クラブヘッドの助走距離を長くし勢いをつけてバックスイングする
石井 今回は僕の師匠であり、ゴルフ仲間でもある奥嶋誠昭コーチのスタジオにお邪魔して、どうしたらドライバーが飛ぶようになるのかを聞きたいと思います。というのも、奥嶋さんに「最近、石井は飛ばなくなったと言われてるよ」と話され「じゃあ、飛ぶようにしてよ!」と僕が頼んだ経緯があるからです。
奥嶋 それって1年前くらいの話だよね。そもそも石井くんは僕よりヘッドスピードが速くて、ちょっと振れば軽く50m/sは出ていた。僕も負けるのは好きじゃないから、どうやったら飛ぶか密かに試行錯誤してみた。47m/sくらいからスタートして、バンバン振ったらどれだけ飛ぶのかなという感じでやってみたけど、マックス振っても50m/s止まり。キャリーで270ヤードくらいだったけど継続するのは難しかったね。
石井 それで突然アメリカに勉強しに行っちゃった。
奥嶋 そう。世界のドラコンのトップ5に入る選手に習ったんだ。そしたらギリギリ50m/sに届くかどうかだったのが53m/sまで出るようになった。
石井 その一方で僕は毎週のように「しだるTV」の撮影があったりして体力の消耗を考えて打っていた。コロナ渦になって以降はトレーニングにも行かなくなって、しょうがないかと思っていたら、奥嶋さんはぐんぐんヘッドスピードを上げていたってわけだ。今は全然勝てなくて、当たったら50ヤードは置いていかれる。もともと躍動感のあるスイングだったけどバージョンアップした。一体何をしたの?
奥嶋 何って特にはなかったけど、飛ばす時の体の使い方が何となくわかったかな。
石井 いやいや、もっと具体的にさ!
奥嶋 とりあえず体を捻った。「もうちょっと回したら」って言われたんで。あと「勢いをつけろ」と。アドレスしたら左に体重移動しつつフォワードプレスみたいにクラブを左に動かして、勢いをつけてスピーディーにバックスイングする感じだね。
石井 クラブを一回左にズラしてから動くとヘッドの助走距離が長くなるよね。クラブの運動量が増えるしサッと上げれば加速度もつく。スピーディーに振るってことなんだね。
奥嶋 それに、助走距離を長くしたら前よりも力まなくなったんだよ。
石井 そういえばドラコン選手って体を揺さぶるよね。
奥嶋 そうそう、あの揺さぶりに意味があったんだ。
スイングのスピードが変わるから自分的にはガラッと変わる
石井 でも、躍動感はあるけれど、スイングの見た目はそんなに変わってないよ。
奥嶋 自分の中ではすごく変わった感じなんだけど。
石井 僕みたいに内情を知っていれば変わったのがわかるかもしれないけど、ちょっと見ただけじゃほとんどわからない。でもヘッドスピードは5m/sも上がったんでしょ。
奥嶋 上がったね。今さらで申し訳ないけど(笑)。
石井 僕もそのドリルをやらせてもらったら、その場でヘッドスピードが2~3m/s上がった。でも、そこから上に行くのはなかなか大変。僕は落ちていく一方で奥嶋さんは上がっていくから悔しいけど。だってコースではとんでもなく差がつくからね。こっちがドライバーで打つところを、平気な顔して5番ウッドとかで打ってくる。3番かと思ったら5番。「ちょっと待ってよ」って感じですよ。今、どれくらい飛んでる?
奥嶋 キャリーが285ヤードか、もうちょっと行くかなくらい。
石井 僕はキャリーで250~260ヤード。46~47m/sだからいっぱいいっぱい。ランがうまくハマれば280ヤード行くかもしれないけど、冬だとどんなに行っても270ヤード止まり。でも、本当にそれだけで飛ぶようになるの?
奥嶋 なるなる。石井くんには習ったことをそのまま伝えてる。何も隠してないよ(笑)。
石井 確かに一発打てと言われれば近い域には行けるけど、ラウンドで続けられるまでの完成度はない。プレイベートでラウンドに行ってバンバン試さないと無理だね。飛ばせるようになりたいアマチュアの方にアドバイスすると「タイミングが違う」とか言うじゃない。飛ばないタイミングを飛ぶタイミングにするんだから違って当然ですよ、って僕は言うけど、今は言われる側の気持ちがわかる。飛ぶスイングのタイミングに慣れなきゃいけないけど、今の僕はその作業をサボっている。
奥嶋 スピードが変わるから、自分的にはガラッと変わるよね。この前、全部フェードで200ヤードちょいしか飛ばさないアマチュアの方が、もっと飛距離が欲しいということでスイングを見たんだけど、その人に僕がやったことをやってもらったら飛んだ。30ヤードくらい一気に飛距離が伸びたよ。
コツをつかむだけでヘッドスピードはまだまだ上がる
石井 僕が最初に試した時も即座に結果は出たけど、見たことがないエラーも出た。思いきり右にすっぽ抜けたしチーピンも出た。結局僕はフルスロットルで振らずにコントロールしていることが多いので、もっと振ってコントロールできなきゃダメなんだね。そのためのトレーニング量も今は足りていない。
奥嶋 だけど僕はそこまでフルスロットル感満載で振ってないよ。すごく一生懸命振らなくても50m/sは出る感じになっている。
石井 そこはやっぱりコツなんでしょうね。
奥嶋 そうだね、コツだね。コツだけでヘッドスピードが上がったと思う。
石井 トレーニングもしなくなったっていうじゃない。
奥嶋 そうだね。しなきゃダメだと思ってずっとしていたけど、今は逆にしていない。というのも、体の必要な場所を使ってクラブを振りまくっているから、それがトレーニングになっているんだと思う。自分のポテンシャルを上げることも必要だけど、僕はコツだけで上がった。あと、クラブを替えると、もうプラス2m/s行く。逆に合わないクラブを使うと落ちるけどね。
石井 コツをつかむという意味でもやっぱり素振りは大事だよね。アマチュアの人って、素振りじゃなくて空振りが多いと思わない? 意図がない素振りというか……。意図があればクラブを持たないシャドウスイングでもいいんだけど。
奥嶋 そうだね。ちゃんと目的ありきの素振りだったら素振りはスイング作りに効く。要はクセをつけることだから。何かを身に付けるとか、スイングを直すとかね。自分のクセを直す場合、現場で習いながらならできるけど、一人になると正しいかどうかわからないままやってしまう。宣伝するわけじゃないけど、自分にとって正しい素振りをするためにも、スイングは一回ちゃんと見てもらった方がいいと思う。
石井 そうだね。悪くなる時は一瞬で悪くなる。僕は教える側だけど、奥嶋くんには教わる側。その感覚で言うと、自分が変な練習をしてズレていくと時間がもったいない。だから毎回見てほしいと思って、最初のうちは毎週通いましたよ。習ったことを忘れないために、なるべく毎日時間を作るけど、それでも徐々にズレてくるから定期的に見てもらう。ズレていなければいいけど、ズレていたら戻す。ひたすらその作業の繰り返しなんですよね、スイング作りって。(次週につづく)
石井良介
いしい・りょうすけ。1981年生まれ。『令和の試打職人』として各種メディアに引っ張りだこの人気解説者。PGAティーチングプロA級。You tube「試打ラボしだるTV」が人気。早くからトラックマンを活用したレッスンを開始。高い経験値と分析力で正しいスイング、正しいギアへと導く指導と的確な試打インプレッションに定評がある。




