イーブン以下がいない過酷な大会を制する

強風が吹いた3日目は全体の平均スコアが79.7424。

4日間通算でもイーブン以下が誰もいないという過酷な大会を制して嬉しいメジャー初優勝を挙げたのは河本結でした。

3オーバーで先にホールアウトしていた鈴木愛と首位で並んだ17番パー5は3打目を58度のウェッジで30センチに。

18番パー4も残り180ヤードから6番アイアンで1メートルにつけて連続バーディーという、メジャー覇者にふさわしい強者のゴルフを見せつけてフィニッシュしました。

優勝会見で今週最も活躍したクラブを聞かれると「ドライバーです。おかげでフェアウェイキープ率がすごく良かったので」と答えました。

気になるそのドライバーはキャロウェイの「QUANTUM♦♦♦MAX」で、選んだ理由は「球がしっかりたわんでくれて、押せる感覚がある。球離れは早くないけど、ボール初速が出ているので気に入っています」と説明しました。

ですが、キャディーバッグに入っていたドライバーをよく見ると、ロフト表示が「9.0+」という市販モデルにはないモノです。

ロフト表示は「9.0+」。市販品と表示が違うが……。(撮影/森伊知郎)

市販モデルにはない、ロフト「9.0+」

気になるその意味は、9度のヘッドの中でもロフトが寝ている個体なのだそうです。

ソールにはマジックで「9.4」とリアルロフトが手書かれていることから、この0.4度の違いにピンときた、ということですね。

さらにこの9.4度の個体をなぜ選んだか聞いたところ「顔とかが気に入ったので」と説明してくれました。

ツアープロともなると相当な数をテストして慎重に選んだのかと思いきや「試したのは2本ぐらいでしたけど、すぐに決めました」とのこと。

9度とは違う、0.4度の差に一目惚れ、という感じだったようです。今シーズンは、ドライバーと3Wを最新の「QUANTUM」シリーズにスイッチしました。

市販モデルにはないロフト表示も、“中身”は市販モデル

市販モデルにはないロフト表示がされているということで「プロトタイプを使っている?」と思った方がいるかもしれません。

ですがR&Aの公認リストでこのモデルを見るとロフトは「8.5」「9」「9+」「10.5」「10.5+」と登録されています。

ツアーのトーナメントからメンバーコースの「月例」まで、全ての競技ゴルフで使うクラブはこの公認リストに掲載されている必要があります。

「プロトタイプ」の場合は「別のクラブ」として登録する必要がありますから、プロ専用モデルというわけではなく、市販品と同じモデルでロフトが少し寝ている、ということです。

河本を優勝へと導いたキャロウェイの14本。MVPはドライバーだった。(撮影/森伊知郎)

歩行姿勢や食事にも気を使う繊細さが、ドライバーのこだわりに?

年間女王を目標に掲げた2026年のシーズンに向けて、オフには体幹を鍛えるとともに、普段から歩行姿勢まで意識するようになりました。

さらにトーナメント期間中の食事は「アスリートフードマイスター」の資格を取得してくれたマネージャーの管理の元で徹底した節制をしています。

その効果として全ての感覚が繊細になり、ロフト0.4度の差にこだわって選んだクラブでメジャー初制覇をつかみ取りました。

この感覚の鋭さで、女王への道をまい進することになるかもしれませんね。

(取材・文/森伊知郎)