黒いタングステンプレートが進化して、「APEX PROシリーズ」アイアンはカッコよくなった!
キャロウェイは「APEX MBアイアン」「APEX CBアイアン」を2023年9月22日に、「APEX PROアイアン」を2023年9月29日に発売した。
「APEX」は特別なブランドである。アイアンを語る際にその系譜は太く、DNAを多くのアイアンが引き継いでいることは書くまでもないからだ。新しい「APEX PROシリーズ」アイアンは、3種類全てが数量限定となる。わかる人だけがわかってくれればいい、という秘かなメッセージを感じさせる。
「APEX MBアイアン」
“ツアープロのこだわりを結晶にした キャロウェイのマッスルバックアイアン”というコピーだ。
3年間もツアーでプロトタイプをテストしてもらって、軟鉄鍛造ヘッドのバックフェースにタングステンプレートを入れるという構造のアイアンが完成したという。ヘッドの大きさや形状など強烈なこだわりがあり、マッスルバックの王道を狙ったアイアンになっているようである。
「APEX CBアイアン」
“鍛造の打感と思い通りの操作性を得た 究極のツアーアイアン”というコピーだ。「究極の」という表現に自信を感じさせる。
やさしく誰でも使えるツアーキャビティアイアンが増えている中で、外見は異様だ。全体が薄くてソールの幅が狭く、かつ、面取するようにグラインドされているのだ。それでいて、番手別に最適化したバックフェースのタングステンだけではなく、トゥ側にもタングステンウェイトが入っているという最先端のテクノロジーを採用している。「究極の」の意味が気になるアイアンである。
「APEX PROアイアン」
“ほどよい飛距離にツアーレベルのコントロール性能を融合”というコピーだ。サラッとしているが、わかりやすい。
前モデルから中空構造になったが、もっとやさしくするために形状にも工夫があった。本格的な部分を残して、打ちやすく感じさせるのはお見事だ。他の2機種は鍛鉄鍛造でボディを作ったが、「APEX PROアイアン」は4番と5番に「カーペンター455スチール」を採用。
番手ごとに最適化したバックフェースの「タングステンプレート」と、4番と5番は内部に「ウレタン・マイクロスフィア」「タングステンウェイト」を追加している。機能だけを見ると、フラッグシップモデルのように感じさせるのである。
さて、ではいよいよコースで打ってみよう
「APEX PROシリーズ」アイアンはカッコイイところも魅力で、新しいアイアンもかなりの美しさである。本格的なアイアンだからこそ、まずは感性を研ぎ澄まして打ってみるのが正解だという考え方もある。ワクワクしながら、試打ラウンドをした。
● APEX MBアイアン:5番〜10番/Dynamic Gold MID 115(S200)のシャフト
● APEX CBアイアン:5番〜10番/Dynamic Gold MID 115(S200)のシャフト
● APEX PRO アイアン:5番〜PW/Dynamic Gold MID 115(S200)のシャフト
ボールは、使い慣れていて、クラブの影響に集中できる「TOUR B X」を使用した。
3種類の「APEX PROシリーズ」アイアンは、競い合って作られたツアーモデルアイアンである!
「APEX MBアイアン」を打ってラウンドして、わかったことを挙げる
● 打音打感:音量はちょうど良く、硬質感強め、かつ濡れた鞭系のミックス音。打感は芯感がクリア。
● 弾道球筋:打ち出しから高めの高弾道。曲がりには敏感。スピンはかなりかかる。
● 飛距離:クラシックロフトの数ヤードアップ。ミスヒットに強く、距離ロスは少しだけ。
ボールが上がりやすくなって、前モデルよりやさしいと感じた。ヘッドが小さく、マッスルバックとしてかなり攻めているアイアンになっていて、フェースのトゥ側の曲線が緩いところも特徴になっている。
芯に当たった時のクリアな感触は素晴らしく、美しい弾道でボールはスピンで止まる。高弾道を簡単に打てるやさしさと、妥協なしのマッスルバックに求めるゴルフができるアイアンが「APEX MBアイアン」で、これからのマッスルバックはこれが基準、というキャロウェイの信念を感じた。
「APEX CBアイアン」を打ってラウンドして、わかったことを挙げる
● 打音打感:音量はやや大きめ、濡れた鞭系で美しい音。打感はしっかりしていて敏感。
● 弾道球筋:打ち出しから低めの高弾道。球筋はストレート系。スピンはかかる。
● 飛距離:クラシックロフトの半番手アップ。
「APEX CBアイアン」は不思議なアイアンだった。ツアーキャビティというよりも、マッスルバックのアイアンのような使い勝手なのだ。とにかくスピンはかなりかかり、いわゆる強めのボールが出るのだが結果としてはスピンで止まるのである。
薄くて難しく感じさせるが、打ってみるとしっかりとソールは効いて抜けが良い。ツアーの要望を取り入れながら作っているうちに、かなりマッスバックに寄ってしまったのかもしれない。パワーがあってスピンがかかりすぎないアイアンを求めているゴルファーにオススメだ。また、ゴルフが上手くなりたいと強く思うゴルファーにも使ってほしい。
スコアアップするためのアイアンとして、かなりの完成度を感じさせるのである。
「APEX PROアイアン」を打ってラウンドして、わかったことを挙げる
● 打音打感:音量はちょうど良く、やや乾いた鞭系で美しい音。打感は適度な弾きと軽さが良い。
● 弾道球筋:低めの高弾道。曲げることに敏感に反応してくれる。スピンはしっかりかかる。
● 飛距離:クラシックロフトのほぼ1番手アップ。安定した距離感。
やさしくて飛び系のアイアンだという想定を完全に裏切った。いい意味で中空らしさを消しながら、弱点であったスピン性能などを向上させているのはお見事だ。
新しい「APEX PROシリーズ」アイアンの中では最もやさしいけれど、かなり本格的な味付けにこだわりがある。狙い通りに打てる部分を犠牲にしてまで、やさしくすることは拒絶しているのである。見た目もカッコイイし、1発打ってみてこれは打てると思ったら購入していいアイアンだ。
アイアンはスコアを作る基礎のクラブだと理解しているゴルファーに使ってほしい。
まとめ
駆け足で新しい3種類の「APEX PROシリーズ」アイアンを紹介した。キャロウェイのツアーモデルは「APEX」になります、という宣言を聞いたような気分になった。カッコイイことはもはや当たり前で、3種類が競いながらブラッシュアップして作られたアイアンだと感じたのだ。
どれも素晴らしい出来だったが、個人的には「APEX PRO アイアン」を選ぶと思う。理由は簡単で、「APEX MBアイアン」と「APEX CBアイアン」は原則としてハードヒッター向けにできているからだ。もちろん、中空アイアンとしては驚異的にスピン性能が高いところも魅力であり、スコアが良くなる未来が想像できた。
カッコイイアイアンがバッグに入っているだけで、プラスポイントになるゴルファーは案外と多い。そういう意味で、新しい「APEXアイアン」は裏切らないのである。
篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてでビュー。試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。


