。強い棒球系でストレートに飛ぼうとする。左に行きにくい。ミスヒットの許容性はドライバー並み。

●飛距離:平均215ヤード。最長飛距離235ヤード。ドライバーと同じくらい飛ぶ驚異の飛距離。

僕のヘッドスピード40m/sで、3番ウッドで235ヤード飛ぶのは異常だ。でも、現実なのだ。腰が抜けそうになった。中弾道なのでランも含んだ飛距離だから、地面の柔らかさや傾斜などでかなり違いが出るが、恐ろしいほどの飛距離性能である。

そして、ミスヒットしたときの飛距離性能も素晴らしいのひと言。かなり芯からズレた打点でも、1割程度しか飛距離が落ちない。ヘッドが小さいフェアウェイウッドの場合、ミスヒットをヘッドの機能で助けるのは難しいのが常識だったが、過去に打ったスプーン(3番ウッド)で最高点だ。

価格に見合った価値がある

ボールの浮力は最小限で、ボールの高低は敏感。ドローとフェードも敏感にコントロールできる。この辺りが、ツアーモデルと言える。ボールコントロールに自信がないと使い熟せないので、難しいと思うゴルファーもいると推測する。ただ、ボールの拾いやすさなどは、先行発売していた『G430 MAX』と『G430 SFT』のフェアウェイウッドよりもやさしく助けてくれると感じた。

『G430 LST フェアウェイウッド』は、打ち手によって評価が大きく変わってしまうクラブだ。満点狙いではなく、飛距離性能などの狙いにいったポイントだけに特化しているからだ。足りない部分は、ゴルファーがどうにかしてください、という感じなのである。

コスパのいいスプーンを2本購入できる高額の『G430 LST フェアウェイウッド』は、その価格に見合う価値が十分にある1本である。この価格だからこそ、伝説的なスプーンになる予感がするのだ。




篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてでビュー。試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。


コースに持ち込み、ロマン派ゴルフ作家が検証
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