実測93ヤード それでも佐久間朱莉が落とし、菅楓華は池に2発…

28ヤードの奥行きがあるグリーンのフロントエッジから9ヤードの位置にカップが切られ、この日の15番パー3の実測値は93ヤード。

アマチュアでも男性ならウェッジで打てる距離ですから乗せるだけでなく、バーディーチャンスに付けたい距離です。コンペならニアピン賞の対象となりそうなホールをプロはどう攻めるのか。そこで3日目のアウトスタート36人がこのホールをどうやってプレーするかを定点観測してみました。

決勝ラウンドなので、1番からスタートするのは2日目を上位で終えた選手たちです。

風速5.2メートルと発表されたコンディションで1組目の宮澤美咲はグリーンをショートしたボールが池に転がり落ちてトリプルボギーを叩きます。

それでも2組目の前多愛がバーディーを奪うあたりはさすがプロ、と思ったのもつかの間。3組目の菅楓華はグリーンをショートしたボールが2回続けて池に転がり落ちてクワドラプルボギーの「7」を打ってしまいます。

ポイントランキングの実質トップ3が全員池ポチャの理由は

この後、昨シーズンの年間女王で、現在もポイントランキング首位に立つ佐久間朱莉とランキング4位の永井花奈も池につかまります。

3位の髙橋彩華はこの日はインスタートだったので、アウトから出たランキング上位3人が全員池ポチャという信じ難い事態はなぜ起きたのでしょう?

この日のピンポジションはフロントエッジから9ヤード。

グリーンに届かないと、芝が刈り込まれた傾斜をボールは池に転がり落ちる、というシチュエーションでした。

“安全策”ならピンをオーバーして二段グリーンの上の段も許容範囲、とアマチュアなら考えるところを佐久間、菅と永井の3人は果敢にフロントエッジギリギリに打っていきました。

ドロップゾーンがないためティーイングエリアからとなる3打目も上記3人は安全策を取らずに果敢にギリギリを狙いました。

このマインドがあるからこそ、ランキング上位にいるのだろう、と感じさせられるプレーでした。

首位の福山惠梨は奇跡的に?傾斜でボールが止まる幸運

グリーンを1ヤードでもショートするとボールは池へ…と思われたのが傾斜の途中で止まったが首位の福山惠梨でした。

風向きが読み切れなかったティショットはグリーンに届かず、着弾したボールは池に向かいます。

ところが傾斜の途中の直径1メートルもないような緩やかな場所に止まる、という幸運が起きたのです。

スコアはボギーだったものの、池に落ちていればダブルボギー以上は必至だったので、河本結と桑木志帆に1打差をつける首位で最終日を迎えられたかは微妙です。

この場所でボールが止まったのは、アウトスタートでは永井花奈の3打目との2例だけで、他は全て池に落ちた事実を知らされると「本当ですか!? ツイてますね!」と満面の笑みを浮かべて練習へと向かいました。

トリプルとクワドラプルボギーは全てアウトスタート組の不思議

この日の15番では小林夢果も池に2回落としてクワドラプルボギー(7)。トリプルボギー(6)も2人いましたが、この4人は全員がアウトスタートでした。

池ポチャ数もインスタート組が「2」でアウトスタート組は実に「11」。

2日目までの成績が上位の面々がこうなったのは「ムービングデー」で果敢に伸ばしにいった。

インスタート組は15番を午前にプレーしたのに対してアウトスタート組は午後になったので、風が強くなったり、風向きが変わったりという要素があったのかもしれません。

プロも目の前で池ポチャされると安全策になる? 

アウトスタート11回の池ポチャがオナーまたは2人目で、後から打つ選手がいたケースは6回ありました。

このうち、池を回避して上の段でもいい、というマネジメントをせずに果敢にピンと同じエリアにボールをキャリーさせたのは阿部未悠ひとりだけでした。

プロであっても、目の前で池ポチャされると安全策を取ってしまうようです。

一方でバーディーは6個。その中のひとつを奪った最終組の大久保柚季は、いつもはクラブ選びをキャディーを務める姉の咲季さんとは相談するのをせずに48度のウェッジで打って1メートルにつけてのものでした。

4日間大会で第3ラウンドを終えて全員がオーバーパーになるのは2012年の「日本女子オープン」以来のこと。

そんな大会の象徴的存在ともいえる15番では、10日の最終日はどんなドラマが起こるのでしょう。

(取材・文・写真/森伊知郎)