イーグルパットを入れ返して勝利した黄重坤選手の強さ

プロキャディが語る! 2019シーズン熱戦エピソード /串田雅実編

2020/06/23 ゴルフサプリ編集部



新型コロナウイルスによる“ゴルフ自粛生活”に辟易しているゴルフファンに、少しでも楽しんでいただきたい! そして、相次ぐ大会中止によって活躍の場が減少しているプロキャディの皆さんに少しでも露出できる場を創造したいという考えからスタートしたこの企画。

男女ゴルフツアー・2019年シーズンにおいて、プロキャディたちが厳選した“熱戦エピソード”や裏話などを臨場感たっぷりにお届けします!

今回、登場してくれるのは串田雅実キャディ。小山内護選手の誘いで、2006年からプロキャディの道へ。2015年から、黄重坤選手の専属キャディとなり、数々の試合に臨んできた。なかなか、勝ちきれなかった重坤選手が、久しぶりにつかんだ勝利は、鳥肌が立つようなドライマティックで強い勝ち方だった。

16番ホールで石川選手がバーディを獲り、2打差となって、迎えた17番池越えのショートホール。安全策をとり、大きめクラブを持ったという重坤選手だったが、一度はグリーンをとらえたかに見えたショットは無情にも池に転がり落ちた。スコアはダブルボギーとなり、石川選手に並ばれた。

「最終ホールは、2人ともバーディを獲って、18番ホールでのプレーオフになったんですけど、石川選手がイーグルを決めて、復活優勝を遂げました。日本のファンには嬉しい出来事で、ジュンゴン選手にはアウェイな感じだったけど、それ以前に勝てるはずの試合で負けたことが何よりも悔しかったですね。今年、ジュンゴン選手は韓国で兵役に行くことがわかっていたので、メジャーであるジャパンプロ(日本プロゴルフ選手権大会)に勝てば、5年シードもあるし、本人も一番勝ちたかった試合で勝てなかったわけですからね」

その後の試合でも、安定したプレーを見せてはいたものの、なかなか優勝にはたどり着くことができない。

「9月に韓国で行われたShinhan Donghae Openにも一緒に出場したんですけど、試合が終わって、韓国の町でジュンゴン選手と14時くらいから、昼食のつもりが、21時くらいまで、飲んじゃって(笑)、2人で熱く語り合ったんです。彼は酔っ払いながら、『僕は雅実さんと勝ちたいです。兵役から戻ったら、またキャディやってくれますよね?』って聞いてくるんです。そこで『俺は待ってるから、とりあえず、今年、1回勝って。軍隊終わって帰ってきたら、また一緒にやろうよ』って話したんです。ポーカーフェースで淡々とプレーする印象が強いジュンゴン選手ですけど、子供っぽいところも多くて、かわいい選手なんです(笑)」

弟のように甘える一面を見せる重坤選手。とにかく、兵役に行く前に勝たせたい、串田キャディ自身の想いも強くなっていった。