ミクロンの見えない世界で『B-Limited BRM2 フルミルドウエッジ』は完成していく!
ブリヂストンスポーツは、2023年3月24日に『B-Limited BRM2 フルミルドウエッジ』を発売した。
リリースには、「『狙い通りにピンに寄せたい』『思い描いたとおりにボールを操れる感覚が欲しい』など、ツアープロが求めるスピン性能を世界最高峰レベルで追求し進化した」ウェッジと書かれている。
最大の特徴は、ミクロンレベルの精密な金属加工技術を持つ「無限」(レーシングカーのエンジンで有名な企業)と共同開発をしていることだ。「ブレッドナイフミーリング」という新しいミーリングデザインがボールの食い付き、乗り感を進化させて、スピン性能を向上させているという。
もう一つのわかりやすい特徴が、価格である。カスタムメイド専用モデルで、参考価格が税込で11万円なのだ(「ゴルファーズドック」やボール&クラブの試打会、直営店などで販売)。
実は過去にも「無限」と共同開発した高額ウェッジがあった。このウェッジは完璧なプロ仕様で、通でディープにゴルフクラブをわかっているゴルファーのためのウェッジだった。
『B-Limited BRM2 フルミルドウエッジ』は、見た目が大きく変わった。バックフェースは、余裕の遊び心を表すように金属加工でデザインを美しく見せているし、新しいミーリングは、溝と溝の間を波打つようなデザインになっている。
直線のミーリングより波形のほうがボールと接する断面が増えることで、スピン性能と乗り感が向上する、という説明には説得力がある。また、ミーリングを顕微鏡で見ると、下に向かって刃が出ているような鋭角に尖らせている。これは強烈である。
さて、ではいよいよコースで打っていこう
ロフトが52度と58度、シャフトは「Dynamic Gold」の『B-Limited BRM2 フルミルドウエッジ』を試打することになった。
丸顔で、昔の国産ウェッジ独特のシェイプを連想させるのに好感を持った。ウェッジは、構えときに相思相愛になれないと機能を発揮しないと僕は思っているが、ゴルフ歴が長いゴルファーの中には、狂喜乱舞する人もいると思った。
コースは、気温6℃〜21℃、快晴、微風。
使い慣れていて、クラブの影響だけに集中できるということでボールは『TOUR B X』を使用した。
生涯最高のバックスピンが出るなら、『B-Limited BRM2 フルミルドウエッジ』は安い買い物?
『B-Limited BRM2 フルミルドウエッジ』は外観だけでなく、中身も余裕を感じさせる雰囲気がある。
試打してみて、わかったポイントをまとめる。
●打音:音量、控え目。音質は残響を抑えた大人しい音。懐かしい感じした。手応えは鈍感で、クリアな芯感がある。
●弾道:普通に打つと高弾道。高低の打ち分けに敏感に反応するが、オートマチックに高弾道も打てる。
●飛距離:ロフト通りの飛距離性能。飛ばさないテクニックの反応はいい。バックスピンは強烈。フルショットで4ヤードもバックスピンで戻ったホールもあった。
まず、フェースの波形のミーリングは、目立って違和感になったりはしない。それどころか、言われなければ全くわからないくらいだ。せっかくの高額ウェッジなのに、見た目でわからないのはちょっと残念…と考える人には『B-Limited BRM2 フルミルドウエッジ』は向いていない。
見た目ではなく、打ったボールが証明するのが、ウェッジなのだ。中身で勝負するためのウェッジだとすれば、見た目で威嚇するようなものは無粋でカッコ悪い、ということになる。
その中身であるが、『B-Limited BRM2 フルミルドウエッジ』は、ツアーウェッジでありながら、強烈なスピン性能を発揮する。通常、バックスピンでボールが戻るようなウェッジは、プロや上級者は好まない。その場で止まるのがベスト、戻りすぎのは計算ができないから敬遠するのである。
前モデルはまさにそういう意味でツアーモデルだったのだが、『B-Limited BRM2 フルミルドウエッジ』は、嘘だろう!?と声が出るほどボールにバックスピンがかかった。
バックスピンでボールが戻るというのは、強い快感を伴う。バックスピンを味わいたいというゴルファーにオススメする。
『B-Limited BRM2 フルミルドウエッジ』はプライスレス
テクノロジーを駆使して、ちょうどいいいところに落ち着けるのではなく、今回はMAXまで振り切って、スピンに特化したウェッジをつくろうとしたのか、それとも、偶然そういう仕上がりになってしまったのかはわからないが、とにかく驚いた。
『B-Limited BRM2 フルミルドウエッジ』は、夢とロマンのクラブである。ウェッジは消耗品だから、正直なところ保ちはよくない。それでも、ウェッジが夢を見させてくれるのであれば、その価値はある。
懐に余裕があってスピンにこだわりのあるゴルファーは、ぜひ『B-Limited BRM2 フルミルドウエッジ』を打ってみてほしい。面白い経験をすることは、プライスレスなのである。
篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてでビュー。試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。


