何となくやってうまくいくのは最初だけ。正しいことを続けないとその上に行けない

石井 今回も奥嶋誠昭コーチの「REAL SWIN GOLF STUDIO」にお邪魔して、コーチとスイングに関する四方山話をしていきます。前回は「やっぱりゴルフは習った方がいいよね」というところで話が終わりました。

奥嶋 そうだね。正直、僕も昔はゴルフは習わなくてもいいや、くらいに思っていた。でも今の立場になって、特にアマチュアの方は、習わないととんでもないところに行っちゃうことがわかった。練習していても「今ここが違った」とわからないから、すぐに迷っちゃう。ゴルフって、何となくやってうまくいくのは最初だけで、正しいことを続けないとその上には行けない。だからちゃんと習った方がいい。

石井 我流のプロもいるけど、そんな人ってやっぱり天才で、ほとんどの人はそうじゃないからね。

奥嶋 僕のスタジオには毎日のようにグループレッスンに来る人もいて、中には4時間とかずっと打つ人がいる。最初はいいけど、ご本人も疲れてくるし、4時間となると、こっちもちょっと目を離すこともあるわけ。そうすると全く違うことをやり始めていたりする。そういう人を見ると「なるほど、こうなっていくんだなぁ」と改めて感じるよね。だから長くやればいいということでもない。

石井 ゴルフに限らないけど、わかっちゃったか、わからないか、だけだと思う。仕事も料理も仕組みというか、理屈がわかれば早く覚えられる。必要なピースもわかるしね。でも、見えていない人がほとんどなんだと思う。

奥嶋 スイングにはいろいろ動きがあるから、辻褄が合わないと一つの動きとして繋がってこないよね。

石井 そうそう。言われた時にはわからなくても、寝かしておくと何ヵ月後とか何年後とかに結びついてくることがある。だからやりかけのこともキープしておかないといけない部分があると思う。

飛ばすには「構える→左に乗る→右に乗る。勢いよく速く動く!」

奥嶋 今、石井くんはどんなことをやっているの?

石井 奥嶋さんに言われたことをやっていますよ。「体を捻る」。それが今は第二段階に入って「もっと捻る」になった(笑)。運動量を増やして、より加速させる。いっぱい捻ったからって必ずしも加速するってもんじゃないけど。

奥嶋 そうなんだよね。捻りすぎて戻らなかったりすることもあるから。そのへんがコツかな。

石井 奥嶋さんが気をつけていることは?

奥嶋 とりあえずは速く。やっぱり、ゆっくり動いて捻りきるのは無理なので、ある程度スピードが必要だよね。勢いをつけないと、バックスイングでそこまで体を捻れない。

石井 「構える→左に乗る→右に乗る。勢いよく速く動く!」って感じかな。でも僕からすると、奥嶋さんのスイングはネコ。僕のスイングはサイ。そもそも種族が違って、僕は奥嶋さんみたいに滑らかには動けないから、動けるサイになるしかないと思ってやってます。

奥嶋 体の柔軟性はあったらあったでいいけど、それより力まないことが大事だと思う。みんなポテンシャルがあるのに、それぞれのマックスを出せていないのはそのせいなので。

石井 あと「コースに行くと振れなくなる」問題もあるでしょ。

奥嶋 そうだね。コースだと何割減かにはなる。

石井 狭いホールだとなおさら振れない。

奥嶋 でも、そうなったらドライバーじゃなくてもいいわけだから、やっぱり飛んだほうがいいでしょ。

石井 やっぱり飛ばしは永遠のロマンですか。正直「飛ばない方がいい」なんんてうそぶく自分もどこかにいるけど、やっぱり飛ばないより飛んだ方がいいもんね。

腰を左に回しながら振ったら長年の腰痛がウソみたいに消えた

石井 そもそも僕が奥嶋さんのところに来たのは、ひどい腰痛でスイングするのがつらくなったからなんですよね。

奥嶋 そうだね。ゴルフをやって痛くなる腰痛は、大方スイングのせいだからね。

石井 それはGEARSで僕のスイングを見る前から予測がついていたの?

奥嶋 大体はついていた。腰が痛くなるような使い方をしていたから。

石井 GEARSで見たら、骨盤の真ん中がグチャグチャっと動いていた。

奥嶋 ダウンスイングからインパクトで腰を左に突き出すようなスタイルで、バンプする感じだったね。

石井 それで「腰を左に回すように」と言われた。僕的には「こんなに回っていいんですか!?」って感じで、以前と比べると腰が引けているくらいに思えた。「腰が痛いならもっと動かせ」とも言われた。「そんなのあり!?」と思ったけど、教わったあと河川敷に行って、習ったことを芝生でやってみようとハーフを回って、そのあと練習場で打ったんだ。その時に「あれ、痛くない」って気づいた。それから毎日500~600発、1週間アイアンだけ打ち続けた。それでまた見てもらったら「人ってやれば変わるんだね」って。使用前、使用後の映像を見比べると本当に変わっていた。

奥嶋 僕も昔パンブを教わった世代だからね。本来腰は左に回りたいのに、バンプする感じだとつっかえる。そうなると腰に負担がくる。

石井 止まってダメージを受けていた腰が、回り続けて力が分散したのか、負担が減ったんだろうね。本人的にはすごく腰を後ろに回しているのに、GEARSの画像を見ると骨盤の中心が真っすぐ動いていた。逆に言えば、前は思った以上に腰が前に出ていた。ただ、曲がりなりにもそれでプロテストに受かったから間違っているなんて思わなかった。周りのプロを見てもそうなっていたし。

奥嶋 でも、いまだにそうやっているアマチュアの人が多いよ。バンプみたいなイメージで動いてお腹が前に出てきちゃう。

石井 手元が浮いて体が起きるパターンね。

奥嶋 石井くんは直すのにどんなことをやったっけ?

石井 奥嶋さんに言われたのは、切り返し以降は動かす順番があって「腰骨→おへその下→おへその上→みぞおち」という順にゆっくり一個一個動かしていくってこと。これを素振りから始めて、意識してなくてもできるくらいまでやる。順番はもっと細かくなるんだけど毎日やっていた。でも、何よりそれができたことがすごい。ブロック注射さえ打っていた人間が、練習しても疲れるだけで腰が痛くないんだから。ちなみに、首とかヒジが痛い人も多いけど、そういうのもスイングが原因なのかな?

奥嶋 スイングを見ないとハッキリしたことは言えないけど、基本的には鬼のように力んでスイングしている人が多い。力んで力が入ると必然的にどこかに負担がくる。そういう意味ではスイングに原因がある人は多いかもしれないね。

石井 例えば体が起きたら、それを筋力で残そうとする。顔を残せとかね。でも、体が起きる原因は別にあって、力づくで蓋をするからケガをする。起きちゃうから抑えようは対処療法で、原因を突き止めて、やりたい動きになっちゃうように仕込んでいくのが正解なんだね。(つづく)




石井良介
いしい・りょうすけ。1981年生まれ。『令和の試打職人』として各種メディアに引っ張りだこの人気解説者。PGAティーチングプロA級。You tube「試打ラボしだるTV」が人気。早くからトラックマンを活用したレッスンを開始。高い経験値と分析力で正しいスイング、正しいギアへと導く指導と的確な試打インプレッションに定評がある。





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